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桜 レクイエム Ⅱ


『どうして、こちらの世界に来たの?』
『どうして?いや、何故此処にいることもよくわからないんだ。
   教え て?』
『兄さん、誰もが此処に来たくてくる訳じゃない。此処は光と闇のあわ
  いにある・・・・・・う~ん行ってみれば隧道なんだよ』
『光と闇の隧道?』
『そう、光と闇の隧道』
『どうして、この世界に来ることになったの?』
『僕の魂は、未だ未だ光の世界へは還れないんだ』
 弟は非常に哀しいそうな声でそう言った。
『自ら死を選んだ人間はそうだと聴いたことがあるけれど・・・』
『僕一人の力では、光の世界へ向かうには、気の遠くなるような時間が 
  必要なんだ。そして、必ず行けるという保証もない』
『僕では、力になれないのか?』
『ああ、今の兄さんの今の生き方では無理だ』
『今の僕の生き方では無理?』
『うん、兄さんが僕をこの世界から抜け出して助けてくれるのは、そち
   らの時間で・・・後十年待たなければならないんだ。そして、それか
  ら、兄さんはすべてを・・・』
『すべてを?・・・何だって、そんな風に言い切れるんだい?』
『それが、この世界の不思議さぁ・・・』
『ふ~うん、そうか、そうだとしたら間違いないだろう』
『驚かないんだね』

『ああ、十年後の世界・・・今の僕には夢また夢。生きているかどうか
   だってわからな いよ』
『・・・・・・・』

『未来への話しは許されている訳ではないし、この時点での話しは先の
   生き方や流れで いくらでも変化はありえる・・・けれど・・・・・
  もっと伝えておきたいんだ』
                                                                                                     Ⅲに続く

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