ジャズを教わる。落語の古典で例える。理をとる。
ということで、なんと憧れのO師匠のレッスンを受けられることになりました。
結論からいうと、5年ほど、24歳くらいまでレッスンを受けました。
その間本当にいろんなことを学びまして。
ボーヤ(ローディってやつです)をやらせてもらったりして、礼儀作法なんかもね、ちょいちょい怒られたりもしながら。
でもほんとにレッスンでもライブでもオフでもファンに対しても音楽に対しても、紳士であり真摯な人でしたので、本当にいまだに憧れは止みません。
最初のレッスンの事をよく覚えてるので、ちょっと書いてみます。19歳か20歳くらいの時ですね。
代々木のジャズスクールで教えていたのでそこでレッスン受けることになりました。
初レッスン、レスポールを持ってったんですよね。で、なんかブルースでもやろうかっていってBbのブルースやったのかな、たしか。
で、一曲引き終わった瞬間、
うん、ジャズにならないからまずフルアコを買っておいで。
こんなギター使ってたってジャズって気持ちにならないだろ、ジャズはムードが大事なんだからフルアコ買っておいで。
いやーそれまで、スタインバーガー使ってるわけわからんジャズスクール講師と、バークリー教授です、教則ビデオで一儲けストラトセンセにしか教わった事しかなかったのでなんか視点が違うものだなと。
というわけで、その帰り道にもうそっこーでエピフォンの安フルアコ買いましたよね。意味もわからず。
ベニヤみたいなんでできてるヤスヤスのやつね。
安いっていっても八万くらいだったかな?ほんとなんでもいいからフルアコ買わないと!と思ってたんで、何も調べず。
でもこれも人生で最良の選択の一つでした。
ようやく僕はやりたかったジャズのスタートラインに立てたわけです。
O師匠が必要というならば必要なのだと思った判断は間違ってなかったんです。
ただとりあえずそこまで色々学んだことはジャズではない、と言うことをハッキリと言われたわけです。
II-Vのフレーズ弾ける?と言われて弾いてみたら、そんなインチキみたいなのじゃだめ、とはっきり言われました。
それはそのスタインバーガー先生に自分で考えてみて、みたいに言われて覚えてたフレーズだったんです。
で、バークリー先生は、僕がジャズを弾きたいって言ってもブルースやれっつって教えてくれないセンセだったんです。
この人の生徒も、まぁいいのか悪いのかわからんですけど皆さん、ブルースベースの演奏されるので、ちょっと気持ち悪いんですよね。なんかみんなベンドとかビブラートとか利かすからクネクネしてて気持ち悪いんです。ジャズってそんなクネクネしないでしょ。クネクネブルースジャズはそれはそれ。
そうなんです。
ジャズってよく外国語に例えられますが、僕は実は落語が近いなと思ってます。
トラディショナルな決まった語法というのが、あるんですよ。
ジャズってアドリブだよね、だから自分でフレーズ考えようね、みたいな感じだと一言で言うとジャズにならんのです。
こうやらないとジャズに聞こえない、というフレージングは確実にあるので、実はただの即興音楽ではないんです。
それは僕は落語に近いなと思ってます。
古典をやる、江戸が舞台で、江戸言葉をつかう。そうじゃないとなんだか落語にならない。
やってくれ、じゃなくて、やっつくんな、みたいな独特の言い回し。
ジャズも一緒なんです。ただスケールやコードトーンを操って自由に弾けるようになったとて、ジャズじゃないものになる可能性の方が高いんですよ、なぜかというと古典の言い回しがあるから。
それはパーカー以降を知っていればいいと言うわけでもなく、エリントンや、それよりもっと前の音楽から受け継がれている独特の歌い回しがあるんです。
それを知らずして、即興だから、コードトーンとスケールを学ぼう!っていうのはあまりのおかしさにヘソで茶が湧くと思います。
そんな教師に教わっていたら、今すぐ、明日にでも辞めた方がいいです。
そんなんでジャズができたら苦労しません。
とにかく僕はやっとそのジャズの語法を教えてくれる師匠と出会えました。
あとその時に言われたのが、なんか肩凝るねこのギター。
ってレスポールのこと言われました。
なんか先入観で結構弦高を高めにしててテンションを強めにしてたんです。
でも師匠のギターを弾かせてもらったら、極限まで弦高低くて、むちゃくちゃ弾きやすい。ストレスがない。
フルアコってこんな弾きやすいの、、、ってびっくりした記憶があります。
その時に気づいたのはこの人たちは、理を取る人達なんだ、とすごく思いました。理にかなった事をする。弾きやすさを優先する。
もちろん弦高が低い方がボディに弦の振動が伝わるんで、鳴るっていうのもありますけども。
なんだか長くなってしまったのでまた続きは後日。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?