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「THE BOYS」スターライトに見るアダルトチルドレン
はじめに
なぜ、これを書こうと思ったか、きっかけについてお話します。
私の趣味の一つに、洋画を見ることがあります。洋画を見るといっても、何でもいいわけではなく、アベンジャーズやハリポタなど基本的に健全な作品が多いです。ある時、外国人の友達とその話になって、「ちょっと際どい表現多いけどザボーイズが面白くてオススメ!」と言われ、調べたんです。しかし、その当時はR18作品ということもあり、興味が湧かず、なぜこんな表現が多い作品が好きなんだろう…と不思議に思って終わりました。
それから数年経って最近、ザボーイズのシーズン4が始まったというニュースを目にし、「なんでこんな人気なんだ!?何か理由があるに違いない!」と思い、見始めたんです。
そしてシーズン1を見終え、納得しました。R18表現耐性がない私としてはけっこうきつかったんですが、それでも見る価値はあったなと思います。それが、登場人物ひとりひとりが何かしら問題を抱えていて、しかもそれは我々のような現実を生きる人にも起こりがちな妙な生々しさがあるということ。
なので、例にもれず私自身もスターライトと重なるところがありまして、それで今回ここに感じたことを書こうと思いついた次第です。
なお、ネタバレが十分にあるので未視聴の方は、お気を付けください。
本記事にでる各用語の解説
本記事では、AC(アダルトチルドレン)と「THE BOYS」という海外ドラマについて紐づけてお話します。そのため、これらを知らない人のために、先に各用語について簡単に解説します。
AC(アダルトチルドレン)
アダルトチルドレンとは、子ども時代にまともに親の愛情を受けずに育ち、それが成長後の人生に影響を及ぼしている人のことを指します。決して、病名ではありません。
もともとは、アルコール依存症の親のもとで育った子どものことを指していましたが、現在では様々な境遇の人が増え多様化しているため定義が広がり、本来のアルコール依存症の親に限定されず、さまざまな場合が存在します。
より詳しく知りたい方は、信田さよ子先生の本をオススメします。
THE BOYS(海外ドラマ)
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Amazon prime videoにて配信されているAmazonオリジナルのアンチヒーローものドラマです。アメリカおよび世界の人々を救うために活動している特殊な能力をもつヒーローに、主人公の彼女が偶然の事故のように殺され、謝罪を要求するのですが相手にしてもらえず主人公は怒りに震えます。それと同時に主人公はFBIだと名乗る男と出会います。男はヒーローたち(およびそれらを利用し金儲けする企業)の裏の顔を探っており、その裏の顔を主人公は知ってしまいます。そして、主人公は男とともにヒーローたちに立ち向かっていくといった感じのストーリーになっています。
スターライト(登場人物)
ドラマに登場するヒーローの一人。光を放ち、敵をふっとばして倒す能力を持っています。その能力が買われ、夢であった、選ばれしヒーローだけが入れる企業に入社するところから、彼女の物語は始まります。
スターライトにみるAC(ネタバレ注意)
作中では、彼女が念願のセブン(企業)に所属できて嬉しいと喜ぶ姿と、それを一緒にとなりで喜ぶ母親が出てきます。
はじめは一般的な親子に見えるのですが、それもほんの一瞬で、鈍感な人ではない限り分かるだろう、嫌な母親の反応が初っ端からちりばめられています。
兄弟間で頭が良いとか運動ができるとか比べてしまうのは避けられないのですが、彼女は一人っ子なのに母親は常に友人を引き合いにだしてきます。仕事柄、正体がバレてはいけないため、母親は友人たちの集まりでも自分の娘が素晴らしいことをしているとは公言できません。そのためか、友人の娘が大企業に入ったといったような自慢をされたと言ってきます。
当然この母親の目に映る娘は、愛しいわが子ではなく、付加価値である「出来の良い」わが子でしかありません。人より優れていればいるほど、喜びます。そして残念なことに、幼いうちは子は母の喜ぶ顔を見たいもので、子どもは喜ばせるために母のして欲しいことをします。
入社後のスターライト
仕事をするようになって、彼女と母親の関係性は大きく変わります。入った企業が実はろくでもない会社だったということが分かり、彼女は唯一の肉親である母に相談をしようとしますが、電話をしても母は自分の話しかしません。あげくにまた友人の娘の話。とてもじゃないが、ここで会社を辞めるなんて言えない。そう感じ、電話を切ります。
ACの親にありがちなことは、基本的に自分本位であることです。確かに、娘である自分をお金をかけて良い環境で育ててくれた。このことは、他人から見れば「良いお母さんだね」となります。しかし、彼女自身も言っていますが過剰な食事制限といった母による何かしらの規制や統制がなされています。そこにあるのは、私の思い描いた子に育てたいという気持ちで、極端に言えば「私のための子」になってほしいという願望です。
個人的に、アメリカでは子どもの権利を主張していることが特徴的な印象があったので、こういった描写が米作品で出てくるのは少し意外でした。
ついに発覚!例の薬
そしてついにストーリー後半、ヒーローのこの能力が生まれつきではなく人為的な(薬品投与による)ものであると発覚した時に母と話している中、彼女は気づきます。
「どうりで私のやっていることが、たまに本当にやりたいことだったのか分からなくなるわけだ」と。(多少、言い方が異なるかもしれませんが、大体このようなニュアンスでした)
私は人々を危険から救いたいと思って、ヒーローに憧れ、なるためにがんばってきた。しかしそれは、実は母親の「わが子がヒーローになってほしい(他人より優れた娘になってほしい)」という願望だった。
前にも述べましたが、子どもは親の喜ぶ顔が見たいので、自分の将来のやりたいことやなりたいものが、いつの間にか無意識に親のやってほしいこと、なってほしいものにすり替わっていることがあります。そして成長するにつれ、だんだんと違和感を感じ始め、うまくいかなくなるという現象が起きてきます。
彼女はそうなり切る前に気づけた不幸中の幸いな状態にあると言えるかもしれません。
おわりに
結局のところ、シーズン1では親子の確執が解けることはなく、そのまま2へ話は続いていくのですが、やはりR18描写がなんといってもきつい!笑ということで、泣く泣く途中で視聴をあきらめました。
果たして彼女はどうやって母との関係を図るのか、それとも縁を切るのか、母をいないものとして割り切るのか…気になりますね!
こうした考察というか感想が書けるくらい面白いからこそ、人気なんだと改めてこの作品のすごさに驚かされました。やっぱり人気なのには理由がある!
ここまで読む人がいるのか分かりませんが、もし読んでいただいた方がいらっしゃればありがとうございます。
また念の為書きますが、本記事はあくまで個人的な見解と意見、感想ということを強調しておきます。用語解説まちがえてたら住みません。大目に見てください。