超時空薄幸児童救済基金・8
(はじめに)
マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。
私信(毎月、少女から届く手紙)と、それを読んだあとの「私」の感想部分が有料となっています。時々、次の手紙が届くまでのインターバルに、「私」が少女への短い返事を送るまでの日記(Re)が書かれることがあります。こちらは、基本的に全文が無料となります。
(バックナンバーについて)
だいぶ数が多くなってきたので、マガジンのトップで一覧を見てください。時系列の若い順に並べてありますから、文末にある前後のリンクで流れを追って読むこともでるようになっています。
※7のReはありません。ごめんなさい!
※今回の(もしかしたら次回も?)手紙は、何回かに分けて掲載する予定です。今回も多少時間かけても100円分(って、いつも量は適当ですが)は絶対に書きます! すみません!
では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物の続きをお楽しみください。
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まだまだ、次の手紙が届くには時間がかかるものと覚悟していたが、連絡役の男は意外に早く現れた。
「手紙をお持ちしました」
「てっきり、こちらから言づてを送る暇があるとばかり思っていたよ」
「彼女の手紙を書くペースが速かったようで。はりきってるみたいですね」
「ほう。ところで、この間の差し入れのお菓子って綿飴なのかい?」
私の問いに、男は小さくうなずいた。
やはり、こちらの世界から送った物らしい。
「季節的に、適切な品を現地で調達できませんでしたので」
「あっちにも砂糖はあるんでしょ」
「ええ。こちらより貴重なものですけれどね。ところで……」
こほん、と男が咳払いした。
「なんだい急に? 改まって……?」
「お預けしている手鏡を、お返し願いたいのですが」
「え? それって、まさか……!?」
「はい」
あの手鏡は少女に贈ったもので、彼女が「今はもらう資格がない」と言って返してきたのだ。それを戻すということは、つまり……?
私が驚いていると、男はにっこり笑った。
「そう指示されただけですが、おそらくこの手紙に……」
「待った待った! 結果は自分で読んで知りたいよ!」
「そうですよね」
深々とうなずいて、彼が手紙を差し出す。
「では手鏡は次回に。言づてを伺いにきたとき頂戴します」
そう言うと、男は帰っていった。
見送るのもそこそこに、手紙を開く。
少女は最初の壁を乗り越えられたのだろうか……?
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