現代を「鬼滅の刃」で読む(捌):一緒にご飯食べよぅ
人間は動物です。でも、ほかの動物と人間らしさを分かつものは何でしょう。
いろいろありますが。いま、一つ上げるとしたら「ご飯を一緒に食べる」です。
動物界では、食事は単独でするのが一般的です。ご飯を盗まれないように安心できる草陰に持って行って食べます。確かに食事をしているときには、意識もそちらに持っていかれて、攻撃も受けやすくなるでしょう。
人間の場合、テーブルを囲んで、相手の顔を見ながら食べることができます。
大皿の料理を相手に取り分けることもできます。
同じ釜の飯を食べ、鍋をつつくこともできます。
「一口ちょうだい」「一口が大きいよぉ」が言えます。
同時に、食事は外部の世界のものを体の中に入れる神聖な儀式。エロスの儀式でもあります。信頼している相手との食事じゃないと、美味しくありません。
スポーツ選手が合宿するのとか、文化人類学者が調査地に行ったときに現地の人と同じものを一緒に食べるのは、信頼関係を築くためです。
個食もいいけど、人間との信頼関係は一緒にする食事から始まる。一緒にいたくない人間も食事をするとわかったりする。
鬼殺隊の柱、甘露寺さんと伊黒さんの微笑ましい心の会話を聞いてみましょう。
甘露寺:「伊黒さんと食べるご飯が一番美味しいの、だって伊黒さんすごく優しい目で私のこと見ててくれるんだもん。」
伊黒小芭内:「ささいなことではしゃいで鈴を転がすように笑い、柱になるまで苦しい試練もあっただろうに、それを少しも感じさせない。君と話しているととても楽しい。まるで自分も普通の青年になれたようで幸せだった」
伊黒小芭内:「底抜けに明るく優しい君は、たくさんの人の心をも救済している。胸を張れ」
生まれ変わったら結婚してくれますか、もちろんだ・・・。
(コミック23巻)
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