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リタイアメントホーム
老後をどこに住むか、そろそろ検討に入ろうかなと考え始めています。
自宅をバリアフリーに改造して住みやすい環境にするという手もありますが、看護人の確保が非常に困難です。
やはり、社会の邪魔者にされずに、ゆったりと人生を楽しみながら暮らしてみたいと考えると、以前、バンドで慰問した、ロサンゼルスの『リタイアメントホーム』を思い出します。
その『リタイアメントホーム』は日系人が主たる住人でしたが、素晴らしく立派な建物で、シャングリラ、とかシェラトンのような高級ホテルを彷彿とさせる建物でした。
我々は、アマチュアのビッグバンドで、慰問のために、ジャズや演歌などを用意して、訪問したのでした。
この『リタイアメントホーム』には過去に『美空ひばり』などの大物が来ているとの前評判から、あまり恥ずかしい演奏はできないと、プロの演奏者を一人エキストラで同伴をお願いしました。
プロが一人メンバーに入ると、演奏が違ってきます。リズムがはっきりするし、音楽の完成度が全く違うのです。
現地で職員の方と段取りを打ち合わせていると、何やら様子が違うのです。
職員は従業員ですから、演奏とか、トークの段取りプログラムに、積極的に関与してくるのは当然なのですが、老人たちも参加してくるのです。
意見をハキハキ言うし、健康的なのです。
あるお婆さんが近寄ってきて謝るのです。「ごめんなさいね。私はまだ85歳なのに車椅子に座ってる。ここでは90歳を過ぎないと車椅子には座らないの。」
驚きです。
色々質問をすると積極的に答えてくれました。
この素敵な『リタイアメントホーム』を運営しているのは彼ら老人たちだったのです。
医師、看護師を雇い、調理師を雇い、事務員を雇い、老人たちが自分たちが快適に過ごすために、この『リタイアメントホーム』を開設し運営をしていたのでした。
当初は、成功した人たちが資金を出し合い、建物を建て従業員を雇い、自分たちが快適に住む環境を作り出しているんだそうです。
その方達が、亡くなると全ての資産がその『リタイアメントホーム』に遺贈され、運営費に回されて行きます。
また運営が厳しかったり、改装費がかかったりすると、元、所有していた自分の会社に寄付を募りに行くそうです。もちろん企業に対して税制の優遇措置は取られるそうです。
日常生活は個人が尊重されており、部屋は個室になっています。
各自の得意な技術を活かして、クラブ活動を運営しており、お花の教室、俳句クラブ、お裁縫、書道などと各自の部屋で教室を催しておりました。
中央には大きなホールと正面にはステージが設置されていて、バンドの生演奏を入れて、ダンスパーティを催すこともあるそうです。
バンドの音楽に合わせて入居者と一緒にダンスをして楽しみました。
後で、話し合いの場を設けてくれたので質問してみました。「毎日何を考えて生活しているのですか?」
とても素敵な答えが返ってきて感動しました。彼らは「自分がこの組織や、友達のみんなに何ができるかを探している」そうです。
アメリカでの老人ホームの慰問が、ことのほか面白かったので、帰国後たくさんの日本の老人ホームを回ってみました。
全く、日本はアメリカとは環境が違っていました。
不思議なことに、日本の介護施設、老人ホームは小規模のものが多いです。その中でも、やや規模の大きめなものは病院が経営していたりします。
居住者は、ほぼ受け身です。『他人のために何かしてあげる』と考えている人は見かけませんでした。
よく聞いたセリフが「あの介護士は、あの人のことばかり世話をして、私のことを後回しにしている」と、自分がサービスを受けることばかりを気にしていました。
事情もあるのでしょうが、70歳代で車椅子に乗っている人をよく見かけます。
バックグランドで流れている音楽はほぼ演歌です。
料理は、病院食か、学校給食並みのものが多く、二日連続では食べたくなくなるようなメニューです。
隅の方で何人か集まって、集団遊戯みたいなことをやっていました。
「むーすーんでひらいーて・・・」
私が「むーすーんでひらいーて・・・」をやらされたら、即座にその場をさってしまうと思います。
私の友人が、母親を有名な介護施設に入れたそうです。
その母親が、「あれが食べたい。これが食べたい」と言うので差し入れをすると、全て没収されて、直接手渡したものまでも取り上げられるそうです。
栄養管理という名目で、食事制限され、知的活動を止められて、ただ生きているだけの生活をさせられる介護施設というものには絶対に入りたくないと心から思っています。
アメリカの『リタイアメントホーム』は素敵ですが、周りの環境は最悪です。
人が安全に住める環境ではないです。
銃を持たないと、安全が確保できない生活などごめんですね。
災害が起きた時の略奪行為も、とても耐え切れるものではありません。
自分さえ良ければ他人はどうなっても構わないという西洋的な発想にはついていけません。
日本の環境は世界の中でも稀に見る安全が確保されており、他人を思いやる心が残っています。
今回の[どこでも住めるとしたら]というテーマに基づいて考えるならば、既存には無いので、新しく作り出す方式で、
アメリカ式の、居住者の自主運営により、運営管理者を雇い入れ、建物内でレストランを運営し自分の好みの食事を選択可能にし、クリニックを設置し健康管理を自分たちの気に入った医師や看護師に管理してもらう、ステージやホールを設置し、音楽もクラシック、ジャズ、ポップス、演歌などジャンルを問わず選択できるシステムを設置し、学校も設置して知的生活をインジョイできる機能を持った『リタイアメントホーム』を日本に作ってそこに住みたいです。