縁結びパワースポット探検隊②
文・稲田万里
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芦谷《あしだに》の滝 瀧姫さん
「圧倒的な場の力」
ここは山奥中の山奥にある場所だ。軽自動車必須。
山道の中に突然現れる鳥居と水量の激しい一筋の滝。
ここでは会話できないくらい場の力に圧倒されてしまった。
みんなそれぞれ神様に静かにご挨拶し、なるべく植物を踏まないように気をつけながら下山した。
自然の中にある神社は生半可な気持ちで行ってはいけない。
気軽に行きたい方は同じ地域でも大きな通り沿いにある比布智神社へぜひ。
境内の左脇には男性器、女性器を模した陰陽石がどすんと置かれていて、触ることが出来る。優しく手を触れて、気をチャージさせていただこう。
腰折地蔵尊
「腰は大切」
車中、運転席に座っているBちゃんが「そういえば最近、デスクワークで腰も痛くて。腰を元気にしてくれるお地蔵様がいらっしゃるみたいなので行きましょう」。
これは今までぎっくり腰を2回している私は特に行きたい。
腰は人との上下関係を象徴する身体のパーツ。ズキズキとお知らせが来る前に予防しておこう。
またかなり細い山道をぐるぐる回って、アトラクションのようなスリルが続いた。車内BGMは、ハリーポッターのサントラ集にした。とびきり時空を超えていこう。
細道を抜けるとぱぁっと開けた場所に竹林が群生していて、ちょこんと腰折地蔵尊があった。近所の方達から大切に守られて整備されているのが分かる出で立ちだ。
扉を開け、備え付けの線香と祈願する紙にお願いを書いて、人間関係がスムーズに行くように祈った。
祀られているのは、自然石を積み上げてできたお地蔵様。
由来は古く、はっきりと分かっていないが、若くして腰を痛め苦労していた方が「私が亡くなったら地蔵を作ってくれ、生まれ変わってお陰を授けるから」と遺言で残したそうだ。
腰に不安がある方、人間関係を良好にしたい方はぜひ訪れていただきたい。
朝山神社/雲井神苑
「美・告白」
朝山神社には、それはそれは綺麗な玉のようなうるわしい心を持った女神様が祀られており、参詣により参拝者もどんどん美しくなるという伝承がある。
これまで巡ってきた場所で、心身共にエネルギーをチャージした我々は、美の神様の元へ訪れた。
性格も大事だけれど、やっぱり見た目や身だしなみは大切である。
人の印象は出会って数秒で決まってしまう。
「お肌の調子がよくなってくれることを願います」と、ささやかに祈る2人が愛おしい。
朝山神社のそばには、「雲井神苑」という日本海が一望出来るスポットがあり、景色が抜群に良い。景色が良い高台は、自分の悩みを告白するのに適した場所だ。
Aちゃんが「そういえばこの前デートした人が、突然途中でこのあと稲刈りがあるからって私を置いていったことを思い出しました」。
あれ? 2人とも特殊な人とばかり恋してませんか? 女より稲刈りを優先する人間、そうそういない気もするが気を取り直して先ほど女神様から頂いたパワーを活用していこう。
「ここ、景色良いし、告白するのに適してない?」と提案し、2人に練習をしてもらった。
「好きです!」
「ずっと気になってました!」
いいぞ、いいぞ。
気持ちって黙ってたら相手に伝わんないから。声、出してこ。
最近、BARで出会ったいいなと思った人に即プロポーズをかましている私もついでに練習。
「会ったばかりですが結婚してください!」
Bちゃん「それは気が早いです!」
稗原《ひえばら》のさざれ石
「地球の先輩」
ここは番外編だが、道中、国歌の歌詞に出てくる「さざれ石」を見つけた。
小学校の頃からことあるごとに歌ってきたが、さざれ石自体を見たことはなかったので、あまりの大きさに驚いた。坂道を降りて、間近に見ることも出来る。
石は人間より遥かに長生きで地球の先輩だ。
Bちゃんが「本当にあるんですね」と言った。
同感だ。なんとなく知っているものが実在していることを知ると大人になった気分だ。
命主社
「地球の先輩②」
最後は、この世に天地ができた際に御姿を現した3人の神様が祀られている「命主社」へ。
悩んだ時は基本に立ち返ることが大事なので、ここは最適な場所である。
樹齢1000年のグニャリとうねった巨大な御神木に圧倒されながら見上げていると、どこからか謎の長老が現れて「ここは始まりの場所です」とおっしゃった。
この人は神様の使いか?と思うほどの完璧な登場タイミングで、その方と談笑した。
もしみんなも地元の方と話す機会があれば、云われや伝説を聞いて、学びを深めよう。
「出雲弁は心の研磨剤。」
文・稲田万里
今回の出雲の旅は濃厚な2泊3日だった。私自身、こんなに一気に回ったことはないので大変嬉しい。
これを書いている今も思い出すと身体からパワーがはみ出てきそうだ。またすぐに出雲に戻りたくて仕方ない。
そしてずっと、出雲弁がコロコロしたスノーボールのお菓子のように可愛く聞こえていた。あの方言に触れると、自分の心のトゲが削れて行く感覚がある。出雲弁は心の研磨剤なのかもしれない。
旅を共にした女子2人は、これから出雲でどんなふうに生きて行くのだろう。もちろん、生きていると悩みはどんどん出てくるもの。そこにぶち当たった時に、今回の旅で触れたパワーを思い出してもらえると嬉しい。
不思議なんだけれど、心は一度繋がった場所に、一瞬でトリップできる性質があるので、それを大いに活用してもらいたい。
撮った写真を見ることでもいい。
これを読んでいる読者の皆さんも、もし今回ご紹介した場所に行かれた際は、その場と自分を一体化させるイメージをしてほしい。それがスケールの大きな自己像を作ると強く信じて。
最後にご紹介したいのは出雲飯。パワースポットを巡る時に大事なことは、その土地の水に触れ、その土地の食べ物をおいしく食べること。
そして、のんびりすること。
出雲といったら、まずは蕎麦でしょう!というAちゃんBちゃんの声で、天ぷら山盛りのお蕎麦を食べた。
寒さで縮こまった身体が暖かい出汁で、じわっとほぐれていく。蕎麦のような細長い食べ物は、心を軽やかに自由にさせてくれる。
蕎麦は易学で言うと、風=自由のシンボルでもあるのだ。
みんなも出雲へ来た際は、しっかり腹ごしらえして歩いてみよう。
人間は想像以上に食べ物に影響を受けてしまうもの。
明るい場所で楽しい感情で食事をして、旅を始めることが出来たならば、あなたの幸運はそこからヘンゼルとグレーテルが落としたパンくずのようにポツポツと進むべき道に落ちているだろう。
帰りの新幹線では、おやつが必須。
とびきりの甘みが欲しくなったので、島根名物はねるだんご倶楽部のお団子を買い込んだ。
心の奥をすうっと見てくるようなウサギが可愛い。キンキラの金箔、こんな量で食べたことがなかったので、最後に贅沢な気分になった。
またすぐに行きます、出雲!
稲田万里先生の著書ご紹介
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