金継ぎ
このお店は器を大事にしている。(カフェ・アダチ)
大事にすれば、欠けることはないのだが、業務用に使えばこういうこともあるかと、同情している。
せっかくのマイセンが欠け傷だらけになっている。
欠けた食器を金継ぎして使っているが、これはこれで風情がある。
漆を盛って金彩を施すのだろう。少し盛り上がっている。しかし下地が漆なので手荒な取り扱いはできないだろう。
うちのマイセンも欠けているのを発見した。きっと食器洗い機のせいだと思う。
金継ぎを試してみようと漆と金を揃えたが、自分が漆にかぶれることが判明した。
手の甲と唇のあたりが腫れて痒くなる。1週間ほどで引くのだが、痒みはとても堪え難い。
漆以外の金継ぎを考えた。金の溶液を磁器や陶器の欠けに盛り上げ、実験用に買ってあった電気炉に入れ、814℃くらいで焼成すると、定着することがわかった。
仕上がりは綺麗な金色でとても良い感じだ。
漆にかぶれることも無く、楽しいのだが、何せ手間がかかる。余熱から焼成、冷却までだと12時間くらいかかる。
金の溶液を使うので、釜に入れる前に、傷を隠すために欠け部にこんもりと盛り上げる。
焼成する際に溶剤が飛んで金だけが残るので、金の溶液があんなに盛り上がっていたのに傷口がわかるほどに薄くなる。
気に入らなければ、もう一度、金の溶液を盛り上げて再度焼成することになる。薄膜を少しづつ積み重ねていく様な仕事だ。
この電気炉1240℃までプログラム加熱できるので、焼き物に挑戦してみようと悪巧みしている。