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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     03

 木の葉はらはら昼比の月
さゝ濁り魚とる水に竹さして      一茶

三句、転じて水辺に運びつつ獲物は手中にある、と。

     〇

さゝ濁り ささ・にごり、「笹曇り」を「ささ濁り」に。

魚とる うを・とる、湖、川辺、河口、あるいは、池、堀、大井手の漁。

水に みず・に、人が水に入っている。(小舟を浮かべる漁もあるにはあるのだが、、、、、)

竹さして たけ・さして、おそらく簗、追い込み漁も。(「竹さして」は、この句の漁にも、この歌仙にも。)

     〇

 このは はらはら ひるころのつき

さゝにごり うをとるみずに たけさして

気象から水辺へ、三句の転じに魚を獲る人々を活写しつつ、この三つ物で歌仙の張行に確かな手ごたえを得ていたのです。

     〇

それにしても、この第三句の「竹さして」の下五の冴えは見事です。

樗堂一茶、いくらか心得もあったのかも知れませんね。

絵本「つかまえた」以下引用です。

川のあさせに大きな魚のんびりと、よどみの中でじっとしている
そうっとそうっとちかづいていったら
足がしべった ! まっさかさまに水の中
のばした指が魚にふれた
するりとにげた にがすもんかにがすもんか
手の中でぬるぬる にぎるとぐりぐり いのちがあばれる
つかまえた !
ぼくがつかまえたぼくの魚だ
魚をだいて 魚にだかれる ゆめをみた
目がさめると、魚はぐったり草の上
しんじゃだめだ ! しんじゃだめだ ! いきかえれ !
魚はいきかえった ! あばれてもがいて、 ぼくの手からにげだして
川の中
そのままおよいでいってしまった
「あっ」

田島征三「つかまえた」偕成社 2020

20.11.2023.Masafumi.

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