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34.お互いの幸せのため、別々の道を選ぶ
出張から帰ってきてから、マッチングアプリで出会った彼との予定を入れられるようになってきた。月末には、彼と日帰りの小旅行に行く予定。
レンとの関係を保留にしたまま新しい恋を始めることはできない。
レンとの恋を、終わりにする。
全然連絡しなくなったことや、会わない日が多くなってきたことで、何か察していたのかもしれない。だから、切り出すのは簡単だと思っていた。
じゃあ、いつレンにそのことを伝えるのか?どうやって?どの言葉を使って伝えるのか??
そんな事を考え出すと、全然思考が進まない。
もう何度だって考えたし、シミュレーションもしていたのに。
新しい恋の始まりにはワクワクするけど、レンとの恋が本当に終わるんだと思うと、涙が止まらなかった。
私の30代はいつもレンと一緒だった。
不安な時も寂しい時も、いつもレンが寄り添ってくれていた。レンが居なかったら、私は一人で立っていられなかったかもしれない。
自分にとって唯一の支えであったレン。
あんなに大事にしてきた恋を自分から終わらせる日が来るなんて。
そんなことを考えていると自然と涙が溢れていた。
こんなに悲しいのなら、いつまでもずっとレンと一緒に居たら良い。
そう考えてみたりもしたけど。
私が「結婚」を諦めない限り、これ以上一緒に居てもレンを縛るだけだと思った。
レンの事は大好きだったけど、30代の私は「結婚」を諦めることはできなかった。
結婚したいのなら、レンはその相手に相応しくないし、私が結婚を求めるのならレンにとっても私は、相応しくない。ただそれだけのこと。
新しい恋が始まるかもしれないこのタイミングしかレンと別れようと思えるチャンスは、もうないと思っていた。
いつでも一緒に居てくれて嬉しかった事、幸せを感じた事。
レンが一緒に居てくれたから乗り越えられた事が沢山あること。
私じゃない、他の誰かとこの先ずっと幸せで居て欲しいと思っている事。
これだけは彼に直接伝えたいと考えていた。
別れ際にこんな風に相手を想える恋愛は、生まれて初めての経験だった。