「テイルズ･オブ･エンパイア」バリス･オフィー編の見所紹介
2024年5月の「スター･ウォーズの日」にディズニープラスで配信されたスターウォーズ シリーズのアニメ作品『テイルズ･オブ･エンパイア』を、主に視聴済みの方やスター･ウォーズ初心者に向けて私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介したいと思います。
本作は2020年に配信された「マンダロリアン」シーズン2のエピソード「ジェダイ」および2023年に配信されたドラマシリーズ「アソーカ」を補完する前半と、後半は2012年配信の「クローン･ウォーズ」シーズン5 および2022年配信の「オビ＝ワン･ケノービ」の後日談で構成される作品です。
記事は視聴済みの方に向けた内容となっています。またドラマの性質上、アニメシリーズ「クローン･ウォーズ」の視聴済前提（一部要素のネタバレを含む）にもなっています。
あらすじは「さわりだけ」を意識してなるべくサプライズ要素や結末は書かないよう心がけていますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんので映画作品も含めて、未視聴の方はくれぐれもご注意下さい。
各エピソードの時系列
本作は「マンダロリアン」で謎の人物として初登場し、「アソーカ」でその正体がダソミアの魔女と判明したモーガン･エルズベスを主人公とした前半3話と、「クローン･ウォーズ」でジェダイを裏切り聖堂を爆破してアソーカに濡れ衣を着せた元パダワンのバリス･オフィーを主人公とした後半3話で構成されるスピンオフ作品です。
後半3話は「クローン･ウォーズ」シーズン6で投獄されたバリス･オフィーのその後を描く直接の後日譚です。
第4話「献身」
物語は時系列としては2013年放送の「クローン･ウォーズ」シーズン5 第17話から第20話の出来事を経ての、ファイナルシーズン最終話および映画「エピソード3 シスの復讐」（「オーダー66」発令）直後です。
尋問官は軍には属さず皇帝の右腕たるシス卿のダース･ベイダーが直々に統括する部署です。ジェダイ･オーダーでは昇格を許されなかったアナキンが、マスターとして彼ら尋問官を教導します。しかしこの「マスター」という言葉には奴隷に対する主人という意味もあります。
「シス」の考え方は奴隷制度的です。尋問官として彼らに献身する元ジェダイはアナキンも含めてダース･シディアスを頂点とするこの構造に取り込まれてしまうことになります。
第5話「認識」
2022年のドラマ「オビ＝ワン・ケノービ」に初登場したフォース･シスターは劇中では特に見せ場のない尋問官の1人でしたが、本作でその素性とバリス･オフィーとの関係が描かれました。
尋問官は全員名前ではなく「番号＋ブラザーまたはシスター」と呼ばれます。帝国においてはストームトルーパー同様に名前を持つことが許されず番号で管理されている存在です。
バリスが引き起こした聖堂爆破はテロ行為に違いないのですが、その動機は「戦争の責任の一端がジェダイにあることを知らしめるため」であり「堕落したジェダイへの警告」です。
彼女自身はクローン戦争で兵隊と化した共和国末期のジェダイに反感を抱いただけでジェダイの全ては否定してはいませんでした。このエピソードではリンとの対比でその事が行動として現されています。
冒頭の吹替訳の「標的は反乱組織の細胞に潜んでる」は誤珍訳です。
「Our target is known to be working with a local rebel cell. 」は「我々の標的は地元の反乱分子と共謀している」で字幕のほうが正しいです。こうした誤訳はほとんどが修正されずにずっと残ってしまうので本当に残念です。
第6話「出口」
第5話からはかなり時間が経過しています。バリスとリン、2人の因縁に一つの決着がつきます。
バリスが家族を託す「古い友」が誰なのか、個人的にはアソーカであって欲しいところです。
帝国軍がフォース感応者の子供を探しています。その理由は、今年ファイナルシーズンが配信され完結した「バッド･バッチ」で描かれたようにネクロマンサー計画の被検体として、あるいは育成して尋問官とするためなどが考えられます。
「反乱者たち」で初登場した尋問官ですが、キャラクターの多くは暗黒面に屈した元パダワンなどで構成されています。そのためか、決して強い存在というわけでもなく登場作品では消耗戦力として次々と命を落としていきます。
その補充のために幼いフォース感応者を各地から攫って育成する必要があったのではないでしょうか。この考え方は後のファースト･オーダーが戦闘員を集めるための手段と同様ですが、彼らが参考にしたのはジェダイです。ジェダイも銀河中のフォース感応者の子供を集めて修行させていて、「アコライト」ではこのことがトラブルの発端になっていました。
ジェダイはかつてそうした銀河中の素質あるフォース感応者の所在を記録していました。その情報は世界情勢の変化を予見したジェダイ･マスターのイーノ･コルドヴァが隠匿していたことがゲーム作品「フォールン･オーダー」で明らかになっています。そのため帝国軍は密告を受けて賞金稼ぎに誘拐させたり、このエピソードで語られるように各地の住民を検査していたと考えられます。
「テイルズ･オブ･ジェダイ」に続いてスピンオフ映像作品における重要なキャラクターの知られざる物語に焦点を当てたオムニバスの第2弾でした。
個人的には第二次ジオノーシスの戦いに始まる「クローン･ウォーズ」のバリスがその後どうなったのかとても気になっていましたので、彼女の物語には非常に感慨深いものがありました。
「テイルズ〜」シリーズで初めてスター･ウォーズ作品に触れてキャラクターや世界観が気になった方はぜひ関連作もご視聴いただいけたら嬉しいです。
これまでの記事で紹介したあらすじと補足情報をまとめたガイダンスはこちらです。
