VIVA歩くスキー(序)
今から28年前、平成5年12月に「VIVA歩くスキー」というミニ情報誌を創刊しました。その3シーズン前に妻を誘ってXCスキー(クロスカントリースキー)を体験して、すっかりその魅力にとりつかれ、仲間を増やしたいと思ったのがきっかけです。初めはアウトドア活動が好きそうなごく親しい友人に配ったのですが、思った以上に広がって、とうとう定期講読者が40人以上にもなりました。冬季に月1回ほど発行の不定期刊でしたが、9年間34号まで続きました。A4サイズの1枚裏表見開き4ページで、体裁は1ページ目にニュース、2~3ページ目に体験やツアーのレポートなど、そして4ページ目はツアーや講習会などの情報と編集後記です。この中で、特にレポートは北海道から近畿地方まで多くのコースの紹介や貴重な体験談で、このまま埋もれさせてしまうのはとても残念です。それで、“note”に公開していきたいと思います。ただ、書かれたのが20年以上前ですから、状況が変わっている場所もあるかもしれません。その点は注意してください。
“歩くスキー”とは
「歩くスキー」はノルディックスキーのクロスカントリーですが、競技ではなく、自分のペースで周りの景色などを楽しみながら歩くもので、「ネイチャースキー」と呼ぶ人もいます*。1970年代、札幌市はこれを市民スポーツにしようと、「歩くスキー」と名付けて、札幌オリンピックで譲り受けたノルディックスキー用具を市民に無料で貸し出し、市内の公園や郊外にコースを造ったのが始まりのようです。朝日新聞はこれを支援し、1978年1月に脱ゲレンデスキーの記事を連載しました。そして、1989年にどらねこ工房から「歩くスキーのすすめ」(編著:浮田義巨)が発行されました。歩くスキーの歴史から用具やテクニック、さらに楽しみ方やコースなどまで網羅した歩くスキーのバイブルともいうべき本です。続いて、小学館からBE-PAL OUTING MOOK③ 「XCスキー・ツーリング入門」も発行され、広く一般的に知られるようになりました。歩くスキーの用具は、かかとが固定されないノルディックスキーで、板は競技用と違ってウロコ状の滑り止めがあるノーワックスタイプ、靴はスニーカーのような軽いものが使われます。締め具は靴底の先端にある3つの穴にピンを挿して固定するウィッツ式が一般的でしたが、靴のつま先を押し付けると自動的に固定されるオートマチック式がよく使われるようになってきました。また、ストックは、歩行時に強い推進力を得るために長くて丈夫なもので、雪に潜らないように大きめのバケットが付いています。スキー場の近くや広い公園などに作られている専用のコースもありますが、野原や林道を自由に歩くこともできます。
* ネイチャースキーは橋谷晃氏によればスキー板はクロスカントリー用ではなくテレマーク用を使うとしていますが、特にこだわることもないと思います。