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とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻

Berjaln-jalan, Cari angin.
     08

無骨なる人に仕へる秋のすへ
 黄金の洞に松ともしつゝ        一茶

初ウ二句、こりゃおもしろい、法螺噺だとしても。

     〇

黄金の こがね・の、大判小判がサックザック、財の象徴。

洞に ほら・に、洞窟。(黄金のほら、で、大法螺噺とも)

松 まつ。

ともしつつ 灯し・つつ、灯しながら。(松を灯すのは、とても古い時代のことですから、時代からもずれていたのです)

     〇

ぶこつなるひとにつかへる/ あきのすへ

 こがねの ほらに まつ ともしつゝ

黄金の洞は、おもしろい。付けた一茶よりも、かえって付けられた麦士の方が、悦に入ってたに違いありません。その意表をついた付け筋に。

     〇

何より「金の鯱は名古屋城」「黄金の茶釜」は太閤秀吉で知られていましたが、「黄金の洞」というのはさてどのようなものか、そう思うだけでも楽しかったのです。(堅物の御仁には思いもつかないだろうと)

いや、それよりも、「黄金の洞」に「松ともしつゝ」の<ずれ具合>が、なんとも滑稽だったのです。(待てよ、世の中には時々チグハグなことをしてる無骨者もいないことはない、などと)

そこら辺りをかいまぜて、人に仕える煩わしさを<笑いの渦>のなかに巻き込んでいたのですね。

6.11.2023.Masafumi.

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