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融通が利く方が良いとは限らない!
私の若いころ・・・ロンドンで駐在員をしていたころの話から始めます。
外国で車を運転するには国際免許が必要です。
この国際免許は通常1年通用するんですが、イギリスでは6か月しか通用しません。
なので、赴任してから6か月以内にイギリスの免許をとらなければなりません。免許取得はそんなに難しくないとはいえ、やっぱり面倒です。
あるとき、当時のロンドン支店の副支店長が交代しました。
新しく赴任してきた副支店長は免許を取る必要がありました。
彼は若いころロンドン支店に勤務したことがあり、その当時は、当然免許を持っていました。
その免許証は既に紛失していましたが、新しく免許を取るのが面倒だったので、彼は、当局に再交付を申請しました。
彼は手紙を書き、「私は以前イギリスの免許をもっていたけど、日本で生活している間に紛失した・・・。私は日本でも運転しており、優良なドライバーだった・・・」と説明したようです。
我々支店員は、「そんな手紙で再交付してくれるわけがない・・・」と噂していました。パブで一杯やるときに、「ダメに決まってるよ」と、格好の話題になりました。
しかし、彼は「いや、この国では大丈夫なんだよ」とニヤニヤしていました。
そして、それから2~3週間後、何と我々の期待に反して新しい免許証が届いたんです。
そんな手紙を信用して新しく免許証を発行してくれるなんて、
日本だったら絶対ダメでしょう。
そんなことを認めたら、秩序が保てないじゃありませんか。
そして、それから数十年後、私はその会社はとっくに辞めていましたが、
イギリスの免許証は持っていました。
その免許証は、たしか65才の誕生日まで有効だったと記憶していますが、
その免許をもってイタリアに出張しました。
イギリスの免許証があれば、ヨーロッパではどこでもレンタカーを借りられたので、出張時にはいつも持っていたのです。
ところが、この出張で、私は手提げかばんを盗まれてしまいました。
そのかばんの中に、イギリスの免許証を入れていたので、それもなくなってしまったのです。
イギリスの免許証があると外国に行ったときに便利なので、私は東京に戻ってからしばらくして、免許証の再交付を申請してみようと思い立ちました。昔の副支店長のことを思い出したんです。
そこで、むかしのイギリス人の同僚に当局との交渉を頼みました。
その回答は、新たに発行してやるから、手続きに来なさいとのことでした。
つまり、出頭すれば再発行してくれるというわけです。
残念ながら、その後ロンドンには出張する機会がないので、再発行はされていませんが、再発行は可能だということは分かりました。
日本だったら、最初から試験を受けないとダメでしょう。
個人的にはイギリスの方が有難いけど、社会的に見たら、日本の方が安全だと思いますよね。
日本は融通は利かないけど、安全度は高いんです。
ところが、最近の日本は治安が悪くなっています。
融通は利かないまま、治安だけが悪くなった。
これは政治家と行政の責任です。