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南宮温泉

車がオーバーヒートして、走行不能に近い状況でになったので、エンジン停止して冷却するのを待ち、冷却したのを見計らって、エンジンをかけ、2kmほど走るとエマージェンシーランプがつくので、エンジンを停止。

これを繰り返していると、民家が見えてきたので、水を分けてもらった。ラジエターに時々注水して走行していた。

地図を見て、経路を辿ってみると、道の駅遠山郷から天龍村を抜けたあたりで土砂崩れのために通行止めになっている表示を見て、飯田方面に進路変更をしていた。

午後6時近くになって辺りはもう真っ暗になっている。
峠を下ったあたりでポツリとあかりが見えた。看板に『南宮温泉』と書いてある。
看板の隅に小さく食事処とあった。

緊張しているので気づかなかったのだが、お腹が空いていることを思い出した。
早速、中に飛び込んで食事ができるか尋ねてみると、「どうぞ」と案内してくれた。

とても、人当たりが柔らかくて気持ちの良い対応をしてくれる。
妻がメニューにある『天ぷら定食』を頼み、私は『朴葉味噌定食』を頼んだ。

しばらくして、中居さんが「どちらの料理も時間がかかります。」と言ってきた。
何ができるのか聞いてみたところ、『牡蠣フライならすぐできる』とのことだったので、二人ともそれを頼んだが、長野県下伊那の山奥で牡蠣フライを食べるとは思わなかった。

ストーブ

料理を待つ間、周りを見渡すと、近くに薪ストーブが据えてあった。面白い山嵐型のストーブだ。たくさん突き出した針が効率よく放熱してくれるので暖かくなるのが早いのだと思うが、お湯を沸かしたり調理に使うことはできそうもない。

食事が終わって、帰ろうとしたら板前さんが出てきて、「注文に答えられなくて申し訳ない」と丁寧に謝罪された。想像を遥かに超えて美味しかったので、「ごちそうさまでした」とお礼を述べておいた。

「車がオーバーヒートしてようやく辿り着いた」と言ったら、「帰り道、この先困ったことがあったら、いつでも連絡してください。」と嬉しいことを言ってくれた。

高速道路の進入口まで走ったが、途中一件も食堂がなかったので、あそこで食事をしたのは正解だった。

こんな嬉しい体験ができるので長距離ドライブはやめられない。

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