ポーラ美術館『カラーズ』展へ【前編】
大好きなポーラ美術館(神奈川県/箱根)で5/18まで開催中の『カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ』展に行って来ました。
■展覧会について
■「色彩」に焦点を当てた、時代横断の展示
今回は19世紀後半の印象派の絵画から21世紀のインスタレーションまで、様々な時代の作品を通して「色」がどのように使われ、解釈され、表現されてきたのかをたどった展覧会。
絵画、写真、映像、陶器、漆器、インスタレーションなどバリエーションに富んだラインナップで、かなりの作品数ながら見飽きない内容でした。
■チューブ絵の具と化学顔料
現代で印象派と呼ばれている画家たち。彼らの創作になくてはならなかったものがチューブ入りの絵の具。1842年に発売されて以降、合成顔料の開発もさかんに行われました。安価でバリエーションに富んだ色や、今までになかった色も登場。
それまで絵の具といえば、粉の顔料を油などに溶かして使うものでした。持ち運びは難しかったのでこの進化は大革命でした。
“印象派が絵画の色彩表現を変えた” と言われる裏には技術の発展あり。展覧会では、そういった顔料ごとの特性を知り尽くしたレオナール・フジタ(藤田嗣治)の作品とその秘密も明かされていました。
■カドミウム・レイディアンス
合成顔料の代表はコバルトブルーやカドミウムレッド、ビリジアンなのですが、まさにこのカドミウムにフォーカスした《カドミウム・レイディアンス》という作品も。合成顔料ならではの鮮やかな色が下地を塗らないキャンバスに染み込み、その鮮烈さを放射状の構図で表現しているようでした。
滋賀県立近代美術館からは、他にも大型作品の貸し出しが。
こういった作品はモニター上で観るとのっぺりして見えたりするのですが、実物は絵の具の凹凸や物体としての存在感があり、感じ方が変わることが多い気がします。
川村記念美術館のロスコ・ルームに初めて入った時のことを思い出しました。
■長くなって来たので今日はここまで。
【中編】では個人的に気に入った作品のことや、この展覧会について少し客観的に考えてみたことを書こうと思っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!