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地域が移住者争奪戦をする時代に、住む場所を自分で選ぶということ。

2018.3月

僕たちはどういった理由で住む場所を決めているのだろう。はるか昔に時を遡れば、人類は暮らしやすい土地を求めてアフリカ大陸から移動してきた。

その労力たるや、想像を絶するものだ。それだけ苦労してまで土地にこだわる僕たち人間にとって、理想的な土地とはなんだろう?

前置きが壮大になりすぎたけれど、今回は地方移住をテーマに暮らす場所について考えてみようと思う。

【都会と田舎をめぐる人の流れ】

ふたたび根本的な話題となる。

もともと日本は農耕社会で、自分たちが食べるモノは自分たちで土を耕して育てるという暮らしをしていた。この段階の社会では、貧富の差というものがあまりない。なぜならみんながだいたい「同じこと」をしているからだ。

それがだんだん人々は「役割分担」をすることで社会を形成していく。つまり鍛冶・大工・住職・農家といった感じで、仕事が成立していく。

その仕事というのは家族単位で行われるのが基本で、だからどの家庭でもたくさんの子どもを産んで、労働に従事させた。長男が家庭の仕事を継がなければならないという伝統には、こういった背景がある。

このように各家庭が異なる仕事をするようになると、同じコミュニティのなかに貧富の差が生じるようになります。より有利な職業を選択する者が得をする社会が、少しずつ成長していくようになりました。

現代の経済を成立させる考え方のひとつに、分業制というものがある。つまり一人がたくさんのことをするよりも作業を分担した方が効率が良いという考えである。小さなコミュニティ内で完結していた分業が明治以降、日本全体で行われるようになっていった。

より良い職業とは、ここではお金を稼ぎやすい職業を意味する。つまり日本全体のなかでお金がたくさんある地域・都会に、人々は群がるようになっていく。これによって、大都会が発生した。

反対に田舎にはお金を稼ぎにくい職業が取り残されてしまった。

要するに僕が言いたかったことは、時代の流れとして田舎から都会に人流れていく時代が明治から昭和にかけて続いたということである。

その流れがいま、変わってきている。

昭和が終わり、そして平成が終わりを迎えつつあるいま、逆方向の人の流れが現れ始めた。これは時代の転換点を迎えているということを示している。

【田舎に人が流れ出した理由】

なぜ都会から田舎に人が流れ始めたか。ひとつの考え方として、より良い職に就いて、よりお金を稼ぐ必要性が薄れてきた点が指摘できる。

日本社会は先人たちのおかげで、経済的にある程度の豊かさを手に入れた。「生活できない不安」を抱えなくなった日本人の多くは、より良い職を求めるよりも、より豊かな生活を求めるようになってきた。

まさに都知事の言うライフ・ワークバランスのことだ(ワーク・ライフバランスの逆)。その結果、都会から田舎へ移動するようになった。

【最終的に行き着くのは、都会と田舎の消滅?】

より良い職業を求めて都会を目指した今までの社会。そして、より豊かな暮らしを求めて田舎を目指すこれからの社会。

しかし田舎が都会より優位になるという未来にはならないだろう。むしろ都会と田舎を人々はもっと自由に行き来するようになる。

ネット環境が張り巡らされて、どこでも仕事ができて、長距離移動も簡単にできる。このような時代にはもはや、条件不利地域というものはない。

各々が心惹かれる場所に自由に住む時代がやってくる。

【自分が住みたいマチを選ぶ】

いま、住む場所を選ぶ時代がやってきた。その際の判断基準となるのは、単に住みやすさだけではないだろう。それに加えて、その土地ならではの魅力をもつ場所が人気になっていくはずだ。もちろんそれは都会と田舎という枠組みにとらわれるものではない。

そういった意味で「地域活性化」という言葉のもつ本当の意味は、地域の個性を取り戻す作業なのかもしれない。移住全盛時代では仕事を選択するのと同じくらい、住む場所を選ぶことも真剣に取り組む必要があるだろう。

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