大感謝
『感謝』を体感しました。
多分、人生で一番大切な経験だったと思います。
島根県を訪問し、気になっていた熊野神社を探して走りました。
島根には熊野神社がたくさんあります。
その中でも特に気になる場所を探して、ゆっくりと海岸線を走りました。
大社町宇龍という漁村に入り、立ち話をしている地元の奥さん方に「『熊野神社』は有りますか?」と尋ねてみました。
奥さん方は、「あれかな?そっちかな?」と言いながら探してくれましたが、あまり詳しいことはご存じなくて、100m くらい離れた所で立ち話をしている男性に聞きに行ってくれました。
男性たちは漁師さんで、すぐ目の前にある島を指差して、「権現さんはあれだよ」と教えてくれました。
島は離れていて、橋はかかっていません。渡ることはできません。
漁師さんは「10月にはお祭りがあるからその時にまたおいで、船はその時出るから」と言っています。
奥さんたちは、「この人は遠くから来ているから、誰か船ないか?」と船を探し始めました。
奥さんの一人は、「旦那は漁から帰って、船をもう陸揚げしてしまっているから、でも頼んであげるよ」と言いながら、寝ているご主人を起こしに行きました。
丁度そこへ、もう一人の奥さんのご主人が船で漁から帰ってきました。
すかさず、そこへ駆けて行き「この人が、熊野神社にお参りしたいらしいから船で渡してやってくれ」と頼んでいます。
見ず知らずの男が、ただ、『熊野神社にお参りしたい』というだけで、皆さんが大騒ぎで準備をしてくれました。
港に帰ってきたばかりの漁師は、漁の獲物もそのままで、私を離小島に渡してくれて、もうひとかたの漁師は中乗りとして乗船し、私と一緒に島に渡ってくれて、私のために階段に溜まった枯れ枝を払い除けて、道を確保してくれました。
空は晴れ、空気は澄んでいて、清々しい気持ちでいっぱいです。
こんな感動的な応対をしていただいて、心から感謝の気持ちが湧いてきます。
お詣りが済んで、階段を降りてくると、30分ほど経過しているのに、漁師さんは船で、すぐそばに待機してくれています。
ネクタイ・スーツ革靴姿の私を汚さないように、丁寧に漁船を岩場につけてくれます。もちろん桟橋などないので非常に難しいのですが、中乗りさんと力を合わせて見事に接岸してくれました。
陸に上がって、あまりの嬉しさにお礼を渡そうとしましたが、頑として受け取ってくれません。
大人が6人、初対面の私のために約1時間、船を動かし、色々最高のサポートをしてくれました。
今思い出しても『感謝』で涙が浮かんできます。
必死に、相手の手の中にお礼を納めて頂こうと、漁師さんの手を握った時に心の底から『感謝の気持』が湧いてくるのを感じました。
理屈ではなく、私の気持ちが伝わったのか、納めていただくことができました。
こんな貴重な体験をさせていただいて心から感謝しております。
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