和泉りょう香

現在小説『メディック!』連載中です。 前作はこちら↓に掲載しております。 https://estar.jp/novels/23576731

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  • 小説『メディック!』

    航空自衛隊の航空救難員を目指す男性の物語。

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小説『空中輸送員』が〈エブリスタ小説大賞2022 集英社文庫 ナツイチ小説大賞〉で、優秀作品に選ばれました!

大変ご無沙汰しております。和泉りょう香です。 この度、小説『空中輸送員』が 〈エブリスタ小説大賞2022 集英社文庫 ナツイチ小説大賞〉   で、優秀作品に選ばれました! 実はこのようにお選びいただくのは2回目でして、前回は <エブリスタ小説大賞2018『現代恋愛・お仕事・ミステリー大賞』>の優秀作品 にもお選び頂いております。とても嬉しく光栄です! そして、今回賞典として選評を頂きました^^ 選評 『空中輸送員』 テーマ:B 共感度:C キャラクター・設

    • #64【最終回】 小説『メディック!』【第15章】15-3 俺×仲間 目的が同じ道

      前回のお話を読む(#63第15章 15-2へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第15章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― *  勇登たち同期は喫茶PJを貸し切って、ささやかな卒業パーティーを開いた。  それは、勇登とナオのお祝いも兼ねていた。ナオは勝手に、由良、美夏、亜希央を呼んでいた。いつの間にか四人が仲良くなっていて、勇登は驚きよりも恐怖を感じた。  ジョンは美夏のことが気に入ったようで積極的に話し

      • #63 小説『メディック!』【第15章】15-2 俺×仲間 目的が同じ道

        前回のお話を読む(#62第15章 15-1へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第15章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― *  卒業を控えた勇登たちは、8枚目の写真撮影に臨んだ。剣山の希望で隊舎の廊下に掲げられた標語の前で行われた。毎日その前を通るので必ず見ていたが、まじまじと見ることはなかった。  大きな木製の板には筆で 『救え』  と書かれていた。  ここにきてからずっと、この目的を達成する

        • #62 小説『メディック!』【第15章】15-1 俺×仲間 目的が同じ道

          前回のお話を読む(#61第14章 14-2へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第15章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 第15章 俺×仲間 目的が同じ道  由良に「週末絶対に帰ってこい」といわれ、勇登は実家にいた。すると、玄関のチャイムが鳴った。当然勇登がでる。 「こんばんは」  ドアを開けたらにこやかな五郎が立っていて、勇登の口から心臓が飛び出しかけた。  五郎から大量のビールを受け取ると、勇

        • 小説『空中輸送員』が〈エブリスタ小説大賞2022 集英社文庫 ナツイチ小説大賞〉で、優秀作品に選ばれました!

        • #64【最終回】 小説『メディック!』【第15章】15-3 俺×仲間 目的が同じ道

        • #63 小説『メディック!』【第15章】15-2 俺×仲間 目的が同じ道

        • #62 小説『メディック!』【第15章】15-1 俺×仲間 目的が同じ道

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        • 小説『メディック!』
          18本

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          『メディック!』【第15章】(最終章) 俺×仲間 目的が同じ道

          はじめから読む(プロローグへ)――――――――――――――――――――――――― 第15章 俺×仲間 目的が同じ道  由良に「週末絶対に帰ってこい」といわれ、勇登は実家にいた。すると、玄関のチャイムが鳴った。当然勇登がでる。 「こんばんは」  ドアを開けたらにこやかな五郎が立っていて、勇登の口から心臓が飛び出しかけた。  五郎から大量のビールを受け取ると、勇登は彼をリビングに案内した。 「俺はお前の母さんに25年前に出会ったんだ」 「息子の前で、意味深ないいかた、や

          『メディック!』【第15章】(最終章) 俺×仲間 目的が同じ道

          #61 小説『メディック!』【第14章】14-2 俺×ナオ 反省

          前回のお話を読む(#60第14章 14-1へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第14章をまとめて読む ――――――――――――――――――――――――――――――――――  ナオの父は彼女が5歳のとき、墜落事故で死亡したのだといった。そして、ナオの母はこの喫茶店でナオの父と出会ったという話をしてくれた。 「今回あなたが危険な目に遭って、あの子も当時のこと思い出したのかもしれないわ」 「……すみません」 「あなたが謝ることじゃないわ。あの子、あなたが

          #61 小説『メディック!』【第14章】14-2 俺×ナオ 反省

          #60 小説『メディック!』【第14章】14-1 俺×ナオ 反省

          前回のお話を読む(#59第13章 13-3へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第14章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 第14章 俺×ナオ 反省  勇登が喫茶PJに行くと、ナオは勇登を無視した。  当然心配されると思っていたから、その態度に勇登は驚いた。納得がいかず、店の外に呼び出して理由を問いただした。  するとナオは「地に足がついていない人は嫌」といい残して、店に戻ってしまった。勇登は意味がわから

          #60 小説『メディック!』【第14章】14-1 俺×ナオ 反省

          『メディック!』【第14章】 俺×ナオ 反省

          はじめから読む(プロローグへ)――――――――――――――――――――――――― 第14章 俺×ナオ 反省  勇登が喫茶PJに行くと、ナオは勇登を無視した。  当然心配されると思っていたから、その態度に勇登は驚いた。納得がいかず、店の外に呼び出して理由を問いただした。  するとナオは「地に足がついていない人は嫌」といい残して、店に戻ってしまった。勇登は意味がわからないまま、仕方なく実家に帰った。  家に帰ると由良は熱燗で一杯やりながら、猫じゃらしで楽しそうにニャーと遊ん

          『メディック!』【第14章】 俺×ナオ 反省

          #59 小説『メディック!』【第13章】13-3 五郎×俺 残された仲間

          前回のお話を読む(#58第13章 13-2へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第13章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ――ああ、煙草がすいてぇ。 持ってない、その上、あったとしても雪の圧で手が動かない。  五郎は巻き込まれる直前、とっさに口の前に作った空洞に向かって叫んだ。 「おーい!」 しかし、こもった声が鼓膜に響いただけだった。  とりあえずの生存可能時間は、早くて10分といったところか。

          #59 小説『メディック!』【第13章】13-3 五郎×俺 残された仲間

          #58 小説『メディック!』【第13章】13-2 五郎×俺 残された仲間

          前回のお話を読む(#57第13章 13-1へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第13章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ――心のどこかで、父さんが死んだことが許せなかった。 父さんのせいで、母さんが泣くことになったのだと思ってしまうことがあった。  でも、それは大きな勘違いだった。  自然の猛威は俺たちを簡単に飲み込んで、雪が、風が、その音が、じんわりと体力と精神力を奪っていく。 今なら、父の気持

          #58 小説『メディック!』【第13章】13-2 五郎×俺 残された仲間

          #57 小説『メディック!』【第13章】13-1 五郎×俺 残された仲間

          前回のお話を読む(#56第12章 12-4へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第13章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 第13章 五郎×俺 残された仲間  ――寒い。    勇登は前を歩く五郎の背中を見ながら思った。しばらく待機せざるを得ない状況であるのは明白だった。    二人になった五郎隊は少し歩き、岩の斜面を利用して簡単な天幕を設営した。その中で、天候の回復を待つことになった。    五郎が小

          #57 小説『メディック!』【第13章】13-1 五郎×俺 残された仲間

          『メディック!』【第13章】 五郎×俺 残された仲間

          はじめから読む(プロローグへ)――――――――――――――――――――――――― 第13章 五郎×俺 残された仲間  ――寒い。    勇登は前を歩く五郎の背中を見ながら思った。しばらく待機せざるを得ない状況であるのは明白だった。    二人になった五郎隊は少し歩き、岩の斜面を利用して簡単な天幕を設営した。その中で、天候の回復を待つことになった。    五郎が小声で話しかけてきた。 「訓練は辛いか?」 「辛くありません」   「今は本心をいえ」 「……辛いです」   「そ

          『メディック!』【第13章】 五郎×俺 残された仲間

          #56 小説『メディック!』【第12章】12-4 俺×五郎 判断

          前回のお話を読む(#55第12章 12-3へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第12章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― *  五郎隊は、無事崖下に到着した。 「大丈夫ですか!?航空自衛隊の者です。救助にきました」  勇登がそういうと、少し太めの男性は顔を覆っていた腕を外し、うっすらと目を開けた。額には艶があり、この雪の中でも血色がよさそうに見えた。年齢は40前後といったところか。 「どこか痛い

          #56 小説『メディック!』【第12章】12-4 俺×五郎 判断

          #55 小説『メディック!』【第12章】12-3 俺×五郎 判断

          前回のお話を読む(#54 第12章 12-2へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第12章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― *  民間機墜落事故の連絡を受けて、救難教育隊の整備小隊もバタバタとしていた。  亜希央が事務所に入るなり、外線電話が鳴った。 「はい。救難教育隊、整備小隊です」  亜希央は少しよそ行きの声色で、感じよくいった。 「あ、あの、……うちの子は無事でしょうか?」  受話器の向こう

          #55 小説『メディック!』【第12章】12-3 俺×五郎 判断

          #54 小説『メディック!』【第12章】12-2 俺×五郎 判断

          前回のお話を読む(#53 第12章 12-1へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第12章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― * 客のいない喫茶PJで、ナオは音消しされたテレビを見ていた。  たまにはニュースでも見て、最近の時事ネタを知っておくのも悪くない。それで、お客さんとの会話が盛り上がることもある。もう少ししたら混みはじめるから、今はリラックスタイムだ。  店のコーヒーに砂糖とミルクをたんまり入れ

          #54 小説『メディック!』【第12章】12-2 俺×五郎 判断

          #53 小説『メディック!』【第12章】12-1 俺×五郎 判断

          前回のお話を読む(#52 第11章 11-2へ) はじめから読む(プロローグへ) 目次(マガジンへ) 第12章をまとめて読む ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 第12章 俺×五郎 判断 冬季山岳実習当日。 勇登が空を見上げると、青空を背景に小型機がモクモクと煙を出しながら、ゆらゆらと飛んでいるのが見えた。それはそのまま、雪を被った木々の中に滑り込んだ。 「民間のビジネスジェットだな」  教官の正則は真顔でそういうとすぐに無線を手にし

          #53 小説『メディック!』【第12章】12-1 俺×五郎 判断