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ル・コルビジェ設計のロンシャン礼拝堂

フランス東部、スイス国境に近いヴォージュ山地の丘の上にスイス出身の建築家ル・コルビジェが設計した礼拝堂がある。東京の国立西洋美術館などと共に「ル・コルビジェの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」として2016年にユネスコの世界遺産として登録された。

一般の教会ではファサードと呼ばれる入り口のある正面部

ロンシャンの礼拝堂は正式には、ノートル・ダム・デュ・オーNotre dame du Haut、高地(海抜472㍍)にあるノートル・ダム(聖母マリア)と呼ばれる。ブールレモンBourlémontの丘には11世紀末頃から礼拝堂があり、15世紀頃から巡礼地となり18世紀末のフランス革命まで聖母マリアの聖誕に献堂された礼拝堂があった。第二次世界大戦のナチスの爆撃によりその礼拝堂が破壊された。

回転ドア式の入り口扉。ル・コルビジェ自身が描いた抽象画。

第二次世界大戦後、ロンシャンRomchampsの村民の希望で再建が計画され、1950年に美術評論家で芸術に精通したドメニコ会の修道士でカトリック司祭でもあったマリー・アラン・クトゥリエMarie-Alain Couturierは、モダニズムに関わっていたことからル・コルビジェにロンシャンのノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂の設計を委ねた。

入り口扉の内側から外部を眺める
礼拝堂の内観

一番近い村ロンシャンRonchampから約1.7㎞離れた丘の上にあり、人口約2700人の村民全員が常時礼拝に訪れる訳ではないので礼拝堂の内部は約200人収容と比較的小さな礼拝堂だ。

礼拝堂の身廊の南側の壁にはステンド・グラスを入れた小さな開口部(窓)がいくつも作られ、そこから光量が違う色とりどりの神秘的な光が入る
主祭壇
祭壇への燈明の蝋燭を置く台に赤い光が入ってくる。
主祭壇後方の壁、いわゆる後陣の壁上部の窓に聖母子像を顕示している
聖母子像は通常礼拝堂内を向いているが、礼拝堂外のテラスで特別ミサがある時は、外側を向くような仕掛けがなされている。

一般的には直線が多いル・コルビジェの建築には珍しく鉄筋コンクリートで作られたために自由で流線的な礼拝堂は彫刻ともいえる。場所によっては3メートルの厚さの壁になっていて、その壁の土台には第二次世界大戦で破壊された教会の瓦礫の石なども使われている。

特別ミサに使われる礼拝堂前の広場。外観は修道女のベールを思わせる。

年に数回ある大祭、8月15日の聖母の被昇天祭などは礼拝堂に敷設した外部の祭壇を利用して、教会前の広場を会場に特別ミサが行われる。(特別ミサに関しては事前に下段のネットで確認のこと。)

巡礼者の休憩所の壁には巡礼者の旅の無事を願い聖クリストファーの像が。

礼拝堂から100メートルほど離れたところに巡礼者たちのための休息所が築かれている。

Colline Notre-Dame du Haute
13 rue de la Chapelle
F-70250 Ronchamp
+33 (0)3 84 20 65 13
有料大人9Euro(2024年夏)
開堂時間 4月中旬―10月中旬 10‐18時
     10月中旬-4月中旬 10‐17時
https://www.collinenotredameduhaut.com/ja/




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