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カーニヴァル番外編「テディベアのカーニヴァル」
Le Carnaval des Ours
ベルギー中央部の工業都市シャルルロワ(Charleroi)から東へ約50キロメートルほど行ったマース川の畔にアンデンヌ(Andenne)という町がある。人口は3万人にも満たない町だが、歴史は古い。
アンデンヌでカーニヴァル後の「カレーム(Carême=断食節、または四旬節)」の第四日曜日、「レターレ(Laetare)の主日」にテディベアを市庁舎で市民にプレゼントする行事があると聞き、訪れた。
「レターレの主日(2024年は3月10日)」の午後、アンデンヌの旧市街に熊のぬいぐるみを着た若者たちを含め、40団体、約1500名のパレード参加者が終結する。
旧市街を練り歩き、途中、パレードの山車の一つに加えられた檻の熊たちの解放があったりとストーリーを持ったパレードだ。
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観客たちの多くも熊の着ぐるみを着て参加。
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パレードに参加する1500人のうち、半数以上がカーニヴァルの衣装で参加。
観客たちにボンボン、チョコなどを配って歩くあたりはカーニヴァルと変わらない。
しかし華やかなコスチュームの娘たちも熊たちの迫力には影が薄い。
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アンデンヌ市庁舎のエントランスには、親子熊の像が置かれている。そもそもアンデンヌと熊の繋がりは、約1300年前に遡る。
アンデンヌの人たちは、690年頃のフランス王国の宮宰で、732年にフランス中部の「トゥール・ポワティエの戦い(Bataille de Poitiers)」でイスラム教徒のヨーロッパ北進を食い止めたカール・ マルテル(Karl Martell 688‐741)がこの地で生まれたとしている。
真偽のほどは別にして、アンデンヌには7世紀末にカール・マルテルの祖母聖ベッガ(Begga)が築いた修道院があり、アンデンヌは門前町として発達したことに由来するのだろう。
そのカール・マルテルが八歳の時にこの地方の田畑を荒らしまわっていた熊を素手で仕留めたという伝説がある。
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テディベアのカーニヴァルの歴史は比較的新しく、この地方の商工振興会が村おこしの起爆剤として熊退治の伝説にヒントを得て1952年から始めた。当初は田舎のカーニヴァルとしてあまり注目を集めていなかったが、テディベア人気もあり、1990年頃から観光客も訪れるようになり、数多くのベルギーのカーニヴァル行事の中でも人気の祭事となった。
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「レターレの主日」の夕刻、アンデンヌの市庁舎前の広場は、立錐の余地もないほど観客でイッパイになる。18時の鐘音に合わせてカーニヴァルの王様や女王、ピエロたちが市長舎2階のテラスから観客にテディベアを投げ込む。
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老いも若きもテディベアをゲットしてご満悦。「レターレ」とは、"喜び"を意味し、この日の典礼でイザヤ書66章10節の「歓喜せよ(レターレ)、エルサレム」から始まることから「レターレの主日」と呼ばれるようになった。
テディベアを受け取った人たちも歓喜に沸いたことだろう。
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