大岡昇平の世界
大岡昇平が言った(書いていた)『絵はリズム』と言う言葉に刺激されて、それはどういうことだろうと、追求したくて音楽を習い始め、絵を描いた。
思い立って60年近く経過して、気づいたのは、音楽のリズムは『音符と休止符を譜面通りキッカリと演奏すること。』だった。
リズム感の悪い人は休止符を正確に休んでいない。
適当に音を出してしまうからリズムが狂って聞こえるのだ。
絵について考えると、絵のリズムとは『物体と空間の境界線をギリギリまで追求すること』だった。
そうすると書のリズムは『黒と白の対比を正確に捉える』ことだとわかる。
最近始めた俳句は、全くわからないので解説書に頼りっぱなしだ。
その解説書にいわく、俳句は文字ではなくて『韻列で詠む』と書かれている。つまり俳句は、声に出して詠むものでリズム感が大事とも書かれている。
そうなると俳句もリズムということで、芸術は全てリズムにコントロールされていることがわかった。
俳句は5・7・5という言葉で語られるが、実は5音+休+7音+休+5音と数え、6・8・6といった方が正しいのではないか、などと考えている。
それはさておき、大岡昇平が言ったと記憶しているこの頭を立証するために、大岡昇平の本を読み漁っているが、なかなか原点にたどり着かない。
今回、入手した32年前出版の大岡昇平の世界、17人の書評を集めたものだが、この口うるさい書評家が大岡昇平を認めている。
大岡昇平は、人生は芸術だということを理解し、実践してきた人だということが理解できる。
大岡昇平に巡り会えた幸福を感謝している。