見出し画像

トム・デマルコ/ティモシー・リスター『ピープルウエア』の読書メモ②

社会学的問題よりも技術的問題にうつつを抜かすことは、次の笑い話と同じである。(P. 5)

A:「おい、こんなところで何してるんだい?」
B:「鍵を落とした所が暗くてね。明るい所に来て探しているんだよ」

答えがあるはずの場所ではなく、まったく別の場所で答え探しをする。このように書くとおかしなことをしているように感じますが、「暗いところじゃわからなかったから、明るいところに来ればわかるかと思って」なんていわれるとなんとなく納得してしまうかもしれません。

なにが問題か。これこそが大切なことで、決して問題を見失ってはいけないということなのかもしれません。光を当てるべき問題は、あるいは答えはどこにあるのでしょうか。

画像1

さて、今日は「第II部 オフィス環境と生産性」を読みました。「プロジェクトの成否をわけるのは、人に関する問題である」ということで、人に直接的に関係してくるオフィス環境について書かれています。

社員にヤル気を起こして仕事をさせるには、ヤル気を失わせる原因を理解することが先決だ。何時間、何日間も仕事が全くはかどらない原因はゴマンとあるが、結局、行き着くところは同じである。諸悪の根源は、作業能率を向上させるためにと、会社が社員に提供したオフィス環境そのものである。(P. 39)

(そう! そうなんだよ! その通りなんだよ!)と“ガッテンボタン”を“へぇボタン”を押すかの如く頭の中で20回ほど殴打しました。殴打という言葉の使い方は合っていますでしょうか。

第II部のなかでおもしろいなと思ったところは、「第10章 頭脳労働時間 対 肉体労働時間」に書かれてあった「E係数」なるものです。

単独で作業をする場合、プログラマーは心理学者のいうフロー(Flow)状態になっていることが理想だ。(P. 71)

ということで、ざっくりというと、フロー状態が労働時間に占める割合をあらわす指標です。本書では以下のように説明されています。

オフィス環境がよければプログラマーがフロー状態で働ける可能性が生まれると考えるなら、中断なしの時間数の記録は、オフィス環境の善し悪しを示す意味のある指標になりうる。(P. 75)

計算式は次の通りです。

E係数_re

8時間働いて、8時間中断がなければ1、8時間中断されっ放しであれば0となるわけですね。

中断なし時間の比率が十分に高い場合(上限は40%であると思うが)、プログラマーが必要なときはいつでも自分のフローに入れるような環境だと言える。中断なし時間がこれよりずっと少ない場合。仕事に集中できずイライラし、生産性が低下する環境だ。この値を環境係数、あるいはE係数と呼ぶことにしよう。(P. 75)

果たしてわたしの、この職場のE係数はどのくらいなのか、興味津々です。

ただ、この「中断なしの時間数」への計上は結構シビアで、フロー状態に移行するためには「通常、15分以上の精神集中過程が必要」(P. 72)とのことで、「4時間机に向かっていても、30分おきに割り込みが入ると、割り込みなし時間は0」(P. 74)としてカウントすることになっています。あくまでフロー状態で仕事をしていることが大事、というスタンスです。

まずは「フロー時間の重要性に注目」してもらい、「絶えず中断を意識するようになれば、何の気なしに軽い気持ちで隣の人の仕事を邪魔することもなくなる」(P. 74)であろうということです。

第II部を読んでさっそく取り掛かっているのは、自分自身の職場環境の改善です。(どうしたらいい感じになるかなぁ)と思い巡らしながらアイテムを検索している程度ですが、わくわくしますね。まずはできることから。

✨見つけた欲しいもの✨
https://www.askul.co.jp/p/352961/


いいなと思ったら応援しよう!