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積雪観察器具

このno+eは『積雪断面の観察と記録』の「8. 積雪観察器具」を別項として解説したものです。



1. デジタル温度計

氷水を使って温度補正

電子式温度計のセンサーにはサーミスタと熱電対の2種類あります。前者は安価ですが、室内用に調整しているため0℃付近の精度がよくありません。写真のものはFLUKE社の『Fluke 51-2』に『80PK-25 突刺型プローブ(K型)』を組み合わせています。氷水で温度誤差の補正が出来ます。

料理用温度計でも温度補正が出来るものがあります。温度範囲を確認してから購入します。

2. スノーサンプラー

スノーサンプラーとバネ秤(100g)

写真のスノーサンプラーは特注品で、雪崩講習会でまとめて発注したものを実費で譲って貰いました。ネットで検索しても見つかりますが、個人で所有するには高価です。一緒に写っているバネ秤は(株)三光精衡所製の100g仕様です。ビニール袋の端をセロテープで補強したものにスノーサンプラー(100cm^3)で切り取った雪片を入れて計測します。

バネ秤については、講習会であまり低温にならないことがわかっている場合は、0.1gまで計測できる家庭用デジタル秤のほうが使い勝手は良いです。スノーサンプラーで0.0gに合わせて雪の重量を直読出来ます。

家庭用デジタル秤

雪が硬くなるとスノーサンプラーだけでは切り出せないので、雪ヘラでL字型に切れ目を入れてからサンプラーを挿入します。また、小霜ざらめ雪などのようにバラバラになる雪は、挿入したまま上面の雪を雪へらで取り除いて、そのまま蓋をして取り出します。

DIY用のヘラ(上)と雪ヘラ(下)

3. 折尺

折尺はDIYショップでグラスファイバー製(2m)が容易に購入できます。2~3箇所をWクリップで留めてペグを刺すと素早く雪の断面に固定できます(写真右)。普通は裏面が上下逆になっています。

スノーピットで折尺を固定

4. スケールルーペ

雪質を判断するに便利なスケールが付いたスケールルーペがあります。写真のものは東海産業の『ピーク・スケール・ルーペ SL-10X-SD No.1983』です。スケールグラスが何種類かあり、積雪の粒度を測るには0.5mm方眼がついた『東海産業No1983用No.7スケール』が便利です。

5. クリスタルカード

雪の結晶の粒度を見るためのカードで、1mm方眼や2mm方眼のパターンが印刷されています。また、観察用の記号や、弱層テストの指標が印刷されているものもあります。積雪層から結晶を取り出すので、ある程度硬さがあった方が扱い易いようです。

6. レベルブック

雪の中でメモをとるには防水紙を使ったレベルブック(コクヨ セ-Y31B)が適しています。ボールペンなどは水で流れるので、0.5mmのシャープペンを使います。写真のものは表紙も樹脂製なので、沢登りでの記録にも重宝します。

7. ブラシ

積雪層を区分するのにブラシは必携です。DIYショップで入手できますが、毛足が長く「頬を擦って痛くない」程度に適度に硬いものの方が層を出しやすいと思います。

8. 傾斜計

断面観察や弱層テストを実施した斜面の傾斜を測るのに使います。DIYショップで売っているものはかさばるので専用のものが使いやすいです。この他、傾斜計内蔵のコンパスも市販されています。

9. スノーソー

30cm×30cmの角柱を切りだすシャベルコンプレッションテスト(CT)では35cmのG3ボーンソーで十分ですが、最近注目されている拡張カラムテスト(ECT)に使う90cm×30cmの角柱には足りません。ネットで探すと70cmのスノーソーがあり、ECTの両側から鋸をいれて切りだすことができます。

10. ルッチブロックコード

積雪断面観察の後にルッチブロックテストをするとき、背面を切るのに使います。ECTの背面を切るにはやや長すぎるので、DIYショップでコーティングされたワイヤーとアルミスリーブを購入し、1.5m程度の長さで自作すると便利です。

11. 防水デジタル・カメラ

防水タイプで1cmまで寄れるカメラが複数発売されています。写真のモデルはOLYMPUS TG-4で、40.5mm径のフィルターアタッチメントに40mm径のアクリルパイプを20mmに切ったものを接着しています。クリスタルカードに押し付けて一定の距離で撮影するため、雪の結晶の大きさが後から確認できるのと、雪質判断の記録がメンバーで共有できるのでお勧めです。

表面霜を撮影した例

アダプターの作り方は以下のno+eを参照して下さい。



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