タクシーは閉空間
運転手は緊張している。外国でタクシーに乗って黙ったままいると段々と緊張感がたかまり最悪の状態になる。
日本では話しかけても返事をしない無愛想な運転手が時々いる。これは安全な日本にいるから出来ることだ。外国ではあり得ない。後ろの席に得体の知れない人が乗っているのだ。黙っているやつは何か企んでいると考えている節がある。話しかけて少しでも情報を得て、危険を回避しようとしている。客から話しかけると喜んで対応してくれる。
中国のタクシーは運転席の背もたれには鉄板が入っていて刃物が刺さらない構造になっている。銃よりも刃物が手に入れやすいので犯人は刃物を持っている。運賃の代わりに後ろから ”ズブリ” とやられることが多いからだ。だから話しかけると喜ぶ。アメリカのタクシーは客席と運転席は強化プラスチックで区切られている。話しかけるとリラックスして緊張感が取れる。
例外があった。JFK空港からマンハッタンのP.K.の事務所へタクシーで向かったところ話しかけても返事をしない運転手がいた。明らかに遠回りをしている。「道が違う」と言っても無視している。仕方がないので、P.K.に電話して状況を説明した。明らかに遠回りしていて、運賃はいつもの倍以上になることは確実だ。運転手に携帯を渡しP.K.と話してもらった。それでも道がわからないなどと言って遠回りをやめない。一旦切った携帯にP.K.から電話があった。弁護士のP.K.は彼の会社に電話をかけて、彼の雇用契約を解除させたそうだ。
楽しい話もある。ロスアンジェルスから乗ったタクシーの運転手は「アフリカからきたばかりで、アメリカが楽しくて仕方がない」と言っていた。また彼の国はケニヤの近くで人口が少なくて全国民合わせて8,000人だそうだ。言葉も特殊でアフリカでも通じない。数の数え方も独特で指折って数え方を教えてくれた。80mileで走っているハンドルを手放して。
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