見出し画像

171 初めてのインターンシップは、映画の配給会社で。

大学寮からのリモート勤務。


コロナ禍でアメリカの田舎の大学の寮に、隔離状態で迎えることになった夏休み。

娘は地元の映画会社で、リモートでインターンシップをさせてもらえることになりました。
地方の会社なので、小規模な映画の配給や制作を行っているようです。

無償ではなく、月数万円の給料が出て、仕事は主に映画の脚本を読むことでした。
どの映画を配給するかを決めるために、脚本を次々に読んでいき、会議で話し合うそうなんです。

だからリモートでも充分できるし、娘にとっては仕事と勉強と遊びを兼ねたようなもの。
中高時代にアメリカ・日本・韓国などのドラマや映画を山ほど観ていたので、脚本を読ませてもらえるなんて、夢のようなことでしかありません。

「毎日いろんな作品読んで、すっごく勉強になるし、楽しいよ!」
と言っていました。


レビュー(評価)を書いていく。


脚本を読む作品は、すでに映画が出来上がっているものもあれば、制作会社やキャストは決まっているけど、撮影はこれからというものもあったそうです。

一つ一つ読んでは、どこがいいとかよくないとか、配給すべきかどうかを決めるためのレビューを書いていって、上司に提出します。
インターシップの試験を受ける時にも、このレビューを的確に書けるかどうかが審査され、それで合格したようでした。


でも、たった19歳の、しかも日本人の女の子が書くレビューが会社にとって役に立つんでしょうか?
私はそれがちょっと疑問だったんですが、そうでもなかったようなんです。

レビューといっても、評論家が作品を批評するのとは違って、配給して当たるかどうか。
だから、歳のいった大人ばかりの中、10代の女の子の意見というのもそれなりに重要で、しかも日本人というマイノリティーの視点も貴重だったようでした。

娘もそこをわかって、上司たちがピンと来てないような作品、たとえば若者に人気の俳優さんたちがキャスティングされていて、脚本もすごくいいと思えるものは
「絶対これを配給した方がいいと思います!」
とオンライン会議で推したりしたようです。(笑)


農場でも働きながら。


社内の制作部門の方たちから、自分たちの書いた脚本を読んでほしいと依頼されることもあったそうで、毎日大量の脚本を読みながら、娘にとっては本当に勉強になる日々でした。

ただ、夏休みの寮費は減額されているとはいえ、このインターンシップの給料だけでは足りなかったので、娘は大学内の農場でも週に2日ほど働くことに。

仲良しのカンボジアからの留学生Sちゃんや、日本人の先輩Nくんなどもそこで働いていて、仕事は主に草むしりなど簡単な作業だったので、みんなでワイワイと楽しかったようです。

大学の外は完全にロックダウン。
日本でも全員が隔離状態で、各家庭の限られた空間の中で息苦しい毎日を送っていた頃です。

アメリカ北部の豊かな自然の夏は暑すぎることもなく、村には相変わらず感染者はなく。
広大な大学の敷地で過ごす娘は、毎日夢のような仕事をして、恵まれた一戸建ての寮で自炊をし、ある種世界一安全な夏休みを送っていて。
なんだか信じられないくらいでした。


しかし、制作を行うハリウッドの現場は、コロナを機に混乱に突入していたのです。


いいなと思ったら応援しよう!