「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2の9話〜16話を振り返り
今年最初のスター・ウォーズ映像作品「バッド・バッチ」シーズン2 後半の16話(最終話)までの展開を振り返ってみます。
前半の振り返りはこちらの記事を参照ください。
なるべくサプライズやストーリーの結末などは「見てのお楽しみ」とするよう心がけていますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんので未視聴の方はご注意下さい。
前半の展開
前半ではバッド・バッチの活躍でカミーノ滅亡が帝国軍の攻撃によるものであった事が議会の場で公にされます。しかしパルパティーンによってランパート中将とクローントルーパーにその罪がなすりつけられ真相が闇に葬られた挙げ句に徴兵制(ストームトルーパー)の導入が決定的なものとなり、クローントルーパーの運命に負の影響を及ぼす形になってしまいます。
第9話〜第11話
再びシドの依頼をこなす裏稼業に戻ったバッド・バッチとオメガですが、エコーが離れたためチームのバランスがゆらぎます。
テクやレッカーの欠点が描かれているのもポイントになっています。この描写を批判する声をネットで散見しましたが、個人的に彼らバッド・バッチは超人ではなくて突出した能力を持ちながらコミュニケーションや社会活動など何かしらの欠陥を持つ人たちを隠喩・象徴する存在だと思っていて、身近にそうした人がいる身としては、多様性共存を描くこの挑戦に対するネットの安易な批判に対して残念に感じるところがありました。
この3つのエピソードにおいて、稼業のネガティブな側面として彼らはかなり危険な目に合います。そうした経験が以降のハンターの判断に影響していきます。
第12話〜第13話
クロスヘアーは帝国軍の兵士として任務に従事。
議会で可決したクローントルーパー廃止に伴って強制退役が進むなか、与えられた任務で世の中の変容を客観的に体感し、行動に出ます。
社会的な死の淵にあるクローントルーパーとそれを狙うように飛ぶアイス・ヴァルチャー。クロスヘアーの俯瞰的な視点を象徴する存在にも感じました。
一方、バッド・バッチも先のシドの任務で彼女との縁を切ります。
フィーが第2の故郷と語る平和な惑星へ。歓迎され、平和な日常を得ますが突如巨大な災害に見舞われます。
スシというワードも出ましたが、明らかに東日本大震災を意識した内容で日本人には少しショッキングでしたが、このエピソードで描かれたのは小さな共同体ながら上層と下層(物理的ですが格差の隠喩のようにも)が協力し合い力のある者が弱い者を助けるという理想的な働きで犠牲を回避するというものでした。機能不全の銀河規模の国家体(共和国あるいは帝国)を皮肉るようなお話でした。
第14話〜第16話
この3話で構成されるアークでシーズン2のフィナーレとなります。
クロスヘアー救出の手がかりを得るために向かったのは、ターキン一族に縁のある惑星エリアドゥ。翻訳されている数少ない正史小説の一つ「ターキン」でこの惑星の謂れやターキンとの関わりが語られます。凶暴な原生生物が多く住む極めて危険な場所であり、クライマックスを考えると絶望的な気持ちにさせられます。
そしてオメガと対面したエメリーの正体に驚かされました。
演じるのは「エピソード3 シスの復讐」でナブーの女王アパイラナを演じたニュージーランド出身の俳優ケイシャ・キャッスル=ヒューズです。
首脳会談の出席者たち
ターキンの基地に招集されたメンバーです。
コバーン提督は、クローン戦争時代はアソーカのマスターであるプロ・クーンの指揮下でザイゲリア帝国に奴隷として拉致されたトグルータを救出する任務などで英雄的に活躍しました。しかし結局は彼もまた国家体制が変わっても命令に従うだけの軍人に過ぎなかったわけです。ロモディ将軍とコマンダー・クレニックは「ローグ・ワン」から時を遡る形での登場ですが、一応ロモディ将軍は「エピソード4 新たなる希望」のデス・スターの会議室の場面の出席者にもなっています。
「〜新たなる希望」のデス・スター破壊とその直前のスカリフの戦いで、このうちの少なくとも3人を含む首脳陣が戦死することになります。以降の反乱同盟軍が攻勢に転じる理由付けとして今後も(喪失される)彼ら首脳陣の帝国全盛期における描写が増えてくるかもしれません。
失われたクローン技術
同時期配信の「マンダロリアン」シーズン3と劇中で共通で取り沙汰されているのがクローン技術です。「マンダロリアン」では映像作品において初めて「ストランド・キャスト」というワードが登場しました。
これは2つの異なる遺伝子ドナーから得た遺伝子ストランドを使い、任意の型に当てはめて人工的に生み出す生命体の事です。映画の中では明かされませんでしたが、最高指導者スノークがストランド・キャストだったことが小説やコミックで設定として登場しています。ただ、技術としてシスの組織が完成させる事は最後まで出来なかったようなのです。
レイの父親デイサンもまたストランド・キャスト(の失敗作)です。興味深い点としてはエクセゴルのクローン実験施設には何者かの切り落とされた右手が。レイのルーツについて今後大きな秘密が明かされるのかもしれません。
こうしたストランド・キャストの技術が既にクローン戦争期のカミーノで開発されており、突然変異とされているバッド・バッチとオメガがその試験体であったのではないかと個人的に推察しています。突然変異にしては出来すぎた編成ですしね。
追記(24/02/24):
デイサンの誕生年設定は12BBY(「新たなる希望」の12年前、「バッド・バッチ」開始年の7年後)でした。これにより右手の主がもしルークだとしてもその関係の可能性は非常に低くなりました。コミックの描写紛らわしいですね・・・
「バッド・バッチ」は来年配信予定のシーズン3が完結篇となります。
いかなる運命が彼らに待ち受けているのか?どんな秘密が明らかになるのか?期待が高まります。
シーズン1からの振り返り記事をまとめたPDFはこちら。