林檎のスープ
毎年ではないけど、冬になると、ときどき作る。
皮の色の美しい紅玉(名前がいい)や秋映を見つけると、ジェリーかスープかどちらにしようかな、と売り場で手が伸びてカゴに入れる。
美しい果物を見つけたから、作ろう、という日もあれば、
ちょっと口になめらかで胃に優しいものが食べたい、という日もある。
同じ「作る」、でも、動機が違うのを観察するのが面白い。
きれいなものを見つけたから、きれいなものをこしらえたい、
ついでに食べると美味しかった(食べなくてもいい)、
うん、きれいだった、満足、という日と、
優しい、きれいなものを食べたいから、優しいものをこしらえる、
食べたら美味しかった、安心した、満足、の日。
ゴールはたいてい「満足」でも動機とルートが違うことは
日々の繰り返しの中に、たくさんある。細かな織模様みたいです。
このスープは、作っている時が、いちばん、きれい。
果肉から滲む水分や果皮が、光をまとって煮込まれるのを待つ姿や
火が通って透明感が増していく時間。柑橘の果汁で色が変わる瞬間。
この美しさが見たくて、作っている節もある。
果物は、森の宝石です。
スープの味付けは、オーブンで焼いて手で砕いて塩を混ぜた胡桃でアクセントをつける。胡桃は、包丁で刻むより、まばらな大きさに手で砕くのが断然美味しい。口の中で味と香りの強弱をつける。スープの甘味とクルミの塩味のバランスが楽しくて、甘じょっぱいってやっぱりおいしい組み合わせ。
出来上がったスープは、冷やしてデザートにしてもいいけど、温めて、前菜としていただくのもお気に入り。軽食なら、ホットサンドに添えてもいい。
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