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2021年ベストトラックabout30
さっそく行きまー-す。おおよそ?リリース順に並べてる…かな?
TEAM SHACHI「JIBUNGOTO」
何とも奇妙&アガる曲。四つ打ちのブラスを基調としたパートからトラップみたいな三連符のフロウのパートが短く入って、スイッチが切り替わったかのようにドカンと開くサビへ…、とあっちこっちへ飛ばされる感覚はあるけれど、まとまってるんだよな。
大友良英「花束みたいな恋をしたテーマ」
2021年の初めにガツンと衝撃を受けた映画のテーマ曲を。牧歌的で明るい曲調であり、映画の中の彼らの朗らかな季節を切り取ったかのような印象を受ける。しかしながら、そのギターの微かな歪みに、彼らの恋は過去形であること、過ぎ去る理由たるノイズを私たちは察知するのだ。
Weezer「All My Favorite Songs」
古典と思しき風格をたたえた弦楽器隊の存在が大きい楽曲に、どう考えても矛盾している確かな心持が歌詞につむがれている。「I don't know what's wrong with me」、「僕の何が悪いのか分からない/僕がおかしいのかな」とリフレインされるが、なにもおかしくないよ。皆きっとそうだよ。
星野源「創造」
上半期選出。こういうオーバーグラウンドならではの、ビッグタイアップだからこその暴れ方、ムチャ痛快。音にも言葉にも愛のある引用と彼ならではの血を注いで「独(いち)」を創り上げることに成功している。
堂島孝平「月光地帯」
我らがポップ兄貴、堂島孝平の新曲はそれこそキンキの新曲となってもおかしくないシャープさのあるポップスに仕上がっている。編曲で参加したONIGAWARA斉藤の影響も大きいのだろうなあ(DIALOGUE+の楽曲も良かった)。「I love you」を「月がきれいですね」と言い換えた逸話は有名だが、月明かりが照らすのは甘い二人の行方だけではない。
lyrical school「TIME MACHINE」
上半期選出。まずはKMの作るトラックのかっこよさよ。そして、himeとhinakoの低音パートも新機軸で効いてた。『Wonderland』までの三部作には「時間」というものが鍵となっているのでは、と思っているのだけど、まさに「TIME」の語を冠したこの曲はヘッズの「futureなL」になるのは間違いない一曲となっている。
Base Ball Bear「SYUUU」
上半期選出。楽曲は一聴すると「高速四つ打ち」とカテゴリづけたくなる初期ベボベ の王道チューンに類する楽曲のように思えるが、リズム隊が強化されてその足腰の強さが当時とは段違いとなっている。また、そこに乗る歌詞は当時のような「心模様」を描いた抽象的なものではなく、コロナ禍の今を描いた応援ソングにも、「笑ってふざける」という活動の指針表明にも、「ありがとう ばかやろう」と状況に対する怒りの表明にも多層的に解釈可能な深みのあるものとなっている。いずれにせよ彼らが降らせた雨はリスナーの慈雨になるものといえよう。
sic(boy),KM「爆撃機」
俺好みのいかがわしさをもった「ロック」(それは「ヴィジュアル系」というカテゴリに属せられているバンドやミュージシャンが体現していたのだが)を2021年に大きな衝撃を持って見せつけてくれたのが(sic)boyだった。MVのツンツンにした金髪も「SANDY」頃の清春のようでイカしてる。KMのビートもイカつくて最高。
リーガルリリー「地獄」
上半期選出。この世もこの世に存在するこの自分の中身も全てが地獄めく時が誰にでもあるのではないか。詰まった息を何とか吐いた時の混沌と勢いを表すような楽曲となっている。きっと歌詞の「僕」がした「許されないこと」とは大したことないことだろう、しかしながら「夜も眠れ」なくなるものだ。そんな夜はこの曲を大きめの音量で聴いて明日の近づきから目を少しそらしてはいかがか。
GRAPEVINE「ねずみ浄土」
アダムとイブの原罪の物語をモチーフにしつつも完全に語感で遊んでる歌詞が空白と強い粘りの効いた楽曲に乗って脳を揺さぶってくる。奇妙な楽曲だが、奇妙な人格だからできる、といった楽曲ではない。キャリアに裏打ちされた熟練の技術によって丹念に精緻に作り上げられた異形。さすがだぜ。
佐野元春&THE COYOTE BAND「街空ハ高ク晴レテ」
想えば、佐野元春はデビューから街の様子を歌にしていた。君に対する真摯な想いを歌詞に紡いできた。それは40年経った今でも変わらない。しかし、彼の住む街の姿、そこでの生き方、生きる者の様子は大きな変貌を繰り返している。世界規模の狂騒の煽りを食うのは、いつだって街の片隅の弱き者だ。2021年に懐古的な「シティポップ」を手段としてそれらを描くのは彼の仕事ではない。あくまでオルタナティブな「シティポップ」を用いた、「頼るもの」も「戻るとこ」もなくした懸命な彼らへ吹く爽やかな一陣の風。
大塚愛,あっこゴリラ「あいびき」
上半期選出。タイトルが人間が抱える性欲と食欲の一次的欲求が匂い立つ掛詞となっている。「逢引」であれば「二人から出る愛汁だけ」や「そっちが上 こっちが上」「繰り返されるそれがフライ返し」に意味がそっと宿るし、「合い挽き」であれば「ハンバーグ素敵」に目が向きながら、様々な「バラバラ」なものを混ぜて成形されてるのはまさにこの楽曲ではとメタな構造にも思いが馳せられる。
BTS「Butter」
昨年に引き続き世界を魅了し続けるBTSの楽曲。さながらSMAPが’96~97年に「青いイナズマ」「SHAKE」「ダイナマイト」とダンスチューンを連発していたことが思い出されそうな、「Dynamite」との確かな連続性の感じられる一曲。インストを聴くと、太めのベースと吐息がセクシーでまさにバターのようにとけてしまうほど。ファンに呼びかけるような歌詞もイイ。
L'Arc~en~Ciel「ミライ」
上半期選出。4年ぶりに届けられたラルクの新曲。ラルクというものへの想いと、今の社会がより明るい方向へ進むようにとの祈りが込められたかのような光を感じる開けた楽曲。ザ・フー「ババ・オライリー」めいた打ち込みのリフが印象的であるものの、最後サビは少しリズムをズシッと落としてより粘りを強めているパートなど、「4人」が作り上げているのが感じられてグッとくる。ラストはドラムがマーチのリズムを刻んでて、この曲を従えて歩き出す彼らや僕らの姿を感じることができる。
DYGL「Half of Me」
上半期選出。タイトなキックの音からサビへのヌケが気持ちいい。そのくらいのシンプルな感想しか持ち合わせていないのだけど、加えて思うのは聞くたびにMura Masaの'20年のアルバムの音を思い出すなーということ。シンプルなバンドサウンドながら、オーバーシー感がしっかりと存在している。
ウルフルズ「よんでコールミー」
上半期選出。熱っぽくないリフレインされるメロディーが心地よくて繰り返し聞いている。「会いたくて」ときみへの想いは募っていないわけではないのに「約束なんかしなくたっていいさ」とクールな一面をみせる。しかし思いは大文字でタイトルに現れているのだ。見逃すなかれ。
The Linda Lindas「Racist,Sexist Boy」
2021年に見たライブ映像の中で1番だった。彼女たちがこのような曲を作り、歌わざるをえない状況には胸を痛めるしかできない情けない俺だけど、この熱さはどこまでも届いてほしい。できれば、このような歌が必要のない世の中になっていってほしい。
Zoomgals , Dos Monos「陰毛論」
「陰謀論」ではなく、「陰毛論」て~wwくらいな反応でもいい気もするけど、いや、まてルッキズムへの言及も…いや、急な謎い撞着語法(oxymoron)が…。俺も俺の陰毛論を持つか…。「青雲 それvalkneeが見た光」、これ今年一番のパンチライン。
三浦大知「キャンディ」
2021年の三浦大知のリリース楽曲もキレキレだった。特に「About You」の高音なんて超人的。しかしこのカバー曲を今回は推したい。エレクトリックピアノの残響と彼の歌唱の重なりが気持ちええ。。グルーブなるものが間違いなくある。彼の歌唱の魅力を妨げない編曲にした亀田師匠やるじゃん~。
ASIAN KUNG-FU GENERATION「エンパシー」
エンパシーの言葉の意味は分かる。しかし理解したとて上手にそれができるか。いや、怪しい。「ヨレたフォーム」になるだろう。しかし、だからといってその姿勢を崩してはならない。その果てにある自由のために。特に二番の歌詞に思いが満ちているように感じる。説教臭くならないのは澄んだ音像と疾走感ゆえだろう。
cero「Nemesis」
歌詞にも出てくるが、丹念に編まれたタペストリーのような印象をコーラスやリズムの重なりに受ける。擦れを耳に感じさせるファルセットを基調にした歌唱で届けられる歌詞で表されるのはいずれも霞んでいる。遠く去り行く飛行機や、珊瑚礁の死んだ世界、宇宙服の中の未来、別れの挨拶、どれも霞んでいる。しかし確かにある。存在の揺るがぬ事実。
Yogee New Waves「SISSOU」
この曲を聴くとどうにも佐野元春「WILD HEARTS-冒険者たち-」が頭をよぎってしまう。それは「パクリだ!」などと糾弾したいのではなくて、東京の街には、変わらずこれらの曲が表しているような疾走する風が吹くのだな、ということ。いや、そこに住む若者の疾走がまた風を生むのだろうなあ。サビの別れの言葉がジメッとしたものではなく、軽やかなのが今なのよ。
ないあがらせっと「グッドサマー」
北九州は戸畑から夏を彩るメロウでダルな楽曲が。ジリジリと太陽に焦がされながら汗を流しつつ、もしくは泳ぎ着かれて扇風機の風を浴びつつ、この曲が流れてきたらそれはもうグッドサマーじゃんね。
Analogfish「Saturday Night Sky」
身体を揺さぶるリズムでありながらダンスチューンにしては不穏な音使いなのは、踊りたい気持ちとは裏腹な社会の状況が存在するからか。でもこうも歌っている。「世界が望むようにただ、踊れなくても 君はもっと笑っていい」と。確かに東京も、地方の町も夜は少なからず輝いている。
Dos Monos「medieval」
これまでも批評的かつ創造性あふれる活動が目立つ彼らだったが、これはブレイクスルーたり得る一曲じゃないのか?!(アルバムに続く「王墓」も素晴らしかった)「medieval」から連想した三者三様のラップ(中性子爆弾/中性的/メディア論)がビートチェンジなどを交えながら繰り出されるが内容として好きなのは「近代人ほどいう 物の哀れ 有り難がるのは もっと憐れ」、フロウとしては「まるで中世の蛮習 晩春の原節子」の部分だった(たまたまどちらも荘子itのライン)。
w-inds.「EXIT」
慶太の近年のグローバルポップを取り入れた作曲はホントにキレキレ。この曲もThe Weekend「Bliding Lights」やPerfume「Time Warp」に並ぶ、a-haなどの80sポップスを現代的に引用した一曲。そこで歌われるのは、理不尽な状況からの逃避の肯定。「最後に君が笑う」ためには、必要な逃避もある。道のりは一つではなくて、「君には君の道のり」があって、どのような道のりでも走り続けることが重要に違いない。
クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」
もう’20年代のきのこ帝国「クロノスタシス」とも言うべき日本のロックバンドが紡いだ夜の曲の決定版みたいな(まだ2年しか過ぎてないのに!)。『世界観』収録の4〜7曲目がツボな俺にはたまらない。歌詞は「あの頃」を語るにとどまらず、「あの頃こうだったな」と振り返る今をしっかりと描写している筆致のレンジの広さは流石。
ばってん少女隊「わたし、恋始めたってよ!」
「おっしょい!」などスカコア・メロコアのノリに福岡の方言を混ぜ込んで飛び出してきた彼女らの変貌ぶりたるや。しかしながら、この曲もドラムンベースを基調としているので、参考・引用元の年代としては近いのか。ピアノなどを絡めた音の明るさや透明度は、TLで言及している方がいたがポーター・ロビンソンの2021年のアルバム曲にも通ずるところがあり、今なものとして受け入れられるものとなっている。そりゃ、この曲がアイドル楽曲大賞(地方)獲るの当然でしょ…!
cali≠gari「嗚呼劇的」
ABCD構成の石井秀仁による楽曲。ディレイの効いたギターが気持ちいい。出てきたメロディをリフレインせずどんどん新しいメロディが出てくる構成は「嗚呼劇的」と言えそうなものだが、非常に自然に聴ける。ジャケットの明けて白み出した空のような清らかさを感じる。
柴田聡子「サイレント・ホーリー・マッドネス・オールナイト」
クリスマスにともに過ごす相手がいないことなんて、茶化す暇もないくらい普通にあることで。ともに過ごすはずだった誰かが現れないことだって、そりゃ少しブルーだけどありうることで。だけど、そのぽっかり空いた時間と心を埋める何かを見つけることは現代では可能で、「ホームアローン」見ちゃったりしてね。でも、埋まりきらない。この夜は特別なものかもしれないが、そんな時は寝ちゃおう。照明は消して電飾は付けたままの部屋にこの曲をかけよう。
小沢健二「運命、というかUFOに(ドゥイ、ドゥイ)」
たーしーかーに、ラップパートのフロウは…と思うものの、彼の言葉を引用すると「新しい局面へ、行くために」必要なトライが成された楽曲なのだといえよう。「Do it」のリフレインを挟んで語り手が男女入れ替わるのは、「木綿のハンカチーフ」や「さらばシベリア鉄道」に連なる手法ではあるものの、ヒップホップにおけるビートチェンジ的な景色の変え方をポップスに落とし込むとすると、こうなるのだろうかとも思った。帰還後も「手なり」に溺れないであろうとする姿こそオザケンだな、と。世代でない自分は思うわけです。
以上の31曲は↓のプレイリストに。
下半期の各タームの良かった曲は以下に(上半期は上半期ベスト内にあります)。
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