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生活者視点はもう古い?これからの顧客体験をつくる人に必要な3要素。#CXDIVE

2019年4月17日 CX DIVE2019

昨日のCXDIVE、令和の時代にプロダクトやサービスを創る人間として、感銘を受けたポイントがありすぎたのでまとめました。(解釈込みのため、誤訳があるかもしれません)

わたしが理解した、価値あるCXを生む人に必要な要素は3点でした。

①個人的な「面白そう」「やってみよう」の熱量からはじめてみよう。

②「面白い」という感情は過去の体験から形成される。便利な時代だからこそ、意識的に「無駄なこと」をしよう。

③「面白い」の純粋さが保たれる小さな組織を保とう。

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11:15~12:15「変わる世界、うねりとしてのCX」
鈴木おさむ(放送作家)/遠山正道(スマイルズ)

<Key word①>
■企画はストーリー(物語)で共感を獲得することが最重要。
「面白い」「やってみよう」の熱量で始めてからビジネスになるか考える。

・Soup stock
スープを軸に人の感度を高めたくて、三菱商事で企画書を「小説」にして提出していた。ビジネス的な観点は一切入っておらず、店員、客の両方の視点が描かれた小説で、どのような空間、どのような共感を集めたいのかを綴っていた。そのため、空間づくりやコピーも、その時に描いた物語に沿っているかを考えている。

「なぜこれをやるのか」が書かれている企画書は面白くない、ワクワクする、熱量を感じる、自分で語りたくなるストーリーがあるかどうかが大事。
(見た人が自分の物語を語り始められたら最高ですよね by鈴木おさむ)

・Giraffe
マーケティング的に考えたら「ネクタイ」は完全に斜陽産業。
ネクタイでサラリーマンを元気にしたい、自らの首を絞め上げるネクタイで、ぎゅっと視点をあげてほしい、と始めているのでビジネス的な観点はなかった。Giradffeには「ネクタイの温度」を設定していて、34度は平熱、日常使い用、36度は元気を出したい、恋愛で勝負する時用などと展開。

ストーリーを売っているんです。コンテクストがとても大切。ただのファッションではなく「自分の気持ちをあげられるもの」としてネクタイを売っている。

<Key word②>
■マーケティングは行わない。自分のことを深く知る方がビジネスの近道。
自分のなかに「なぜやるのか(Why)」がないと、粘れない。どうせ大変なら、成功したときに100%で喜びたい。

・アーティストが個展を行う時、アンケートを取ったりしないでしょう。企画側が作りたいものを作る、球を投げることが、企画側の礼儀だと思っている。

・言葉を大切にしている。言語化することは大事。なんとなく思っている、だと実現しない。

・尾田栄一郎さんに会った時、自分の物語をめちゃくちゃ楽しそうに話されて「面白いでしょ?」と純粋な笑顔で言われたことがある。その時まで企画説明の時に「よくわからないかもしれませんが」など前置きを置きがちだったが、本気の熱量は人を動かすと感じて、そのためらいを捨てた。(By鈴木おさむ)

<Key word③>
■失敗とは、片目を瞑って「まあいいか」で作ったものが外れる時。

・マーケティングの結果でターゲットを規定して「当たるかな」とそこそこのものを作る。当たればまだいいが、うまくいかない時に他責にしてしまうし、何よりも粘れない。そうなると虚無感だけが残ってしまう。一度、そこそこの店舗の企画をして痛感した。

・逆に「やりたいことをやり切れた」と自分の中で完結できたなら、クローズする時も心にキズはつかない。失敗ではなく、たまたま世の中にフィットしなかっただけ。アーティストが10枚絵を描いて販売して3枚残った時、その3枚を失敗とは言わないのと同じです。

<Key word④>
■熱量を保つためには、小さく始めること。そして常に仕掛ける側であること。

・心が折られるStepを減らすことが大事。上司が少ないほどいい。自分のせいにできるので。自分の中に「なぜやるのか」が確立していく人は魅力的。
(ギラギラしていた子も5年間ADをやると飼いならされていく。by鈴木おさむ)

・どんなに小さいことでもいいから、ただ流す人生で終わらない方が面白い。例えば、お客さんに出すお茶でも「今日はXXXで美味しかった黒豆茶を出そう」とかほんの小さなことでもいいから、自分の責任範囲で意思を発することを続けていくこと。小さくても続けることが、成功体験にもなる。

・今後、仕事はPJ化(チーム化)していく。映画を撮る時のような感じ。何万人の会社が、この多様な世の中を動かすなんてことは少なくなっていく。「おもしろい」で集った人たちで熱量を失わずにできることが大事。

<感想>
リクルートで考え続けた「Will」、NEWPEACEの合宿で問われた「個人のWHY」がこの時代に何よりも大事と再認識。「自分は何がすきなのか、なぜ働いているのか」という個人のWHYを見つけていくこと、輪郭をはっきりさせていくことが、今後の世の中に発信できる人間になるための重要なステップ。WHYが見つからない場合は「考える」より「やってみる」ができる人であることがWHYが見えてくる。まず、ひとつずつの選択をなぜやっているのかを考えて動くことが今後の時代の成長。意思決定は場数。

個人的には「本当の失敗」は身に覚えがありすぎてグサグサきました。虚無。

参考になった記事URL:
https://exp-d.com/interview/3489/
https://colocal.jp/topics/think-japan/creative/20170823_101362.html
http://giraffe-tie.com/about/concept

13:00~14:00「テクノロジーにより進化するコミュニケーションとCXの未来」
青木俊介(ユカイ工学)/武樋恒(Synamon)

<Key word①>
■「社会をこうしたい」より「こういうのがほしい」想いの方が共感が得やすい。

・ユカイ工学ではアイデアを出し合う”妄想会”を社内で実施している。そこで得たアイデアで試作品を作り(2ヶ月間)、コンペを行なっている。”妄想会”で生まれたのがQUUBO。QUUBOは生活になくてもいいもの、ただ癒される、尻尾が動くだけのロボットだけど「これがほしい!」と主張する人の感性を大事にしてできたもの。(By青木)


・QUUBOはpepperとは異なり「存在感」がない点が素晴らしい。生活に溶け込んでいることが最強のCX体験。気づいたらある状態。(By武樋)

<感想>
なるべく小さなチームを保つことが、面白い企画を生むとスマイルズの遠山さんと同じ話が出た。多数の意見は時として邪魔になる、感性を信じられる人たちとチームを組めるか。QUUBOのファンミーティングでエンジニアと顧客が真剣に話し合っている写真が印象的。一方通行のメディア、プロダクトは熱狂を生まず、今後は便利なだけで、ロイヤリティを獲得できなくなっていく。

14:20~15:20「アナログとデジタルの垣根を超えるボーダレス体験の作り方」
桐島ローランド(写真家)/中邑賢龍(東京大学 先端科学技術研究センター)/小田健児(電通)

<Key word①>
■自分で一次情報として体験したことは自信になる。「ネットでわかる」と切り捨てると自分で考える力がなくなる。

・稚内まで電車で行く経験をした人と飛行機でしか行ったことのない人のどちらが自信を持って「北海道は遠い」と言えるか?という話。無駄に思える体験も、やってみると身を以てわかる。一次情報を元にした知識は応用が利くので知恵となり、自信になる。

<Key word②>
■目的がはっきりしない体験を積み重ねることで「面白い」と感じられる感覚が育っていく。

・驚こう、旅に出よう、知らないところに行こう。旅をスタンプラリーからトレジャーハント的なものに。


・今の時代「便利」なものに流されてナチュラルに生きていると考える力が養えない。そもそもデジタル化を目的にした施策は手段の目的か。目的に沿って手法を選ぶべきだが、これも便利さに無意識的に飼いならされていて思考できていない。

<感想>
・スマイルズの遠山さんの話す「やりたいの熱量」を持つために必要なステップとして「一次情報としての体験」がある。無駄と思える体験を積み重ねることで、その人のパーソナリティが育っていく。尾田栄一郎の仕事部屋がおもちゃや無駄なもので溢れていて、ここは「自分の好きなものだけが詰まっている、ほかにはない部屋なんです」と話していたことと意味は近く、好きなもの、やりたいことを積み重ねて自分自身が形成される、便利な時代だからこそ、意識的に体験していかないといけない時代になったということ。

18:20~19:20「CX LEADER DISCUSSION」
嶋浩一郎(博報堂ケトル)、青木耕平(クラシコム)、井上大輔(ヤフー)、長瀬英次(LDHJAPAN)

<Key word①>
■令和のCXとは、キャッシュレスのように「顕在欲を潜在意識下でアクションさせる」か、B&Bのように「潜在欲を健在欲に掘り起こして顕在意識下でアクションさせる」の2パターン。

・キャッシュレスの方向で価値があるのは、引きはあるけど大人の事情で実現できていない状況を、座組みや仕掛けで解決するやり方。


・顕在欲にアクションさせるサービスは「convenienceだけどloveがない」(by嶋)。

・今後のブランドは思考を省略してくれるブランド(paypay、Amazon)か、コミュニケーションが生まれるためのブランド(文喫、Ginza sony parkなど)の2パターンになる。Loveがあるのは後者。

参考URL:
・CX AWARD https://cxdive.com/award/

<Key word②>
■個人の熱量、ゆるい共時性、コミュニケーションが生まれるコンテンツが新しいブランドになるための必要要素。

・Loveが生まれるブランドとは、昭和と平成はマスで共時性を感じられることで、令和はマイクロで共時性を感じられること。スナックのやラジオが最高のCX。同じ時間を共有している、ゆるい所属意識にバイブスを感じる時代。


・結局コミュニケーションPFはコンテンツなしでは成立しない。サスティナブルでない。コンテンツと「語りスト」がいることがいいブランド。(By青木、井上)


・今は多様性によってマスに刺さる企画が減ったと言われるが本当にそうか?人類の長い歴史で考えれば、この数十年で志向性がそこまで変化するとは思えない。1人の「おもしろい」という純粋な気持ちで作られる企画が、数字が見えるようになった結果、減っただけではないか。その1人の熱量を信じられる人が減っただけだと思う。(By青木)


・平成はコスパ大好き時代。損をしたくない。B&Bでも「泣ける本ください」「役に立つ本ください」と言われる。レストランに行く前に食べログばかり見ている。思考することを放棄している。でもだからこそ、1日23時間思考していないからこそ、1時間の思考できる体験が付加価値になる。(By嶋)

<感想>
・生活者視点という言葉がなくなり、個人視点をどれだけ持てるかが価値とされる時代になっていく感。全セッションで「個人の熱量」「面白いと思える感覚」が価値といった発言が出ていた。個人視点は結局、過去の自分からしか形成され得ないため、過去(1秒前まで)の経験をどれだけ意識的に詰めるか。便利さに無意識的に流されると思考しない経験が増える。初めてデジタルデトックスの価値を理解。無駄な経験=意識して選択しないと詰めない経験。

・潜在欲を顕在欲に掘り起こして顕在意識下で行うアクションこそ、個性や面白い人を形成していく。

・思考していない人に、思考してもらう、潜在欲を掘り起こす違和感を仕掛けることが一番難しいけれど、便利な平成が引き起こした弊害、便利さゆえの思考停止を解消するために必要なチャレンジなのかもしれない。

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以上です!

改めて、だいすきなアーティストは ①純粋な個人の熱量(作品)、②共時性の提供(ライブ)、③コミュニケーションが生まれるゆるいコンテンツ(Twitter)が揃っているので最強のCXを提供してくれていると思いました。

非合理な事象を、無駄だと切り捨てない人間でありたいな。

・追伸

お昼に提供された6curry。おいしい。会場でカレーを媒体にしてコミュニケーションが生まれていた。遠山さんの「物語によって共感を得ることで、面白いから始まった企画がビジネスになっていく」を垣間見ました。



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