タニグチ・イジー

タニグチ・イジー、詩人です。自由詩と定型詩(7行詩)を書いています。NBA・欧州サッカー(ハイライトばっか見てる。)70’sから2000年代のロックその他の音楽をよく聞いてます。ここには詩作品などをアップしていこうと思います。

タニグチ・イジー

タニグチ・イジー、詩人です。自由詩と定型詩(7行詩)を書いています。NBA・欧州サッカー(ハイライトばっか見てる。)70’sから2000年代のロックその他の音楽をよく聞いてます。ここには詩作品などをアップしていこうと思います。

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最近の記事

七行詩(私が書いたものを広げると~) 2024年11月20日投稿

  ○ 私が書いたものを広げると 鳥たちが今日もやって来る みんなで回し読んでそれから 一羽ずつ点数をつけていく あらを探し欠点をほじくり出し 弱っているところを決して見逃さない 満足すれば東へと飛んでいく (20200417)

    • 七行詩(右眼の奥に~) 2024年11月17日投稿

        ○ 右眼の奥に住んでいるもの いつも私を笑っている ジンジンと頭の奥から痛んでくると 笑い声がする ケラケラと もう何もしていないと言い訳をしても その笑いはずっと大きくなって 私は跪(ひざまず)いて固まって本当に何もしない (20200417)

      • 詩(森に行く~) 2024年11月13日投稿

          ○ 森に行く 細い道の先にいる 人 石のように立ち尽くしていて 目を見開いたまま 何かを考えているように思える 声をかけずにその様子を 見ている 森のずっと奥から聞こえる 声 聞いたことがないもの 新しく生まれた森だから 新しく生まれた生き物が たくさんいる 石のような人はいつの間にか 眠ってしまったらしい 私はそばにある石に座る 10万年前の振動が伝わってくる また声が聞こえる もう陽が暮れる 居場所のない私 帰ることも できない (20200417)

        • 詩(教室の片隅~) 2024年11月10日投稿

            ○ 教室の片隅 耳を塞いで座っている 本を何冊か抱えて現れたもの ネズミとも 影ともつかない ジトッと濡れた冷たい目で 一瞬だけ私を見て 直ぐにカーテンの陰へと隠れる 私が跡を追って カーテンをめくるとある 穴 赤茶けてぬらぬらとしている 私が喉をゴクッと鳴らすと 開いたり閉じたりする 笑っているみたい 私はドアのところまで行って 立ち止まって 考える ここにいたい けど 飲み込まれたくはない もう一度 喉を鳴らして 唾を飲む (20200417)

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        • 七行詩
          2本
        • 連作でない詩
          11本
        • 詩の部屋
          27本

        記事

          桜(詩) 2024年11月6日投稿

            桜 桜の樹の下には 私が埋まっている 無数の桜の根が私に絡みついてきて でもそれは優しい愛撫 女性の指のように柔らかいもので 私の頬を撫ぜてくれる 私がもっともっと、と求めると 束になった根が現れて 私がそれをつかまえるとそれは 女性の身体のようにふわふわと軽く 私はずっと強くそれを抱きしめる するとたくさんの根が 私の身体に突き刺さり 私の体液をごくごくと 音を立てて飲んでいく 今年の桜は 真っ赤な汁を垂れ流しながら 美しく 咲く (20200416)

          桜(詩) 2024年11月6日投稿

          詩(あなたの姿を盗み見るのが…) 2024年11月3日投稿

            ○ あなたの姿を盗み見るのが 私にとって一日での たった一度の食事 後は理科準備室へ行って その隅に生えてきている カビを舐めているだけ みんなといっしょにいないと 殺されてしまう みんなといっしょにいると 消えてしまう 私は毎日鏡の前で 笑う顔を練習する 向こうに写っている 真っ白な場所 元の世界に戻って 椅子に自分を 縛り付けて 何度も息を吐く あなたの後ろ姿を 盗み見る 私は あなたに 見えていない    (20200417)

          詩(あなたの姿を盗み見るのが…) 2024年11月3日投稿

          詩(物語のとば口に立ったまま…) 2024年10月29日投稿

             ○ 物語のとば口に立ったまま固まって これ以上何も進めたくないと ずっと泣いている ギターも弾けないし 歌おうにも声も出ない だから何も起きないと知っていて 私は自分自身の役柄を 始まる前から降りていた 衣装はすっかり色褪せていて 台本は捲られることもないまま すっかり埃が溜まっている 誰も主人公でないまま 入り口のドアは 大きく傾(かし)いでいる (20200503)

          詩(物語のとば口に立ったまま…) 2024年10月29日投稿

          詩(冷蔵庫に卵といっしょに…) 2024年10月26日投稿

            ○ 冷蔵庫に卵といっしょに入っているもの 冷たく固く薄っすらとピンク色のもの 取り出して手のひらに包むと 冷たさが血管を伝って身体中に広がる それ自体はゼリーのように柔らかくなって 私の手のひらを向こうから包み込んでくる 私はそれをしっかりと握る その柔らかさがゆっくりと私に 快感を教えてくれて私は いつの間にかそれを両手のひらで握りしめる その間もずっと冷たさが身体に流れ込んで 私は次第にめまいを感じる それでも私は離さないそれが 私が今まで感じたことがないものを ず

          詩(冷蔵庫に卵といっしょに…) 2024年10月26日投稿

          お知らせ

           お久しぶりです。タニグチ・イジーです。  もう一年以上詩は書いていないのですが、久しぶりに書いていたテキストを見返すと数だけはたくさんあるので、こちらで多少ダラダラと発表していこうかと思います。既出や未発表、まとまりなども気にせずに気が向くままに出していこうと思っています。  もし、興味を持って読んでいただければ幸いです。     タニグチ・イジー

          詩の部屋 26 (2023年1月18日投稿)

            ○ 76 仕方がないので庭の椅子に座って アライグマの食事を眺めている ネギを齧りながらこちらを見て お茶も出ないのかよという表情をする 黙っていても注文が多い 知らんぷりをしているとどこかから ポケットウィスキーの瓶をだして一口飲んでいる   ○ 77 一通り野菜を食べ終わると アライグマはやれやれという様子で 庭に大の字になる やれやれはこっちで追い出せばいいのか ほっといていいのか全く分からない とりあえず私も椅子にもたれる 鳥たちは木のてっぺんで世間話を続け

          詩の部屋 26 (2023年1月18日投稿)

          詩の部屋 25 (2023年1月17日投稿)

            ○ 73 ピザトーストを食べていると 猫がキッチンへやって来る 直ぐにコーラの入ったコップのところへきて うまそうに飲み始める 今までに見たことのない顔 お前、そんな顔もできるんだ その顔を見ながらもう一口ピザトーストを齧る   ○ 74 食事を終えてお茶でも入れようと思っていると 庭の方で大きな音がする 慌てて外へ出てみると何か大きなものがいる 大型犬ほどのアライグマ 手には大きな新聞紙の包みを抱えている ふてぶてしい顔で私を一瞥すると 座り込んで包みを開け始める

          詩の部屋 25 (2023年1月17日投稿)

          詩の部屋 24 (2023年1月16日投稿)

            ○ 70 ピザトーストのお供になる飲み物を探そうと 冷蔵庫を開けるとオレンジジュースの容器 それとコカ・コーラの瓶が入っている コップを二つ出して一つにオレンジジュースを もう一つに瓶入りのコーラを注ぐ オレンジジュースはずっと黙っているが コーラは独り言が止まらない   ○ 71 テーブルに二枚のピザトーストと オレンジジュース コーラの入ったコップは猫のため 「あいーん」でない方のピザトーストを齧る 溶けたチーズの熱さと濃い味が喉を伝って ゆっくりと身体の中へと

          詩の部屋 24 (2023年1月16日投稿)

          詩の部屋 23 (2023年1月11日投稿)

            ○ 67 もう正午になろうとしているので 冷蔵庫を開けてみるとチーズの袋 ピザソース、サラミまで入っている 朝のパンがまだ残っているので薄く切ってピザトーストを作る 袋を開けるとチーズの形は ひらがなとアルファベットと記号 使ってほしそうにこちらをジッと見ている   ○ 68 パンの上にピザソースをたっぷり塗って 薄く切ったサラミと玉ねぎものせる 手のひらの上にチーズを少し取る 「あ」「い」という文字が目につくが 何か物足りない気がして別のチーズをつまんで トースト

          詩の部屋 23 (2023年1月11日投稿)

          詩の部屋 22 (2023年1月10日投稿)

            ○ 64 椅子に座ってジュースを飲みながら庭木を眺める 太い木 細い木 分厚い葉 薄い葉 名前を知らないと全てを「木」と呼ぶが それらは幹を振り上げ葉を突き出し それぞれの違いを見せつけてくる 一つ一つにあだ名をつけようと思うと みな、しかめっ面をして向こうを向いてしまう   ○ 65 キッチンの勝手口から室内に戻る 猫も後ろをついてきたので 扉を開けてお先に、と手招きする いつも通りにお礼もなく彼は入って 私も続いて入るとドアのホワイトボードに 「カギをかけて!」

          詩の部屋 22 (2023年1月10日投稿)

          詩の部屋 21 (2023年1月9日投稿)

            ○ 61 そばに積まれた植木鉢と スコップを手に取る 大きく太い庭木の根元を何度か掘って その土を植木鉢に入れる 赤い花の写真がある袋を破って 小さく黒い種を数粒蒔く テーブルの上の言葉も集めて振りかけておく   ○ 62 じょうろを探して庭のあちこちを見回す 庭の奥に真っ青なのがあって 水場の横に立てかけてある 勢いよく水を入れるといろいろな音が溢れて 音楽が庭いっぱいに広がる その水を植木鉢にかけると 別の音がハーモニーを重ねていく   ○ 63 ひと仕事を

          詩の部屋 21 (2023年1月9日投稿)

          詩の部屋 20 (2023年1月7日投稿)

            ○ 58 庭へ行くとそこに大きなテーブルと二脚の椅子 窓からは死角で見えなかったもの もう古くてすっかりボロボロで 私は恐る恐る椅子に腰を下ろす テーブルには何かが写っているようで よく見るとただの木目で 私はここでもずっとボーっとしている   ○ 59 ぼんやりと庭木を眺めてから もう一度庭のテーブルの上を見る すると風が吹くたびに様々な文字が浮かび上がる それは荘子なのかソクラテスなのか ただ単なる誰かのグチでしかないのかもしれない、 天然パーマでぼさぼさ頭の男

          詩の部屋 20 (2023年1月7日投稿)