歌ヲ聞キ乍樗堂一茶両吟/降雪にの巻
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秋を見にたつ庭の正面
ほんのりと此頃になき薄月夜 一茶
名オ十一句、月の定座のうす月夜。
〇
ほんのりと ほんのりと、在り。
此頃に このごろ・に つい今頃には。
なき 無き、「このころになき」で一語。
薄月夜 うすつきよ、夜空に透けて見える、お月さま。
〇
あきを みにたつ にはの まむかひ
ほんのりと/ このころになき うすつきよ
前句に、「この頃に無き」と付け、良き秋を祝う気持ちのこもった句を詠んでいました。「ほんのりと」の語がよく効いてますね。
〇
俳諧の連句に
哥いづれ小町をどりや伊勢踊
どこの盆にかをりやるつらゆき
空にしられぬ雪ふるは月夜にて
いつも寝ざまに出す米の飯
貞徳独吟「哥いづれ」発句、脇、三、四句。
〇
芭蕉に
十五夜
米くるゝ友を今宵の月の客
元禄四年、義仲寺月見会。
〇
句に
この山の真如の月とひきがへる 林火
海裳の薄月夜とて妹のこし 月笠
2.10.2023.Masafumi.