富士山
本棚の整理が進んでいる。
積み重なった本の間から日の丸が出て来た。
ちょうど60年前、富士山の山頂で購入したものだった。当時11歳、駆け足気味で登れたことを思い出した。
雷さまを下に聞く
という歌があったが本当に下の方で雷がなっていた。雨も下の方で降っている、雲の地帯を抜ければ晴天だ。
ボーイスカウトの世界ジャンボリーが60年前に御殿場で開催されたときのことだった。
一週間ほどの野営だったと思う。自衛隊の御殿場演習場がキャンプ地だった。
不発弾が出て来たり、毎日物珍しいことばかりだった。
キャンプ中、富士山を毎日見ていた。
毎日見ていても飽きない日本の象徴だ。
ある時不思議なことに気がついた。
雲の形が時事刻々と変化していくのだけれども、同じ形が一度もない。
延々と変化していくのだが全く違う形の雲が出てくる。どんなに眺めていても同じ形がない。色彩も変化する。
キャンプ場には色々な国からたくさんの人々が集まっているが、同じ顔の人は一人もいない。
小学校6年生の頭に「これからの人生は人それぞれ別々で、決して同じことは起きないんだ。予測することもできない。」と浮かんだ。