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読書の方法について 【12冊目:本を読む本】

学生時代に出会っていれば良かった。
『本を読む本』は、読了後に後悔の念さえ抱かせる本でした。


”本を読む本”ってどういうことでしょうか。
読了記録? 本を読む人の物語?
読了記録的な内容なのかな、とも推測してしまいそうな題名なのですが、この本は違います。
この本は、本に書かれた内容を最大限に理解・活用するために、読者側が心得ておくべき手順書でした。


内容

訳者は『思考の整理学』の著者である外山滋比古さん。
それだけの理由で読み始めた本でしたが、なかなか興味深い。
本を読む、という行為は簡単そうでいて案外難しいものかもしれません。
文面を目で追うだけの「読む」行為と、本の内容から思考を巡らせる「読む」という行為では、本を扱うという同じ行為であっても意味が違ってくる。
この本は主に後者に対しての「読む」行為ついて、丁寧に解説されていました。

内容を個人的な解釈で大まかにまとめると、

1) "知識"のための「教養書」と、著者や登場人物の"経験"を読む「文学」があるよ
2) 教養書を読むコツを伝授するね
 ① 表題や目次から、その本の内容(構造)が分かるよ
 ② キーワードや著者の主張・考えを見つけてね
 ③ 主張・考えに至った理由を見つけよう
 ④ 内容・結論を検討しよう
 ⑤ 著者の考えに対して、自分の考えはどうだろう?
3) 文学は心の動かされるままに読んでね
  百科事典などを使う時の注意点も書いておくね
4) 同じ主題の内容を複数冊読むときの方法もあるよ
5) 読書の効果効能、読書は良いよ!

と、いう感じでしょうか。
文面から小難しさを感じてしまい読み進めるのに時間がかかりましたが、結論から言えば「読む価値はあったな」ということでした。

それはなぜか。
まずは、読者側として知っておくべき、あらゆる本(内容)を深く理解するための読書手順やポイントが、懇切丁寧に、理由も含めて詳細に記載されているからです。
この本に記された手順を活用すれば、資料や文献から必要なキーワードや情報を見つけやすくなる。
また、何がどこに書いてあり、著者の言いたいことが見つけられるようになれば、より内容の理解度が深まる。
それに伴って、自分の知識量も格段に上がることが期待できる。
そう思うと、今後の読書時間をより有意義に過ごすことに繋がりそう。
論文や感想文など、参考文献から自分の思考を発展させていく課題が出やすい学生時代に読んでおけば、きっともっと、必要な情報を効率よく集めやすかったのだろうな。

日常に活用出来るか

読書方法にも色々な手順があるのは分かった。
ではそれを日常生活で活用できるか、について。

本の内容としては教養書に対する項目が大半を占めているので、「教養書は読まないよ」とか「論文書かないよ」という方もいるかと思います。
私が日常生活で使えそうだなと思うのは、本書でいう「点検読書」の方法です。
前述した①に該当する手段で、本の読み始める前に先に目次や見出しなどから自分が欲しい情報が書かれているだろう場所にあたりをつける、というものです。
家電の取扱説明書を見る時とか、どの年代性別でも使えそうな技でもあると思います。
まぁ、取扱説明書を読む機会もそうそう無いんですけど、例えば新聞やネット上の記事を読むとき。
普段は無意識に流し読みしている記事を、先に①を行い記載場所に当たりをつけることで、漠然と最初から最後まで読み進めるよりも、その情報に集中しやすく、また理解しやすくなるため時短にも繋がると思います。
実際に、読み始める前に目次や見出しを見てみるだけでも、訳のわからないまま読み進めるよりかは格段に内容が頭に入ってきやすかったです。

その他にも、著者の主張に対する自分の意見を発展させていくというのも、このように記事を書いていく(文を作っていく)過程で参考になるとも考えています。

おわりに

学校で辞書の引き方を教えてもらっても、その分厚いページから必要な情報を見つけ出す方法は自分で身につけていく技術なのかもしれません。
それを、この本が教えてくれている。
線を引く場所とか、些細な、けれど自分の助けとなるであろう技もあったり。
「普段無意識にやっている行動が実は効率的だったんだ」とか、「こうすればいいのかも」というのも分かるかも。
すべての読書に対して”見出しを確認→キーワードを見つける→内容検討→自分の意見を出す”という一連の流れをするのは難しいのですが、
欲しい情報を探すのが苦手だったり、もっと内容を深く理解できるようになりたいという方には、その悩みを解消できる手がかりがきっと見つかるかもしれません。


すぐれた読書とは、われわれを励まし、どこまでも成長させてくれるものなのである。

『本を読む本』 15 読書と精神の成長


[引用]
書名:本を読む本
著者:M .J .アドラー、C .V .ドレーン
訳者:外山滋比古、槇未知子
発行:株式会社講談社
ISBN:4-06-159299-8
          (敬称略)


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今日も一日、素敵な時間が過ごせますように。
Izumi

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