船長潜水
集合場所を間違えていることに気づき慌てて指定の場所に急いだ。鷹巣漁港には『みの浦丸』は2艘あるので親父船の方へ行ってしまったのだった。
こんな場合、船長や乗合の釣り客がイラついた顔で遅れた我らをを待っている。
今回は、慌てずにみんな待っている。
他の釣り船は、釣り客を乗せて出船していく。
我々の船の乗客は、海を覗き込んでいる。
船長が、海に飛び込み、ナイフで何か切っている。
どうやら、漂流していたロープをスクリューに巻き込んだらしい。
命綱というくらい海のロープは頑丈に出来ている。
だからスクリューに巻き込んだら大変なことになる。
先程から船長は何度も潜っては、ナイフでロープを切断しようとしている。
大体人間の潜水能力は約3分、これをすぎると限界値になりブラックアウトしてしまう。
作業を、長時間続けるとなると潜水時間は45秒が適当だろう。
しかし45秒では、中々作業が捗らない。
さすが、プロの漁師だけあって、少しずつロープの切れ端を切り取ってくる。
25分程度かけて、これだけのロープを取り外してきた。
これだけのものが巻きついていたからスクリューは回らなかったのだ。
船長は一息入れて、出船したが、シャワーも浴びずにご苦労様だ。
出足に躓くと、「あまり良いことはないのか」と軽口を叩きながら、漁場に着いた。
結果、前回の2倍は釣れたと聞こえは良いが、前回の釣果はケンサキイカ2杯だったので足取り軽くは帰れなかった。
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