忘備録>ヨーロッパの製造業は、各国の国内法に加えてEU全体での統一された規制がある
ヨーロッパの製造業は、各国の国内法に加えてEU全体での統一された規制が適用されるため、製品の品質、安全性、環境配慮に関する厳格な基準が求められています。以下は、ヨーロッパで製造業に関連する主な規制とその概要です。
1. CEマーキング
概要:EU内で販売される多くの製品には、CEマーキングが義務付けられています。CEマークは、製品がEUの安全・健康・環境保護に関する基準を満たしていることを示します。
対象製品:電気機器、玩具、医療機器、機械類など多岐にわたります。
製造業者の責任:製造業者はCEマークを取得するために、適切な安全試験やリスク評価を行い、EU指令の基準を満たす必要があります。違反すると、罰金や販売停止などの制裁が課されることがあります。
2. RoHS指令(特定有害物質の使用制限指令)
概要:RoHS指令は、電気電子機器に含まれる有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなど)の使用を制限する規制です。
目的:人体や環境への影響を最小限に抑えるため、電子製品や部品に有害物質が含まれないようにすることが求められます。
製造業者の責任:製造業者は材料や部品の成分分析を行い、RoHS基準を遵守していることを証明する必要があります。また、サプライチェーン全体でのコンプライアンスを確保する必要もあります。
3. REACH規則(化学物質の登録、評価、認可、および制限)
概要:REACH規則は、EUで流通するすべての化学物質を対象とし、製造、販売、使用される化学物質が人と環境に与える影響を評価することを義務付けています。
対象:化学物質を単独で、または製品や混合物に含む場合に適用されます。
製造業者の責任:製造業者や輸入業者は、化学物質の安全性評価を行い、欧州化学品庁(ECHA)に登録しなければなりません。また、危険性が確認された物質については代替物質の使用や削減が求められます。
4. WEEE指令(廃電気電子機器指令)
概要:WEEE指令は、電気電子機器の廃棄物を適切に処理し、リサイクルや再利用を推進するための規制です。
対象:ほとんどの電気電子機器が対象で、家庭用・業務用を問わず適用されます。
製造業者の責任:製造業者は、廃棄物の回収、リサイクル、適切な廃棄処理のためのインフラ整備に責任を負います。多くの場合、製造業者が製品の廃棄回収コストを負担する必要があります。
5. エコデザイン指令
概要:エコデザイン指令は、エネルギー関連製品の設計段階で環境への影響を最小限に抑えることを目的としています。
対象:エネルギーを消費する製品や、エネルギー消費に関連する製品(電化製品、暖房機器、照明器具など)が対象です。
製造業者の責任:製造業者は、製品のライフサイクル全体での環境影響を最小化するため、省エネルギーやリサイクル可能性を考慮して設計を行う必要があります。また、EU市場に流通させるためにはエコデザイン基準に適合していることを証明しなければなりません。
6. 一般製品安全指令(GPSD)
概要:GPSDは、EU市場で販売されるすべての製品が安全であることを確保するための指令です。製品が特定の指令でカバーされていない場合、GPSDの適用が求められます。
対象:すべての製品(食料品を除く)が対象となり、特に消費者向けの製品が注目されます。
製造業者の責任:製造業者は、製品が安全であることを確認し、リスク評価を行います。消費者に害を及ぼす可能性がある場合は、迅速なリコール対応や情報提供が求められます。
7. 機械指令
概要:機械指令は、EU市場で販売される機械装置が安全であることを確保するための基準を設定しています。
対象:産業機械、家庭用機器など広範囲の機械が対象であり、安全性と環境への配慮が求められます。
製造業者の責任:製造業者は機械が指令に適合していることを証明し、技術文書を準備し、CEマーキングを行う必要があります。また、指令に基づいたユーザーへの使用説明書や安全指示も義務付けられています。
8. 労働安全衛生規則
概要:各国の労働安全衛生規制に加え、EU全体での指令も存在し、労働者の安全と健康を確保する基準が定められています。これには職場の安全性の確保、危険物の管理、騒音や振動対策などが含まれます。
製造業者の責任:製造業者は、作業環境や設備が労働者の健康と安全に適していることを確認する義務があります。特に危険な作業や機械操作については、適切な防護装置や教育・訓練の実施が求められます。