
謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻
日常平語
13
門にもたれて雲を詠る
山越の約束来べき鐘の声 一茶
初ウ七句、首筋を、そよと撫でゆく風ありき。
〇
山越の やまごえ・の、山は山でも、句は「山越えの」阿弥陀。
約束 やくそく、仏と人との。
来べき く・べき、必定。(死)
鐘の声 かね・の・こゑ、皮膚感覚で捉えた感性の響きとでも。
〇
かどにもたれて くもをながむる
やまごえの やくそくくべき かねのこゑ
雲を詠るから、来迎図への転換、それはまた、視覚から聴覚あるいは皮膚感覚に向かわせていたのです。
〇
近代の小説に
『死者の書』 折口信夫
彼の人の眠りは、徐かに覚めて行った。まっ黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
した した した。耳に伝うように来るのは、水の垂れる音か。ただ凍りつくような暗闇の中で、おのずと睫と睫とが離れて来る。膝が、肱が、徐ろに埋れていた感覚をとり戻して来るらしく、彼の人の頭に響いて居るもの――。全身にこわばった筋が、僅かな響きを立てて、掌・足の裏に到るまで、ひきつれを起しかけているのだ。
そうして、なお深い闇。ぽっちりと目をあいて見廻す瞳に、まず圧しかかる黒い巌の天井を意識した。次いで、氷になった岩牀。両脇に垂れさがる荒石の壁。したしたと、岩伝う雫の音。
時がたった――。眠りの深さが、はじめて頭に浮んで来る。長い眠りであった。けれども亦、浅い夢ばかりを見続けて居た気がする。うつらうつら思っていた考えが、現実に繋って、ありありと、目に沁みついているようである。
小説の冒頭「した した した。」です。
30.11.2023.Masafumi.
余外ながら
Beat Takeshi " KID RETURN " 太田出版の初版は1981年。
これを踏まえて、ヨウブンは "The Systematization of Japanese Folk Culture"を「国立民俗博物館研究報告」第1集に発表したのが1982年のことでした。
関係ねえじゃないか、まったく、もう、、、、
1996 キッズ・リターン Kids Return Kids Return