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有季定型

絵はリズム、とのキーワードに引き寄せられて数十年、いよいよ深みを増している。

下手な俳句を初めて3年目になるが、進歩が見られない。
『俳句は5−7−5で表す」と言う定型に従い、言葉を選ぶが、うまく落ち着かない。

ある日、俳句は5−7−5ではなく、休止符を含んだ6−8−6ではないのかと思い至り、先生に相談した。

先生が次の会合に平井照敏(ひらいしょうびん)の有季定型を貸してくれた。
解説は微に入り細を穿ち、俳句の成り立ちから作法まで詳しく述べられている。

リズムに関しても、日本人はワルツは苦手で、四拍子に収まってしまう理論が詳しく記載されていた。
民謡学者の町田佳聲が言っていた「日本の民謡には三拍子はない」とも合致する。

俳句は8−8−8のリズムで刻まれていることに納得できた。
ここから、5−7−5を差し引くと、『3−1−3』が残り、これが音楽で言うところの休止符にあたる。

平井照敏が『はじめに』に利用した『せぬひま』に全てが表されている。
「せぬひま」は世阿弥が花鏡で使った言葉で

「せぬひま」は、何もしないことや息を抜いて休んでいることではありません。動いているとき以上にエネルギーが内部で張り詰めている状態。演者が休止部においても集中力を切らさないでいるその様が観客の目からは面白いとうつるということです。

かげいち

のように理解されている。

つまり、リズムを構成するときに、休止符は休んではいけない、一生懸命音を出さない努力をしなさい
ということだったのだ。

リズムの、働きを具体的に理解していたのが世阿弥だったとは、驚きの発見だった。


 


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