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危うさは至高のスパイス(2024.11.16 ジュビロ磐田vs横浜Fマリノス)
1.延期試合という形で終盤戦に行われる重要ゲーム
11月16日は今年唯一私が贔屓する横浜Fマリノス(以後、横浜FM)が私在住の静岡に試合に来る日。
元々は8月31日にこのカードが組まれていたが台風による豪雨で延期になり、
シーズン終盤のこの時期、代表戦によりリーグ戦が中断になったタイミングで試合が組まれた。
チケット発売日の10月26日の段階ではジュビロ磐田(以後、磐田)、横浜FMともに残留争い真っ只中で、
このカードが両チームにとってJ1残留を決める大一番になるのではないかと思っていたが、
横浜FMは前週の11月9日の鳥栖戦で勝利を飾りJ1残留を決めていた。
一方磐田は降格圏の18位で17位柏とは勝ち点5差、16位の新潟とは勝ち点6差。
この延期分の試合が終われば残り2試合となるため残留のためにはなんとしてでも勝ち点3を積み上げたい試合となった。
2.ヤマハスタジアム到着
磐田vs横浜FMの試合は2019年以来の生観戦。
10月初旬のゲームだったが30℃超えの真夏日で飲み物がいくらあっても足りなかったのを覚えてる。
余談になるが2020年に結婚したガンバ大阪サポーターの妻と初めて一緒に生観戦した試合だった。
その時と打って変わってこの日は曇天。
予報では曇り予報だったが今にも雨が降りそうな暗い雲が空を覆う。
それでもスタグルエリアは人で賑わい妻がおかわりしようとして売り切れてたメロンジュースも健在。
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3.久しぶりのゴール裏&徐々に上がるボルテージ
ひと通りスタグルエリアを見たあとは自分の席へ。
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端の方であったが久しぶりのゴール裏。
チケット販売から10数分で売り切れたビジターゴール裏席。
当然ギュウギュウ詰めになるので荷物をコンパクトにし試合開始に備えた。
残留争いの磐田はサポーターも気合十分。
肩を組んで中央に集まり「CN69」を歌う姿は圧巻であった。
ウォーミングアップ中も止まることのない両チームサポーターの声。
横浜FMはタイトルや残留の危機がなくなり唯一得点王タイトルの可能性のある
エースAロペスの個人チャントをいつも以上に歌いAロペス自身も何度もその声に応えた。
徐々に雨が降り始め照明に火が灯り雰囲気を盛り立てる。
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4.磐田の奇襲攻撃から徐々に流れは横浜FMへ
磐田のビッグフラッグがサポーター席に出てきていざキックオフ。
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試合は開始早々、気迫で上回る磐田が奇襲攻撃を仕掛ける。
再三に渡り横浜FMが攻撃のスイッチを入れるショートパスを先読みし、
パスカットで横浜FMの体勢が整わないうちにカウンターを仕掛ける。
5分には中盤でのパスカットからジャーメイン良→渡邊りょうと繋ぎ、
逆サイドに早めに入れたクロスをJクルークスが蹴り込み磐田が先制。
その後も磐田が横浜FMのパス回しを読みそこからのカウンター攻撃を発動。
二度三度シュートチャンスを迎えるも決定打にならず、
25分過ぎからは横浜FMのパスを引っ掛けることが出来なくなりそこからは横浜FMの一方的な攻勢。
磐田はGK川島、DF伊藤の決死のブロックとポストを味方につけ最後の一線を越えることは許さなかったものの、
45+4分に永戸の針の穴を通すかのようなスルーパスをAロペスが絶妙なコントロールをし、
GK川島の重心を冷静に見極めてゴールに流し込む。
磐田としてはあと少しでハーフタイムという場面で痛い同点ゴールとなった。
前半のスタッツはシュート数が磐田:横浜=7:16。
磐田は25分頃からボールを満足に前に運ぶことが出来ず。
後半開始からもその様相は変わらずむしろ濃くなっていった。
5.横浜FMの圧勝ムードから一転磐田の反撃
後半開始早々の47分、早速横浜FM攻勢の流れに結果が伴う。
Aロペスが競り合ったこぼれ球を西村→渡邉皓太→エウベル→永戸と流れるように繋ぎ、
厚く攻めたゴール前で最後は西村が押し込み横浜FMが逆転。
その後も面白いように横浜FMがパスを繋ぎ64分にCKの流れから再びAロペス、
71分に途中出場の植中のスルーパスを三たびAロペスが決めて一気に1-4。
その後も横浜FMが攻め込むが何でもない場面でボールを失う場面が目立ち徐々に流れは磐田へ。
磐田は83分に素早いパス回しから最後はジャーメイン良がゴールを決めると、
90+2分には再びクロスからジャーメイン良が決めて3-4。
尚もロスタイム磐田がシュートチャンスを迎えるも決定打にはせず何とか3-4で横浜FMが逃げ切った。
試合後は勝利の喜びに浸るもどこか喜び切れていない選手たち。
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圧勝ムードが80分以降に流れを明け渡し辛勝にしてしまった反省が伺える。
それでもリーグ戦久しぶりの連勝。
ゴール裏のサポーターは勝利時に歌うコーヒールンバと傘回しで勝利の余韻に浸った。
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6.危うさも試合を楽しむスパイス
また、ハットトリックで得点王レーストップに躍り出たAロペス。
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チームとしてAロペスに点を取らせようという姿勢が伺えそれにAロペスも応えた。
この試合、関係者や識者から見れば横浜FMが快勝出来る試合を自滅し、
一歩間違えれば同点の可能性もある何とも言えない試合をしたと評するかもしれない。
しかし私はちょっと危ない状況を楽しみ最終的には横浜FMに勝って欲しいと思いつつも、
お互いに最後まで沸くシーンが出て欲しいと同時に思っていた。
贔屓チームが圧倒的な試合展開、安心できる点差をつけて勝ってる試合を見れるのは幸せなことだと思う。
ただ時にはこういう天国から地獄に落とされかけた試合を目の当たりにして、
ドキドキと冷や冷やが入り混じった感情を持つような試合を観るのも観戦の思い出として深く心に残るし悪くない。
そういう意味ではこの日横浜FMが見せた危うさもサッカーをエンターテイメントとして楽しむスパイス。
この磐田戦はスパイスが少々強く効き過ぎた感はあったがこれもまた良き思い出。
(勝ったから言えるのかもしれないが)
久しぶりのゴール裏でいつも以上に燃えたのもあるがこの日の磐田vs横浜FMの試合を私は忘れない。
7.磐田は残り二戦全集中
一方の磐田も開始早々の奇襲攻撃と試合終盤の追い上げは目を見張るものがあった。
また磐田マスコットの二羽は負け試合のあとにも関わらずAロペスの挨拶が終わるのを待ち横浜FMサポーターにしっかり挨拶してくれた。
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状況的に苦しくはなったがこれだけの熱いサポーターとホスピタリティに溢れるチームは残って欲しいと思う。
おじゃ