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#34 小説『メディック!』【第7章】7-1 俺×母 降臨

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第7章 俺×母 降臨


 宗次が折り入って話があるというので、休日勇登は彼を喫茶PJに連れて来た。宗次もPJという名前に反応したが、意味は不明というとがっかりした。
 勇登はいつものカウンターではなく、テーブル席に宗次と座った。

「俺、やばいかも」
 宗次は開口一番そういった。 

「なにが?」

 宗次は辺りをキョロキョロと確認した。
「……浅井さんのこと、好きになったかも」

「えぇ!あの男女を!」
 勇登は驚いて叫んだ。

「声、大きいよ!」
 宗次は慌てて勇登の口を塞いだ。
 こそこそ話をはじめた二人のところに、ナオがオーダーを取りにきた。  
 宗次はすぐに勇登とナオが親しいと気づき、勇登を白い目で見た。
「ふーん、仲いいんだ」

 勇登は美夏の前科?を思い出した。休暇明けにちゃんと説明したが、宗次は疑っているようだった。

「勇登はモテるんだな。まあ、俺も勇登のこと好きだからわからんでもないけど。で、どっちが本命なの?」

「何の話だよ」
 勇登は顔を引きつらせた。

「ん?待てよ、そういえば浅井さんもお前によくちょっかい出してくるよな。あ、でも彼女は駄目だからな」
 宗次は亜希央のことまで持ち出して、勇登の本命を詮索した。

 宗次にいわれて少し考えてみたが、自分が誰を好きとかよくわからなかったし、はっきりいって、愛だの恋だの今はどうでもよかった。目の前のことで精いっぱいで、そんなことを考える余裕がない。

「俺は今そっちに興味ないから」
 勇登はさらっとかわすと、すぐに宗次の恋愛に話を戻した。

 勇登がいつものように内務班のベッドに突っ伏してると、携帯が鳴った。
 体は動かさずに手だけを動かして携帯を探す。疲れて動きたくない勇登は、相手もろくに確認せずに電話にでた。

「今週末引っ越すから、よろしく」

「へ?」
 勇登は飛び起きた。

「小牧に転属。冷蔵庫にビール冷やしといて」
 それだけいうと、由良は電話を切った。

 つづく

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 ※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、組織、名称とは一切関係ありません。

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