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職人さんに聞きました「出雲のお土産 何がよい?」-① 出西窯
出雲のお土産って何がいいんだろう?
こんにちは出雲市民です。
県外からのお客様にお土産を渡す。そんなとき「出雲そば」が最初に頭に浮かぶけど……。ほかには何があるだろう? と頭を悩ませてしまう出雲の人は多いはず。
私が子どものころゲーム『桃太郎電鉄』で出雲駅に停車すると『出雲そば屋』しか物件がなかった。つまりそういうことなのである。
しかし、どうせなら、いろいろ紹介できる私たちでありたい。
出雲で長年ものづくりをしている職人さんなら、きっと素敵なお土産をおすすめしてくれるはず。
と、いうことで、わたしたちIZUMO365編集部は出雲の職人さんに取材をしてみることに。もちろん、そば職人以外の職人さんにである。
まずはじめに訪ねたのは、出西窯の陶工 中鉢耕助さん。
出西窯は創業1947年、県内外に多くのファンを持つ窯元。地元では超有名な存在。
出雲市駅から車を10分走らせると、のどかな田園風景の中に、出西窯の看板が見えてきた。
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365編集部(以下:365) 今日は出雲のお土産におすすめのものを、職人さんに聞きたい、ということで来ました。
中鉢さん(以下:中鉢) よろしくお願いします。出西窯の商品をおすすめしていいんですよね。
365 もちろんです。
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中鉢 お土産だと、小さいサイズの商品がよいかもしれませんね。これはぐい呑みなんですが、酒器としてだけでなく小鉢としても使えます。使い方は自由なので提案の仕方によっては、すごく便利な商品だなと思っています。
365 ちょっとしたお菓子を入れても良さそうですね。
中鉢 そうですね。他には、これは僕が子育てして初めて気づいたんですけど、離乳食を入れる器としてもぴったりです。ちょうど良いサイズのお皿がなかなか売っていないので、自分で使ってこれは良いなと思いました。
365 シンプルなデザインだから、生活の中で色々な使い方ができますね。
中鉢 「道具としての使いやすさ」にこだわっていますからね。出西窯は、柳宗悦先生をはじめとする民藝運動のメンバーに指導を受けて発展してきました。彼らの考えに影響を受け、今でも使う人に寄り添って作ることを大切にしています。
365 昔から変わらず、一貫したコンセプトがあるんですね。民藝という言葉が出てきました。
中鉢 民藝とは、無名の職人の手から生み出された日常の生活道具です。柳宗悦先生は、暮らしの中で使われるものに美しさを見出しました。「実用性を求めて作られたものに、美しさが宿る」という考え方です。
365 鑑賞するための芸術品ではなく、あくまでも生活道具ということですね。色についてはどうですか?出西窯といえば、「出西ブルー」と言われる青色の器が有名ですよね。
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中鉢 はい。青色はお客様に人気です。私たちも何を置いても、やっぱりこのブルーが綺麗な色になるようにと思って製作する際には気をつけています。
365 色以外ではどんなことを大切に考えていますか?
中鉢 常に、作り手がベストだと思うものを作ることが、出西窯の理念です。一人の職人が一貫して最後まで作るので、自分の考え方が形に反映されます。例えば、カップの取っ手を見ると、位置や形が微妙に違うんですよ。
365 わ、本当だ。同じ商品でも一つ一つ違いますね。職人さんによって微妙に形が違うということなんですか?
中鉢 そうです、作り手はみんなそれぞれクオリティに責任を持って作っています。若手の職人でも途中でほとんど他の人が手を入れず、自らの責任で形を作ります。
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365 ろくろを使って粘土を器の形に成形するんですよね?
中鉢 はい。ただ、どんなにベストな形を作っても、最終的に、どんな印象になるかは、焼いてみないと分からないんです。
365 焼くというのは?
中鉢 粘土を成形したものを乾燥させて窯をつかって焼くのですが、焼く時に、収縮、変形を繰り返すので、出来上がりの印象に微妙な違いが出るんです。
365 なるほど、窯で焼く。
中鉢 窯には、登り窯、灯油窯、電気窯と種類があります。登り窯が一番古い焼き方で、薪を焚いて温度を上げます。焼く作業を「窯焚き」と言いますが、登り窯での窯焚きの時は、個々の作業をストップして全員で掛かります。
365 登り窯を使う良さは、何でしょうか?
中鉢 実は、登り窯でできることと、灯油窯や電気窯でできることは、ほとんど変わらないんです。
365 そうなんですか?
中鉢 むしろ登り窯を使うことは効率が悪いと言えます。しかし無くした方が良いかというと、そうではないんです。理屈で説明するのは難しいですが、スムーズな作業だけが重要ではないと思います。
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365 焼き上がりの微妙な印象の違い。目に見えない要素が作品に影響するからこそ歴史ある製法や価値観を大事にされているのですね。登り窯には、神棚が置いてありますね。
中鉢 窯焚きの時にはみんなで、うまくいきますようにとお願いします。どんなにベストを尽くしても、思い通りにいかないこともあるので、最後は祈るしかないのだと思います。焼き上がった時に、「今回は良かったね」「ダメだったな。次がんばろう」と言い合いながら、登り窯を使い続けていくことに意味があると思っています。
365 祈り。一人ひとりがベストを尽くしながら、目に見えない力を味方にしてものづくりをする。そして出来上がるものは人々の暮らしに寄り添う生活道具。出来上がった器を中心に作り手にも、受け手にも、人の営みを感じることができて、とても素敵だなと思いました。
出雲らしいお土産のキーワードは「祈り」かもしれない。目に見えない力を味方につけないと、よいものができない。
そんなものづくりって陶芸以外に何かあるでしょうか?
中鉢 それなら、長田染工場さんがおすすめですよ。「筒描藍染」という伝統的な技法を守って、発酵菌の力を使ってものづくりされています。
365 菌!まさに目に見えない力ですね。
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ということで「出雲のお土産 何がよい? その①」は「歴史と祈りを纏うもの」とさせていただきました。
出西窯の器はまさに「歴史と祈りを纏うもの」。
受け継がれる職人さんの日々の努力で、目に見えない力を味方につけて作られる器。
同じ商品でも、一つ一つ違う表情を持っているので、出西窯で自分だけのお気に入りを探せます。
次回は、中鉢さんにご紹介いただいた「長田染工場さん」へ行ってきます!
お買い求めは
●くらしの陶・無自性館(出西窯工房の隣)
●オンラインショップ
※いずれも品切れの場合がございます。ご了承ください。