フト昔の上司のことを思い出した
今日、他のこととは何の脈絡もなく、突然、むかしの上司のことを思い出しました。
その上司とは、私がむかしサラリーマンだった頃、同じ課の上司だった人。
寡黙な人だったけど、酒好きでしょっちゅう一緒に飲んでいた。
たまたま、私の大学の先輩でもあったし、気も合った。
仕事の面ではもちろん大変世話になった。
私がその会社を退職した後も、何かの折にはたまに顔をあわせていた。
私が辞めて10年位経った後、2人きりで軽く一杯やったのが最後になった。
それから1年以上経ってから亡くなったんです。
訃報を聞いたので、驚いて葬儀に駆け付けた。
知らなかったけど、どうやらガンで入院していたらしい。
それから更に数か月後、その会社の人たちの集会に参加した時に、ある先輩から意外な話を聞いた。
その先輩が言うには、その亡くなった元上司は、私と会ったときには既に余命宣告をされていたらしい。
私には何も言わず、密かに別れを告げる気だったのだろうとのことだった。
その元上司と会った時は、よもやま話をした後「キミは大丈夫だから、今後もしっかりやってくれ!」という意味のことをにこやかに言われただけだった。
当時、特に私には困りごとや悩みがあったわけでもないし、普通に激励してくれたとしか思っていなかった。
しかし、本当は自分の余命を知っていて、その上でさり気なく別れを言いに来てくれたらしい。
もし、あの時、「もうお別れだよ」と言われても、私にはもちろん何も言えなかったと思う。
元上司が死を目前にしながら、泰然自若としていたことに驚くのみです。
自分が同じ立場だったらどうだろう?
平気な顔をしていられるだろうか?
自分がいつ頃死ぬのかが分かっていて、さり気なく別れを言えるものだろうか?
私には分かりません。
私なら、もっと娑婆に未練が残るような気がします。
世の中には分からないことが多いし、自分ならどうするかと自問しても答えられないことも多い。
なぜ、こんなことを突然思い出したんだろう?
それも見当がつきませんが、今日は、むかしのことを、何となく思い出していた一日でした。