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北見薄荷の自然科学(4);知的魅力満載の北見ハッカ科学概略(薄荷の分析)
大学基礎化学実験のもつ文理融合のポテンシャルについての私の考えは後に回し、その前段階として、北見薄荷のテーマがどういう文理融合を示し得るのかをお伝えしたいと思います。今回は、薄荷油や薄荷脳を分析する手段の中で、手軽な方法として化学実験で行っている実習を紹介します。
1.薄荷油の分析はクロマトグラフィ
「薄荷油の成分は無限と言ってもいいくらい。とにかく植物は何でも作るので、ガスクロマトグラフィーなどで分析するとものすごい数のピークが検出されます」と、前の記事で書きました。そのとおり、ガスクロマトグラフィ(GC)が薄荷油分析の主力となっています。私が行う大学基礎化学実験では、とても手軽な手法として、薄層クロマトグラフィ(TLC)による分析を実習しています。
2.ガスクロマトグラフィ(GC)
ガスクロマトグラフィ(Gas Chromatography)は、少量のサンプルを高温で気化させてヘリウムガスの流れに乗せる手法で、精密な分析ができる。下に分析チャートを示す(掲載許可を得ていないため大幅にボカシてます)。
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このチャートの、一番大きなピークがメントール、二番目はメントン・・・その他これを見るだけでどれだけたくさんの物質がオイルに溶け込んでいるかわかると思う。
3.薄層クロマトグラフィ(TLC)
薄層クロマトグラフィ(Thin Layer Chromatography)は、ペーパークロマトと同じく、ガラス版やアルミシートの担体にシリカゲルやアルミナなどの粉末を薄く塗ったクロマトシートを溶媒に漬けて展開する手法で、上記GCのような何百万円という機械を必要としない点で非常に手軽である。
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指で示しているところが、メントールのスポットである。
上の写真は私が化学実験の授業で行っている実習風景であるが、その右にある発色後のシートに見られるように、少量、微量成分は拾えないものの、かなり鮮やかに主成分を捉えることができる。なおシートはシリカゲルを塗布したアルミシート、発色剤はp-Anisaldehyde。
ここまで読んで頂いた方は、薄荷の化学実験がいかに大学基礎実験科目に馴染むかが、お判りいただけたと思う。
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