仕切り直し樗堂一茶両吟/藪越やの巻
丗三
本取筋はけしきばむ頃 一茶
朝風の花に余寒をこきまぜて 樗堂
名ウ三句、ハクションと嚏の勢い、花の座ふたつひきあげて、、、
〇
朝風の 朝吹く風。陸上から海へ、山頂から谷に吹きおろす。
花に 春は名のみの初花に、、、、
余寒を 立春後の寒さ。 高野本平家灌頂に「きさらぎやよひの風はげしく余寒もいまだつきせず」と。
こきまぜて こきまぜ(扱混)。「こきま」に「ず」、「こき」は二種以上のものをまぜあわせること。
〇
ほんとりすじは
けしきばむころ
あさかぜの はなに よかんを こきまぜて
「梅の花のわづかにけしきばみはじめて」は源氏物語「幻」。歌仙の運びも歌合からやがて花の下の連歌へと移していたのです。
〇
花の句は秀歌から、
見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける 素性法師(古今和歌集)
本来の語義からすれば、色のついたものを細かくちぎって混ぜることだったのですが、朝風の花に余寒を扱き混ぜたところが、この句の工夫だったのです。
〇
と、云うのも、前句は寛政版あぶな絵。
いくぞいくよの二つ三つ、四つ五つと重ねるそのうちに、かけた衣もあちこちに上の下のとあられもなき有様。
気のあるうちはまだしも、とろりととろりとする折に、朝風なんぞに吹かれてごらんなせえ、おっつ寒、さむっつ。
嚏のひとつも出まさぁね。だって、お尻なんか丸だしなんだもの、、、、、ハクションと。
「こきまぜて」の語が効いてましたね。
19.9.2023.Masafumi.