現代物理学に潜む5つの間違い
現代社会は科学が発達してきたからこそ成立している高度な文明と考えている人が多いと思います。身の回りにはスマホ、液晶テレビ、パソコンなどの電子機器があふれて、宇宙には人工衛星が飛び回っています。これらはすべて科学の進歩が目に見える形になった結果です。
しかし、電子機器を生み出した半導体は熱力学から派生した統計力学の成果です。19世紀の知識なのです。GPSは相対性理論が使われているとされますが、実際に開発した技術者は現地で誤差を合わせたと証言しています。相対性理論は使われていません。
本稿で説明している5つの間違いを知ると、現代科学は19世紀からほとんど進んでいないことに気が付くでしょう。
これら科学の源である物理学に目を向けると、とても科学とはいいがたい言説が飛び交っています。ビッグバン、ダークマター、量子、クォークといった果たして本当にあるのか?実在するか不明なモノを科学として扱っているのです。SFはかつてサイエンスフィクションとして小説のジャンルで楽しまれましたが、現在の物理学はSFもはだしで逃げ出すような理論が堂々と科学であるとして研究されています。まるで科学の枠組みが消え去ったようです。
極めつけは、量子力学がなぜか占いや宗教、オカルトなどに使われていて、多くの人がそれを疑問に思っていないことです。
科学は17世紀に宗教と決別したはずです。このようなおかしなことが起きているのは、なぜでしょうか?筆者は物理学には根底を揺るがす大きな間違いが存在すると考えています。ここでは順番に間違いがいつどのようにして入り込んだのかを説明していきます。
機械的世界観から近代へ
物理学の間違いを説明する前に、科学の歴史を少し見ておきましょう。17世紀に科学が宗教と別れたと言いましたが、その役目を果たしたのがデカルトです。デカルトは機械的世界観という自然を機械時計のように物と物が組み合わさって出来ているとしました。機械的世界観では、物同士が接触して力が作用します。これを近接作用と呼びます。
近接作用に対して離れた場所に力が伝わることを遠隔作用と言います。遠隔作用は力を媒体するモノがないため、近代科学では採用されていません。物理学では近接作用を基本として現象を考えるようになっています。
また、機械的世界観は還元主義ともいわれます。自然現象をそれを構成する単純な物に分解して理解することを指します。
機械的世界観が普及した背景には、大航海時代が過ぎ、世界貿易が発達した結果、速い船、正確な航海が求められたことがあげられます。造船が発達して天文観測による位置の判定、正確な時計といった技術の発達です。機械、ネジといった技術の発展も加わります。もはや科学に宗教的意味を求めるより、実用的な科学を優先したのです。
機械的世界観では物と物の組み合わせで自然現象を解明しようとしますが、逆に物を動かせば自然を操作できることになります。自然を征服するための方法論でもあったのです。
機械的世界観は当時イギリス国王の家庭教師だったホッブスにより強力に進められ、科学の中心である王立協会には貴族や商人から多くの寄付が集まりました。
17世紀は科学革命の時代と言われ、近代科学の基本的知識が登場した時代です。ケプラーとガリレオが惑星の軌道を解明します。ニュートンはガリレオの観測から万有引力を発見しました。ニュートンの前にはバネのフックがいます。フックはバネの法則だけでなく、顕微鏡を用いて生物の仕組みを観察しました。トリチェリ、パスカル、ボイルは19世紀に頂点を迎える熱力学の基礎を作ります。ニュートン、ホイヘンスは光学を開拓し、このころから光は波か粒子かと議論が始まりました。
18世紀になると化学が発展してきます。17世紀までは錬金術と化学は一体でしたが、ようやく還元主義による元素の発見が出来るようになります。物質は単純な元素から出来ていることが徐々にわかってきます。18世紀末にはキャベンディッシュの実験が行われ、万有引力が主張した重力は物の量に比例するーから重力は質量が生む、と解釈されました。
18世紀に登場した重要な発明はボルタの電池です。18世紀末のボルタの電池の登場によって、継続的に電気を用いることが出来るようになり、19世紀は電磁気の研究が発達します。オーム、アンペール、ファラデーなどが電磁気の実験から基礎を作り、マックスウェルが集大成として方程式をまとめます。実際にはヘヴィサイドが10いくつあった式を4つにまとめたのですが。
マックスウェルの電磁方程式は20世紀初頭に量子力学、相対性理論を生むきっかけになります。このへんで大きな間違いが入り込んできますが、それに気が付いている人は少ないです。気になる人はここを読んでみてください。
上のサイトは筆者が物理学への疑問を確実にするきっかけを作ってくれました。それまで漠然と何かおかしいと思っていたものが、はっきりと間違っている場所を示してくれたことに感謝しています。次の章からは具体的な間違いを説明していきます。
万有引力と神
ざっと、科学革命の17世紀から20世紀初頭までたどってみましたが、実際の科学は、ここで紹介したようにまっすぐに発達してきたわけではありません。17世紀に科学と宗教が分かれたと言いますが、いまだに宗教は科学の中に深く根付いています。
機械的世界観も科学者に徹底されたわけではありません。現在の科学の中には物ではない人間が空想した概念が入り込んでいます。
17世紀に宗教から科学が分離されたと書きましたが、じつはニュートンの万有引力には神の力が含まれていました。当時の天文学では複雑な動きをする惑星同士がぶつからないのは、互いに反発する力が働いているからと考えられていました。デカルトは惑星から発生する渦のような力を主張していました。
少し後のカントは「ニュートン氏の引力だけでは宇宙は一つの塊になる」と批判しました。
ニュートン自身も引力だけでは惑星の軌道が破綻することがわかっていて、肝心なところで神の手が働いていると考えていました。ニュートンは熱心なキリスト教信者で神学者でもあったのです。
20世紀にニーチェは神は死んだと主張しましたが、近代科学の中心である万有引力にはニュートンが神を隠していました。
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/2008_christkyougakuhenoshoutai_2-08.pdf
現在の多くの人は万有引力だけで惑星の軌道を支えていると考えていますが、ニュートンはその論理的な洞察から惑星と太陽は神の力がなくては存在しないと考えていたわけです。
現在の知識では人工衛星が万有引力だけでは説明できない動きをすることがいくつも知られていて、アノマリー(異常)とされています。
アノマリーの原因は渦動論が示していたような反発力の存在であるとすると簡単に説明できます。宇宙には引力だけでなく反発力が存在するのです。このことからも宇宙と地上の重力は異なる仕組みを持つことがわかります。
質量が重力を生む?
ニュートンは万有引力を発見しましたが、その原因はわかっていませんでした。引力は物の量に比例する、とだけプリンピキアの中で述べています。質量が重力を生むことを証明したのはキャベンディッシュです。18世紀末にキャベンディッシュは180kgの鉛の玉と700gの鉛の玉を近づけ、両者が生んでいるはずの重力を計測しました。
キャベンディッシュの実験は質量が重力を生むことを証明したとされ、その影響は物理学だけでなく、天文学、地球科学にも及んでいます。太陽が輝いているのは膨大な質量が重力を生んでいて、中心部の圧力が高じて核融合が起きているからだとされます。地球も同じで内部は高温高圧でその周囲にあるマントルを温め、対流が起きてプレートを動かします。
キャベンディッシュの実験に使われたねじり天秤はその少し前にクーロン力の検出にも使用されました。ところがねじり天秤は微弱な力に反応しますが、引く力か押す力かはわかりません。実験に使われた鉛は半世紀後にファラデーが反磁性体であることを発見します。反磁性体同士を近づけると磁場を押しのけるため、動くのです。
重力と電磁気力は、電磁気力のほうが10^36倍も強いことが知られています。これは事実上、電気磁力に隠れた重力を検出できないことを示します。
現在ではキャベンディッシュの実験と同じ方法で重力定数を測定しています。電磁気力の影響を排除するため、さまざまな工夫がされていますが、物質を構成する原子そのものが荷電粒子であることを考えると、原理的に重力と電磁気力を峻別するのは不可能であると考えざるを得ません。
むしろ、重力の原因は質量以外にあると考えるのが妥当です。
マクスウェルの勘違い
19世紀はボルタの電池が普及したことで電磁気研究が盛んに行われます。ファラデーもその一人でした。ファラデーは電磁誘導の発見で知られていますが、電気力線について非常に詳しく実験で調べています。当時、磁力や電気引力・斥力を伝えるために力線という概念がつかわれました。電荷を持つ物体からどのようにしてクーロン力が伝わるのか?これが重要な課題になっていました。ファラデーは実験で得た知見を数式にまとめることができませんでした。製本職人から王立協会の実験主任になったファラデーは数学の教育を受けていなかったのです。そのため、王立協会からマクスウェルが派遣され、ファラデーの成果をまとめることになったのです。
マクスウェルは裕福な農場主の息子で、十分な教育を受けていました。数学にとびぬけた才能を持っており、ファラデーの元に行く前キャベンディッシュの実験ノートをまとめる仕事をしていました。
マクスウェルは機械的世界観から還元主義を科学に求めており、物事を単純な仕組みにしようと心掛けていたそうです(「ファラデーの電磁気学研究における力・力能・粒子」夏目賢一より)
静電気についても同様でマクスウェルは当時先端科学であった熱力学に精通しており、クーロン力の伝達を熱と同じように考えていました。
たとえば、現在考えられているように+と-の電荷が隣り合ったとき、互いに中和して、優勢な方の電荷が周囲に影響を及ぼす、とは、マクスウェルの考え方でした。
マクスウェルは傾向として自然現象を出来るだけ数式で表せるように考えていました。力線の中和はクーロン力を数式で扱うために必要な処理だったのです。
一方のファラデーは
とクーロン力の伝達に使われる電気力線について、確定したイメージを持っていませんでした。
ここでクーロン力がどのようにして周囲に影響を及ぼしているかを考えてみましょう。
電気力線は力を伝えるために人間が考えた概念です。電気力線はクーロン力の伝達によって作られます。クーロン力は距離の二乗に反比例して伝わります。また、離れた場所にある物体に静電誘導が生じて電荷を与え、力を及ぼします。
電気力線はクーロン力が力を伝えるために物体同士の緊張状態を表しているとファラデーは考えていました。プラスとプラスの電荷の間に描かれる互いに退け合う電気力線はクーロン力が力を発揮した結果を描いているのです。
実際のクーロン力は相手にまっすぐに作用します。どうやらマクスウェルも現在の私たちも、この点を誤解していたようです。電気力線が曲がった様子はあくまで線が力の様子を表しているだけで、クーロン力の伝達を表しているのではありません。クーロン力には相手の電荷がプラスかマイナスかを判断する能力はないのです。
クーロン力は相手にまっすぐに届く、このことはマクスウェルが静電気を熱のように考えたことが間違いであったことを示します。クーロン力が中和しないのは重要な点で、これが量子力学を生む、大きな勘違いの原因となったのは、「科学史から見た量子力学の間違い」で指摘しました。
光量子仮説は間違い
1905年にアインシュタインは特殊相対性理論を発表しました。しかし、この論文はほとんど注目されませんでした。当時、在野だったアインシュタインが物理学会に登場したのは、光電効果を説明した論文を物理学会の重鎮であったプランクが取り上げたことがきっかけでした。プランクは政治的にリベラルだったことが知られています。ユダヤ人を排斥するナチズムにも反対していました。
光電効果の論文はプランクの量子の発見を裏付けるものとして認められ、光量子仮説として扱われます。19世紀には光は波であることが主流になっていましたが、17世紀の光は波か粒子かが再び議論されることになりました。
プランクが発見した黒体放射の不連続性を説明するのに、光量子仮説は役に立ったのです。
光電効果とは金属表面に波長の短い光を当てると電子が飛び出してくる現象です。たとえば、紫外線を当てると電子は飛び出しますが、紫外線を含まない波長の長い光は、いくら長時間当てても電子は飛び出してきません。このことから、光が粒子であり、粒子の持つ運動量が大きい―波長が短いと電子と衝突して叩き出すことが出来る、とアインシュタインは説明しました。
プランクの量子は、エネルギーをnhvと表すことが出来ました。nは自然数、hは定数、vは周波数です。周波数が高いほど量子の持つエネルギー、運動量も多くなるのです。
この頃、光を当てると電離作用が起きることが知られていました。光は電界の波と考えられていたのです。つまり光は電界のパルスが短い間隔で伝わっており、光が当たると静電誘導が起きるのです。これはクーロン力が作用していることと同じです。
光が当たり、静電誘導が起きた電子は光が来た向きに揺さぶられます。金属表面の電子は原子核の電荷により緩くつながれていますが、揺さぶられる間隔が短いと原子核の束縛を振り切って飛び出します。光を粒子としなくても光電効果は説明できます。
空間は実在?
アインシュタインの光量子仮説はノーベル賞を受賞しますが、相対性理論は受賞しませんでした。アインシュタインを引き立てたプランクも訳の分からない理論として関心を持たなかったそうです。
また、アインシュタインより少し前の数学者ポアンカレは相対性理論とほぼ同様の数式を得ていました。ローレンツ変換を電磁方程式に応用し、光の速度が一定であると示していました。ところが相対性理論はアインシュタインの考案した理論として受け入れられてしまいます。これにはいろいろな理由があるようですが、ここでは深入りしません。
むしろ重要なことは19世紀の科学における流行です。19世紀には科学の専門化が進みます。それまでの科学者の多くが広範な範囲を扱っていたのに対して、電気、化学、熱といったような細分化が起きます。同時に専門機関が発達して現在の大学が生まれます。科学者は教育されるようになったのです。力学、数学、天文学などが基礎知識として教えられるようになります。もはやニュートンやファラデーのようにその才能だけで科学研究が出来る世の中ではなくなりました。大学では同じような知識を教え込まれることになり、そこで流行が起きました。
ピグマリオン症候群は一般には人形を溺愛する性向のことを指しますが、科学におけるピグマリオン症とは、自ら作った理論、数式の美しさを自然現象よりも重要視することです。数学ではよく「エレガントな解法」が好まれます。物理学においても自然現象を還元主義で分解した結果、そこから得た数式の単純さ、美しさを実在と混同してしまう傾向です。
ピグマリオン症候群は、古代ギリシアのピタゴラス主義から生まれた宗教的思想です。ピタゴラス教は神秘主義で、世界は数式で表されるという教義を持っていました。
ピタゴラス教は千年以上前に消失しましたが、自然が数式で出来ているとする思想は残りました。ニュートンの万有引力もピタゴラス主義の影響を受けています。
もうひとつはユダヤ人集団の中で、頭の良い人がもてはやされる傾向が強いことです。金融業を営むユダヤ人が多かったため、複雑な複利計算が出来ることが優秀な人物だとされました。数学に優れた人材が好まれたのです。
ピグマリオン症、ピタゴラス主義、数学優先といった社会の傾向が20世紀初頭にも強く残っていました。
アインシュタインの相対性理論では、座標で表した空間を数式で扱い、その結果、空間が伸びたり縮んだりします。そこでは数学的空間と実在を混同しています。デカルトの機械的世界観に当てはめてみると、数学的空間は物ではないので、自然現象をそこに還元することはできません。
アインシュタインの相対性理論はエディントンの日食観測で証明されたといわれていますが、現在では不完全な観測結果から恣意的にデータがとられたことがわかっています。また、太陽周辺には太陽大気が存在するため、光が曲がるのは屈折率が変化しているためだと理解できます。重力レンズ効果も星間物質による屈折です。
相対性理論では重力を空間の曲がりとしたため、どんなに頑張っても重力を制御できなくなってしまいました。先に説明したように空間は物ではないからです。
物理学に潜む5つの間違い
以上、説明したことをまとめておきます。
万有引力は存在しない(宇宙と地上の重力は違う力)
質量は重力を生まない
クーロン力は中和しない
光は粒子ではない
空間は実在しない
この5つの間違いは、通常教えられている物理学では無視されています。現代物理学の3つの柱である相対性理論、量子力学、素粒子科学の基礎に深く組み込まれているからです。しかし、デカルトの機械的世界観が科学を推進する思想であるなら、私たちはこの5つの間違いを訂正する必要があります。
これらの間違いを正さない限り、これ以上の科学の進展は見込まれないからです。反重力は不可能になり、常温核融合はいつまでも偽科学扱いされます。超光速は存在せず、宇宙に出ていくためには強力なロケットが必要になるので、広大な宇宙は未来永劫未踏の世界です。
筆者が書いた「科学史から見た量子力学の間違い」と「電気的地球科学」はこれらの間違いを修正して構築しなおした理論です。