昔、PBMに参加して書いたプレイ日記4

※「この日記がなんなのか?」については、1の冒頭を参照して下さい
 賑やかしのスキや、投げ銭は大歓迎です!

----------(以下、1999年当時のプレイ日記)-------

<六月 リアクションが来るまで>
 「海賊~」的には、ただひたすらリアクションを待つだけの毎日……だったのだが、それで終わりでは身も蓋もないので、多少は関係のある事柄もあるので身の回りのことを少し書くことにする。
 拙者、信州大学を卒業しているのだが、「信大SF&ミステリー研」のOBとして、ほぼ毎年この時期にやる合宿に顔を出している。それが今年は六月二十六日~二十七日に軽井沢であった。その一週間後が白馬のSF大会である。高い交通費はらって週末ごとに長野に行くのなんだなあ、と思っていたら、一緒にSF大会に行く予定だった新城氏(※1)が、「松本市内に泊まれるとこがあるし、大会の一週間前から滞在しようかと思うが、伊豆くんもどうかね」と素晴らしい提案をしてくれたので(いや待て、一週間前からと提案したのは拙者だったか? まあいいや)、渡りに船とばかりに、合宿を終えた拙者は松本で新城氏と合流したのであった。なにしろ、松本は庭みたいなものだ(※2)。
 一方の新城氏は、松本に来るのは実に9年ぶりとのこと。そのときは遊演体の「N90」グランドマスターとして、プライベに訪れていたのである。
 松本の駅前を歩きながら、その話題になったときの二人の会話……。
拙者「実は、その場で信大生の僕は新城さんに会ってるんですねえ。プレイヤーとして(※3)」
新城「おおっ、そうだったのか。で、で、そのときって俺となに話した?」
拙者「そのころできたばかりだったバカカードを見せましたね。確か」
 どうでもいいことだが、当時のこのプライベを主催したのは、やはり当時はプレイヤーだった、元遊演体マスターの安芸千秋である。なんだかなあ。
 ところで拙者は、今回の松本滞在中(というか、つい先日まで)、九月初めに発売されるTRPG「魔獣の絆」(※4)のシナリオを書いていた。したがって、昼は松本市内を新城氏を案内して(※5)歩き回り、夜中は仕事……といった感じの一週間を過ごすことになった。通信関係のトラブルで原稿が送れず、SF研の後輩の和佐野くんにメールのやりとりをお願いし、我々は信大にも潜り込んだりしていたのである。
 その間、松本で外食もした(※6)が、新城氏の別邸にて自炊することも多く、楽しい毎日であった。拙者はどちらかというと料理するのが好きだし、気分転換(逃避ともいう)に凝った食事を作ったりする方なのだが、新城氏はそうでもない。何というかこう、拙者の目から見るといささか乱暴な料理を作る。いやまあ、拙者とて別段、繊細な調理をするわけでもないんだが、ほら、料理って基本とか手順とか組み合わせとか段取りとか茹で時間とか炒め時間とか目分量とか、そうしたものがあるではないか。と言えば、料理を好きでする人にはおわかりいただけるのではなかろうか。拙者が、「いや、あの、ええっ~? 新城さん、それはちょっと……」みたいな感想を言うと「いいじゃん」とかで済まされてしまう。まあ、二人して、米は高いし食べきれないからと麦だけ買ってきて炊いて食ったりしていたんだから、拙者も同罪か。
 ……と、長々と松本滞在記みたいなものを書いてしまったが、どこが「海賊~」に関係しているのかというと、要するに拙者、リアクションを、到着日に読めなかったのである。スケジュール的に。だって、長野を去るのはSF大会の終わる七月四日なのだよ。んで、軽井沢に行く直前、新城氏に相談していたのである。
拙者「……というわけで、どうしましょうかねえ」
新城「松本の住所で帰省登録をすればいいんじゃないの」
拙者「ははあ、なるほど。でも、そんなこと言ったって松本で泊まるとこの住所は新城さんしか知らないんですから、頼んどいてもらえます?」
新城「よかろう」
 って、正確にこう話したわけではないが、大体こんな話になった。
 んで、松本で……。
拙者「どうでした?」
新城「それがですな。頼んでは見たんだが、高崎くんによれば『申請締切を過ぎているので、そういうことはできません』とのことだ」
拙者「あ……!」
 まったくもってその通りである。愚かであった。
 四日の出遅れと、貿易の結果が帰るまでわからないという事実に、呻きながら、ごろごろとのたうち回る拙者。それを見て新城氏は「面白ぃ面白ぃ」と笑うのであった。ああもう。
 余談ながらSF大会はとても面白かった。余談なので詳しくは書かないが、この場を借りてお礼だけでも……「沼田さん、バカな企画にお付き合い下さってありがとうございました」。

※1:言うまでもなく新城カズマ氏。ここでは柳川房彦と書いた方がよかった?
※2:とかいいつつ、再開発が進んでわからないところも多かった。不景気のせいか知っていた店がなくなったりもしていた。店舗が大きくなって移転した店もあったけど。
※3:次の年からはマスターをやっていた。
※4:すげー久しぶりにTRPGの仕事ができて幸せだった。リハビリと称して六月中はクトゥルフをやりまくってRPGの勘を取り戻たりしていた。JGCで先行発売されるそうな。
※5:案内して、というより引き回されていた。だいたい一日につき二万歩ぐらいは歩いている。夜中に二度も、信大から島内まで歩いて帰ったりしている(近辺の人と、地図を見た人だけわかるネタだね)。
※6:「おきな堂」のバンカラ(カツカレー)は健在で、ホッとしましたな。学食にも二度ほど潜入した。安いよなあ。山賊焼きも久しぶりに食べた。和佐野くん御推薦の「源太」(だったと思う)で。あれて700円は安すぎ。ところで、最初、新城氏が「海賊焼き」なる名物を所望していたのだが、これは山賊焼きの間違いであることがわかった。変だと思ったんだ、松本で海賊なんてねえ……。


<七月 リアクションが来てました>
 てなわけで、四日の夜にゲムルに着いた。
 拙者のリアクションは自宅に届いているのでここにはない。結局、自分のリアクションを見たのは五日になってからである。
 嗚呼! 我が待ちこがれたるもの! 汝の名はリアクション!
 執筆地獄もなく、発送の修羅場もなく、ポンと届いたこやつを、ホイと手にする快感たるや、たまらんものがある。なんだか、なんだか、もの凄~く贅沢な気分……いや、そりゃさ、金払ってんだから当たり前なんだけどさ。でもでも、当たり前のことに幸せを感じられるって、それ自体が幸福なことなんだぜぇ……と、ちっぽけな幸せに妥協してばかりもいられない。
 まず確認したのはカード。金塊カードと船カードを確認……よしよし、貿易は成功だ。リアクションも読まずに、そこだけでとりあえず安心する拙者。我ながら現金である。
 1キャラで初回に金270は、まあまあのラインではなかろうか。ん~まあ、大船団組んでりゃ理論上は一回で4桁の金塊を獲得できるし(※1)、実際にやってる人もいるだろうが、それはいいの。より困難が多い貿易のほうが名誉なの。でも100点か。いやいや、同じ100点でも重みってもんが違うのさっ、などと自分で自分を慰める。
 一人っきりでサブキャラもなしで船持って貿易やってる人って、拙者の他に何人ぐらいいるんだろう? どうせなら、そういうチマチマした商人たちで緩やかな連合体を作りたいもんである。見かけたら助け合う……みたいなね。あ、でも、昔、職業がトラッカーの人を7人集めようと思ったら、トラッカーが全プレイヤー中で四人しかいなくて困った(笑った)ことがあったもんな。どうなのかな。やってみようか。投稿って十日までだか……って、だめじゃん!
 というわけで、おもむろにリアクションを読み出す拙者。ややや、Dr.(※2)ではないですか。恐らくは数値的な結果を見ながら、それを文章化していくという作業だったのではないか。それでも、各人の行動がリアルなのはたいしたものだ。判定の細かいところまでが再現されているのかも知れない。
 ともかく、我ら(エマと伊豆1)がヘルヴァ号は、ヴィルディエなる女海賊に追走されたものの、何とか振り切ったらしい。危ないところだった。スループの面目躍如といったところか。しかし一人で兼任なので来月は数値が半分、こう簡単にはいくまい。参ったのう。
 ところでDr.の文中にところどころセリフの「」が閉じてなかったり、地の文なのに最初に「」があったりして気になるぞ……って、細かいねどうも。
 しかし、エマはいざとなると意外に熱血する娘だったのだな。ふむふむ。となると、逃げ回るのはしょうがないと割り切っていたが、ちと情けない気もしてきたな。でもねえ、タイプが「社交」でも貿易アクションは数字勝負だろうから、相手と交渉の余地があるのか怪しいもんなあ。君子危うきに近寄らずだよ、うん。生活態度が「精神」だし、君子を目指すのは悪くないだろう。あ、待てよ、「君子」の故事を「紳士」に入れ替えると、この世界で使えるかも知れんぞ。「紳士危うきに近寄らず」とか「紳士の交わりは淡きこと水のごとし」とか……。よし、投稿だ……って、だめじゃん!
 と、それはさておきGANGWAYを読む。字が小さくないか? と思ったが、たぶん線が細いせいでそう見えるのだろう。でも、この遊びって年々プレイヤーの高年齢化が進んでるから、そのうち「小さくて読みにくい」とか文句が来るんだろうな……二十年後ぐらいにはさ。
 それはさておき中身。思った通り、優秀アクションの公開というのは良い試みである。実験としても意義深いし、役にも立つ。ただ、これが「よ~し、俺もいっちょ、こういうアクション書いたるぞ!」という前向きな動きを助長してくれればよいが、「アクション書いただけで名誉力が上がるなんてずるい」とかいう、無意味な抗議を生みやしないかと心配にもなる。
 なぜなら、「ゲーム世界内の事象(名誉力)」と、「ゲーム世界外の事象(プレイヤーのアクションの書き方そのものの評価)」とが、この部分だけ特異的に、直結している気がするからだ。ガリレイザーみたいな「ゲーム内外ごっちゃ混ぜゲーム」ならそれでも全然平気だが、「海賊~」でとなるとちょっと気になる。けしからんとかじゃなくて、ただ心配なだけ。ううむ、老婆心が過ぎるか。
 裏表紙にあるエレネソスの説明を読んで思ったこと……大学の紹介も入れて欲しかったなあ。そうすれば、エレネソス所属の人だけでなく、職能で「学者」をとった人も参考にできたろうに。要するに拙者が、ってことだけど。やはりアレキサンドリア図書館みたいなとこなのだろうか? 気になるなあ。
 拙者の投稿が幾つか載っていた。マジでバイキングは名曲である。だってさ、バイキングとパイレーツがごっちゃになってる歌詞ってことはですよ、要するに、あの歌って、この世界のバイキングの姿を言い当てちゃってるわけよ。絶対、凄いって……ねえ。
 船アクションのルールが多少変わっていた。「たたき売り」の解釈が難しい。枚数制限がないわけだから、同じ売却フェイズに、船で運んできて売るカードとは別に、たたき売り用のカードをたたき売れるの? それともたたき売りするときは、それだけしかできないのか? もしそうだと「たたき売り」する人はまずいないと思うが……。使われることのないルールは無意味だ。
 ええい、ついでだもう一つ。貿易アクション以外では「たたき売り」はできないとあるのに、「たたき売り」は船を持っていなくてもできると書いてある。これって矛盾してないか? 貿易アクションって、船がないとできないんじゃなかったのか? むうう。わからん。わからんぞっ、坂マス!(※3)

※1:例えば、拙者の拙い商法ですら、同じことを5キャラでやれば金1350になる。そして、もっと効率のいい方法は幾らでもあるのだ。
※2:当麻マスターのこと。聞くところでは、拙者がいたので「書きにくい」と言っていたそうな。気にしないでいいのに。いや、気にしないでくれえ。
※3:拙者は、あの補足を坂マスが書いたかどうかは知らない。勝手に推測して叫んでいるだけなので、くれぐれも誤解の無きよう。なに、所詮は根拠のない戯言である。賢明なプレイヤーは踊らされてはならない。


<七月 で、今月はどうする?>
 はっきり言って、今の拙者には貿易しかない。
 先月、船に乗ってくれそうな話だった彼に手紙を書く。返事が間に合わなかったり、彼のPCに他にすることがあるなら、また一人で行くまでだ。
 ただ、今回はブルマンさんから高額な香辛料の貿易カードを預かったから責任重大だ。怖いのう。スリル満点だのう。今のところは、●を買って■■から○○○○○へ運んでみようかと考えている。たまには◎◎へ帰るのもね。●が高値だしね。
 ともかくアクションの投函は彼から返事が来るまでお預けだ。
 で、もひとつ手紙を書いた。ヘルヴァ号を襲ってきた海賊船の船長に、である。逃げ切れてなきゃ、こんな優雅なまねはできなかったろう。でもまあ、結果としてはせっかく逃げ切れたのだから挨拶の一つもしておかねばなるまいて。彼女には面白い話をもちかけているが、内容をここに書くわけにはいかない。一応、ささやかながら作戦上のことなのでね。
 弱者が食い物にされるのはマルチゲームの常。しかし、弱者にも弱者なりの戦い方というものがある。そうした楽しみがきちんと存在してこそ、良いマルチゲームと言えるのだ(※1)。
 と、ここまで書いて寝たら、また手紙が来ていた。リアクションと投稿欄を見て、一人で船持ちの人から連絡が来たのである。
 これよ、これ、この「知らない人から手紙がくる」のがこのゲームの面白さなんですよ。さっそく返事を書く。緩やかな連合体、作れるといいのう。
 いろいろやらないとより楽しめないので大変だ……ってのは間違いだと思う。創意工夫というのは、行動だけでなく、気持の上ででもできることなのではあるまいか。心構えというかマインドセットというか、その辺をちょいとずらすだけなら寝ててもできる。少なくとも拙者は、今の状況だけで充分にゲームを楽しんでしまった。勝ち負けがあるのなら必勝パターンをとる手もあるし、「いつものようにいつものことをやる」快感もわかるが、まあ今回の拙者はモードが「いろいろやろうぜ」なのである。

※1:という言動からもわかるように、拙者は「海賊~」をマルチゲームと認識してプレイしているみたいだ。そのうち変わってくるかも知れないけど。

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