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ヒカルド・マリオ・ゴンザルベス教授  『歎異抄』 『歎異抄』第3章 註2 「悪人なお往生す。」 毎朝のお朝勤の後にポルトガル語の仏教書を少しづつ読みます。日本語翻訳あり。


おはようございます。 今日も一緒にお参りをいたしましょう!
Bom dia a todos! Vamos juntos rito matinal.


今日の追加部分

註2

  • 2  O Verdadeiro Nirvana, o Despertar para o Real. Shinran estabelece uma distinção entre a “Terra da Recompensa Real” ou a autêntica realização e a “Terra Transitória”, ou seja, um estudo preliminar e imperfeito de realização atingido por aqueles que não conseguem renunciar totalmente à ideia de realização pelo esforço próprio. A “Terra Transitória” é uma espécie de prelúdio à verdadeira realização que surge quando o homem consegue desvencilhar-se totalmente do Ego.

2 真の涅槃、本物への目覚め。親鸞は、「実報土」すなわち本物の悟りと、「仮の境地」すなわち、自力による悟りの観念を完全に捨てることができない者が到達する、悟りの予備的で不完全な境地とを区別している。「仮の境地」とは、エゴを完全に切り離すことができたときに訪れる真の充足への前段階のようなものである。


重要な単語:

1. O Verdadeiro - 真実の

2. Nirvana - 涅槃

3. Despertar - 覚醒

4. Real - 真実

5. estabelece - 確立する

6. distinção - 区別

7. Terra da Recompensa Real - 実報の浄土

8. autêntica realização - 真実の実現

9. Terra Transitória (仮の浄土) - 仮の浄土

10. estudo preliminar - 初歩的な研究

11. imperfeito - 不完全な

12. realização - 実現

13. conseguem - できる

14. renunciar - 放棄する

15. ideia - アイディア

16. esforço próprio - 自分の努力

17. espécie - 種類

18. prelúdio - 前段階

19. homem - 人

20. desvencilhar-se - 解放する

21. Ego - 自我


重要な構文の解説:

1. Shinran estabelece uma distinção entre...

この構造は「親鸞聖人は...と...の間に区別をつける」という意味になります。この文章では、真実の実現と仮の浄土という二つの概念を取り上げ、それらの間にどのような違いがあるのかを説明しています。


2. ou seja, ...

このフレーズは「すなわち」という意味で、直前の言葉やフレーズを説明・補足するために使われます。この文では、「仮の浄土」についての詳しい説明や意味を提供しています。


3. A “Terra Transitória” é uma


espécie de...

この構造は「"仮の浄土"は...の一種である」という意味になります。具体的には、"仮の浄土"とは真実の実現への前段階としての性質や役割について説明しています。

註1


1 É preciso tomar cuidado para não tomar a palavra “mau” empregada por Shinran, em seu sentido comumente empregado, ou seja, do ponto de vista moral. O “mau” para Shinran, é aquele que, através de uma severa autocrítica, se reconhece como incapaz de atingir a perfeição através de seu próprio esforço, dadas as suas inúmeras imperfeições e limitações. Em outras palavras, o “mau” é aquele que reconhece a contingência do Ego e portanto toma consciência de impossibilidade de se atingir o Eu Real e Absoluto a partir de esforços efetuados pelo Ego.

翻訳:

  1. 親鸞聖人が使う「悪人」という言葉を、通常の意味、つまり道徳的な観点で受け取ってはいけません。親鸞にとっての「悪人」とは、厳しい自己批判を通じて、自らの無数の不完全さと限界のため、自分の努力だけで完璧になることができないと自認する人を指します。言い換えれば、「悪人」は自我の偶発性を認識し、その結果として、自我の努力によって真実の自我や絶対的な自我に到達することの不可能性を自覚する人です。

重要な単語:

  1. É preciso - 必要である

  2. tomar cuidado - 注意する

  3. palavra - 言葉

  4. empregada - 用いられる

  5. sentido - 意味

  6. comumente - 通常

  7. ponto de vista - 観点

  8. moral - 道徳的

  9. através de - ~を通じて

  10. severa - 厳しい

  11. autocrítica - 自己批判

  12. reconhece - 認識する

  13. incapaz - できない

  14. perfeição - 完璧

  15. esforço - 努力

  16. inúmeras - 無数の

  17. imperfeições - 不完全さ

  18. limitações - 限界

  19. contingência - 偶発性

  20. consciência - 自覚

重要な構文の解説:

  1. É preciso tomar cuidado para não ...
    この構造は、「...しないように注意が必要である」という意味になります。具体的には、文中で「É preciso tomar cuidado para não tomar a palavra “mau”」という部分は、「「悪」という言葉を通常の意味で受け取らないように注意が必要」という意味になります。

  2. O “mau” para Shinran, é aquele que ...
    この構造は、「親鸞にとっての“悪”は...という人を指す」という意味です。文章の中で、具体的な定義や説明が続きます。

  3. Em outras palavras, ...
    このフレーズは、「言い換えれば」という意味で、以前の文の内容を異なる言い回しで説明しています。文中での「Em outras palavras, o “mau” é aquele que …」は、「言い換えれば、“悪”は...という人を指す」という意味になります。

Capítulo III


"Os próprios bons conseguem ir-nascer na Terra Pura; com muito maior razão, pois os maus1 o conseguirão”. Entretanto, as pessoas costumam dizer que se os maus conseguem ir-nascer na Terra Pura, com muito maior razão os bons o conseguirão. Esta última afirmativa parece à primeira vista razoável, mas ela vai contra o Voto Original de Amida.
Isso porque, aqueles que acreditam na salvação conseguida através de práticas virtuosas, feitas com seu próprio esforço, não confiam incondicionalmente no Outro Poder e assim não se harmonizam com o Voto Original de Amida.
Entretanto, se eles abandonarem sua confiança no esforço próprio para confiarem no Outro Poder, conseguirão o ir-nascer na Terra da Recompensa Real2.
A verdadeira intenção de Amida ao enunciar seu Voto compadecido de nós, seres carregados de paixões mundanas e incapazes de se libertarem dos nascimentos e das mortes3 através de quaisquer práticas, é oferecer a Realização Búdica aos maus. Assim, o mau que confia no Outro Poder é o legítimo merecedor do ir-nascer na Terra Pura.
Por isso o Venerável Mestre4 disse: “Se os bons conseguem o ir-nascer, com muito maior razão os maus o conseguirão”.

翻訳:

第III章
「善人が浄土に生まれ変わることができるのなら、悪人がそれを実現するのはなおさらである。」しかし、人々は通常、悪人が浄土に生まれ変わることができるなら、善人がそれを実現するのはなおさらであると言います。この後者の主張は一見合理的に思えますが、阿弥陀の本願とは逆の意味になります。

というのも、自らの努力での善行を通じての救済を信じる者たちは、無条件で他力を信じていないため、阿弥陀の本願とは調和していません。
しかし、彼らが自力を信頼することを放棄し、他力に信頼を置くならば、実報の地に生まれ変わることができるでしょう。

私たちが情欲に囚われ、どんな修行を通じても生死から解放されない存在であることを憐れみ、阿弥陀がその願いを述べた真意は、悪人に仏果を与えることでした。そのため、他力を信じる悪人こそ、浄土に生まれ変わるにふさわしい存在である。

だから、尊敬される師は言いました。「善人が生まれ変わることができるならば、悪人がそれを実現するのはなおさらである。」

親鸞思想仏教センター『歎異抄』試訳、現代語訳 


善人でさえも、真実の自己になることができる。まして悪人はいうまでもないことである。
ところが、世間では「悪人でさえ真実の自己になれるのなら、まして善人はいうまでもないことである」といわれている。このことは、一応、もっともなようであるけれども、阿弥陀如来の本願の御(おん)こころに背(そむ)くものである。
その理由(わけ)は、自分の力でいつでも善をなしうると思っているひとは、一心に本願をたのむこころが欠けているのだから、弥陀の本願に沿うものではないのである。
しかし、そのような善人も自力のこころを妄念であると気づいて、本願力にすべてをまかせることができるならば、阿弥陀如来の真実の世界へ生まれることができるのである。自らの煩悩(欲望・不安・後悔等)に振り回されている私たちは、どれほど人間的な努力を尽くしてみても、そうした苦しみの生活から解放されることはありえない。このような私たちを深く悲しまれて、本願をおこしてくださったのである。その本願の御こころは、そのような悪人をこそ真に解放してくださるのである。だから、他力にすべてをおまかせする悪人の自覚こそ、真実の自己になる根本的要因なのである。
それで、善人でさえも真実の自己になれるのであれば、なおさら悪人はいうまでもないことである、とおっしゃったのである。

ポルトガル語の大事な単語とその意味:

  1. Capítulo - 章

  2. próprios - 自分自身の

  3. razão - 理由、原因

  4. Entretanto - しかし

  5. Voto - 願い、誓願

  6. Original - オリジナル、本来の

  7. salvação - 救済

  8. práticas - 実践、修行

  9. virtuosas - 善行

  10. esforço - 努力

  11. confiam - 信頼する

  12. Poder - 力

  13. harmonizam - 調和する

  14. abandonarem - 放棄する

  15. intenção - 意図、意志

  16. enunciar - 述べる、宣言する

  17. paixões - 情熱、欲情

  18. nascimentos - 誕生

  19. mortes - 死

  20. merecedor - にふさわしい、価値がある

翻訳にあたっての大事な構文:

了解しました。以下のように、具体的な文章を取り上げて、大切な構文の解説を行います。

  1. 条件節 「se A, B」
    文章:「善人が浄土に生まれ変わることができるのなら、悪人がそれを実現するのはなおさらである。」
    ポルトガル語:「Os próprios bons conseguem ir-nascer na Terra Pura; com muito maior razão, pois os maus o conseguirão」
    この文では、「se」が使われていないものの、条件と結果の関係が暗黙のうちに示されています。

  2. 理由を示す接続詞 「porque」
    文章:「というのも、自らの努力での善行を通じての救済を信じる者たちは、無条件で他力を信じていないため、阿弥陀の本願とは調和していません。」
    ポルトガル語:「Isso porque, aqueles que acreditam na salvação conseguida através de práticas virtuosas...」
    「porque」が「というのも」や「なぜならば」として翻訳され、理由や原因を示しています。

  3. 接続詞「Entretanto」
    文章:「しかし、彼らが自力を信頼することを放棄し、他力に信頼を置くならば、実報の地に生まれ変わることができるでしょう。」
    ポルトガル語:「Entretanto, se eles abandonarem sua confiança no esforço próprio...」
    「Entretanto」は、文の初めに来ることが多く、「しかし」という意味で使用されます。

  4. 直接話法と間接話法
    文章:「だから、尊敬される師は言いました。「善人が生まれ変わることができるならば、悪人がそれを実現するのはなおさらである。」」
    ポルトガル語:「Por isso o Venerável Mestre disse: “Se os bons conseguem o ir-nascer, com muito maior razão os maus o conseguirão”」
    この文で、「disse」の後に引用文が続くことで、直接話法が使用されています。

  5. 主語と述語を結ぶ「é」
    文章:「私たちが情欲に囚われ、どんな修行を通じても生死から解放されない存在であることを憐れみ、阿弥陀がその願いを述べた真意は、悪人に仏果を与えることでした。」
    ポルトガル語中の部分:「A verdadeira intenção de Amida ao enunciar seu Voto... é oferecer a Realização Búdica aos maus」
    「é」は「である」という意味で、主語「A verdadeira intenção de Amida」(阿弥陀の真の意図)と述語「oferecer a Realização Búdica aos maus」(悪人に仏果を与えること)を結び付けます。

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Shu Izuhara 泉原 秀
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