超時空薄幸児童救済基金・13のRe
#小説 #連載小説 #ゲーム #SF #ファンタジー
(はじめに)
マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。
私信(毎月、少女から届く手紙)と、それを読んだあとの「私」の感想部分が有料となっています。時々、次の手紙が届くまでのインターバルに、「私」が少女への短い返事を送るまでの日記(Re)が書かれることがあります。こちらは、基本的に全文が無料となります。
(バックナンバーについて)
マガジンのトップで一覧を見てください。
時系列の若い順に並べてありますから、文末にある前後のリンクで流れを追って読むことができます。
※もともとは、現実の時間に合わせて月一回の更新をしていましたが、本業の執筆が忙しく、現在は季節がずれてしまっています。ご了承ください。
では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物の続きをお楽しみください。
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「例の職人が見つかりました。承諾して砦に向かっているそうです」
連絡役の男が訪ねてくるなりそう告げた。
「そうそう、その件で相談があったんだよ」
「なんでしょう?」
「髪飾りの材料なんだけど、オギマエ獣の骨は使えないかな」
「使われていますが、非常に珍しいし、かなり高価な品になりますので……」
「やっぱりそうなのか。いや、材料の当てはあるんだよ」
「あっ……なるほど」
男は察したらしく、笑みを浮かべた。
「言づてが長くなる──というのが、相談事ですね?」
その通り。
私は、考えていた言づてを口にした。
「『貴君の予想通りに忠告する。憶測だけで結論を急ぐのは賢明の徒にあらず。古代の文字を貴君の御両親が書き記したと信ずる根拠を示されたし。また、オギマエ獣の骨を提供されたし』ほらね、長すぎるだろ?」
「ええ、まあ。でも、手紙を書かれて、送れと言い張られるよりはずっといいです」
「それはつまり……伝えてくれるってこと?」
「はい。そのぐらいはしかたありません」
「よかった。助かるよ……」
なんだ、ダメと言われたら手紙を送りたいと言い張ろうと思ってたのに。先回りされてしまった。
「あとひとつ、どうもおかしな点があるんだ」
「なんです?」
おかしいのは、竜の現れた時期のこと。
そもそも、3年前に砦が壊され、破棄される羽目になった襲撃はなんだったんだ? あれも竜だったなら、そんなに久しぶりでもないのでは?
「恐らく、それも竜の仕業でしょう。彼女が忘れているだけかと」
そうか。
単純に彼女の間違いか。
それならそれで良いんだが……。