泣かなくなったあの日から
高校二年生の夏。
バドミントン部に所属していた俺は、やっとの思いで団体戦のメンバーに選ばれた。
一人の実力じゃない。一日12時間共に過ごしたダブルスのペアとともにだ。
戦法を変え、校内で勝てないやつが校外のやつに勝てるわけがないと必死だった。
そしてやっと校内のダブルスランキングで1位を取り、念願の団体戦メンバーに選ばれた。
中学から続けていたバドミントン人生で初のレギュラー、嬉しくないわけがない。
しかし高まったモチベーションは長くは続かなかった。
ダブルスのペアがプライベートでけがをした。
もともとお調子者ではあったのだが、大会一週間前にフットサルに行き、片足を引きずるほどになってしまったのだ。
さすがに心配よりも怒りが勝ち、強く当たってしまった思い出がある。
当然そんなペアを団体戦に出すわけにもいかず、自分たちは交代で大会申請となってしまった。
その日の部活終わり、顧問の先生と二人で話していた。
「大人になれ」何気なく言われたその一言。
いろいろな意味を含んだ、大人のその一言。
自分ができる限りの意図をくみ取ったうえで、ふざけんなと口をついてしまいそうだった。
大嫌いになりそうな大人の前で、子供のように大粒の涙を流してしまった。
それがきっかけになったわけではないが、まったく泣かなくなった。
5.6年たった今、就職して壁にぶち当たる。
今までなまじアルバイトで成功してしまったため、できない自分にフラストレーションがたまる。
先輩や店長とロープレをしている際、ボロボロと泣いてしまうのだ。
もう3出勤日連続泣いている。
感動する映画を見ても、彼女と別れても反応のなかった涙腺。
お前はどこに行ったんだ。
ハイキューの田中くんのように、「ところで平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか」とまた上を見ることができればよいのだが
今の俺はそんなにも強くはない。
明日は何者になるかな、がんばれ俺。
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