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現行犯

老犬がいつになくおとなしい。
こういう時は何か企んでいることが多い。

気になって、庭を覗いてみると、まさに脱走寸前だった。
ケージの10cm 程の隙間に頭を突っ込み肩を抜こうとしている。

前回もここから脱走したのだろう、広いケージの中のこの箇所に居ることが多いのでお気に入りの場所だと思っていた。

ほとんど視力もなく聴力も無い老犬の、脱出場所探知能力には驚いている。

日中に脱走すれば車にはねられることは必定だ。
運転手さんに迷惑だし、保護犬として譲って頂いて十六年半、最後まで面倒を見ますと約束して可愛がってきたのに、約束を破ることになってしまう。

去年の暮れはきっと越すことはできないと思って、家族みんなであらゆる手当てをしたせいか、体調も良くなってきている。

餌の咀嚼力も弱くなってきたので、胸肉もジャーキーではなく湯がいて与えるようにしている。

贅沢をさせているが、エリと名付けたこの犬を最近はクイーンに因んでエリザマスと呼んでいる。

なんの芸もないこの犬が一日でも長く生きてほしいと願っている。
家族の一員としてみんながそれぞれ気をつけているのが良くわかる。

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